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未来の若者のために地方創生!ではなくて。

地方に住もう!とはよく聞く言葉なのですが、地方に住もう!というのはほんとうに良いことでしょうか?なにを持ってほんとうに良いこととしているのでしょうか?実際地方に住んでいる、暮らしている、生活している私としては疑問に思うのです。ーー疑問というより違和感ーーと言った方が正しいのかもしれません。

なぜなら私には、あなたが言う、あなたが思う、あなたが感じる良さというものが理解できないからです。理解できないというよりは意識できないのかもしれません。近くにある良いものは見えにくいと言いますからね。しかしながら私が違和感を感じている点が2点あります。それはあなたが思う地方の《良さ》にです。

その2点というのは人が温かい、人に温かみがある、という点が1点。もうひとつは自然の壮大さ、自然の豊かさが素晴らしい、という点です。なぜ私がその2点に対して 違和感 というものを感じているのか?そう、疑問ではなく違和感です。何か確証があるわけでは無く、難しいのですが、そう私は感じてるのです。

まず人の温かさ、つまり地方に住む人が持っているであろう人としての優しさ、つまり温かみですね。あなたは「ほら!あんたこれを持って行きんしゃい!魚好きじゃろ?ほれ!」みたいなことがあると信じているのでは無いでしょうか?正直私はこんなシーンを一度も見たことがありません。ドラマや映画以外でですが。

つまりあなたと同じです。ドラマや映画のワンシーンでしかこのーー地方の温かみーーであろうものを見たことが無いです。もしかしたらあなたは「お前が嫌われ者のインキャなだけで他の社交的な人はあるんじゃないの?」とお思いかもしれませんので付け加えますと私の周り、周囲の人からも聞いたことはありません。

それどころか見知らぬ他人と会話している田舎者(失礼な言葉ではありますが私も同じ田舎者ですのでご容赦ください。)を見たことが無いのです。

都会で暮らしたことは特に無いのですが、私の行ったことのある都会(東京や名古屋です)で他人に話しかけた時快く受け入れてくれた、というよりも良くあるためのなれかもしれませんが、快く質問に答えてくれました。

東京の地下鉄は田舎者から見ればほぼ魔窟、風来のシレンのダンジョンです。初見殺しであると感じますし、そうなんではないでしょうか?田舎者の一意見として捉えておいてください。

その田舎者からの意見なのですが、人の温かさというものが他者を受け入れるキャパシティ、他者を受け止められるキャパシティなのだとしたら、都会の方がそのキャパシティは大きいのでは無いでしょうか?

田舎には都会のような雑多な人混みというものが無い。だからこそその雑多な人混みへの慣れ、許容度というものが田舎よりも都会の方があるのでは?と思うのです。

つまるところ他人に対する優しさ、温かみというものが他人に対する許容度とするのであれば、都会の方が温かみがあるのでは?と思うのです。

では、翻ってみて田舎はどうなのか?

という点ですが田舎は他者に対する許容度というのか、他者に対するキャパシティというのか、他者に対する信頼度みたいなものは低いです。

よその土地から来た、というだけでわりと好奇の視線を感じるという人が多いです。実際私の母親は違う地域から嫁いだというだけで、周りの人から好奇の視線を注がれた、といえば軽やかに聞こえますが若干の嫌がらせというものを受けていたそうです。

結構当たり前にあることなので母は気にしていなかったと言いますか、母はわりと強い人なのでなんとかやれていたそうです。

このように田舎は排他的であり他人に対する許容度が低いのです。また、雑多さというよりも人口が違いますので人と人との距離が遠いのです。近所の人と長話するみたいなのは作り物の虚像なのです。

そしてもう一点の自然の豊かさ、ですがそれは田舎にくればわかるのですが、自然の豊かさというものは不便さと同義語なのです。なぜならば自然が豊かということはすすめる道、通れる道、すすめるはずの道というのが自然に防がれているのです。

「この道って抜けたらどこに出るんだろう?」そう思い直進すると田畑があって行き止まりなんてことはよくあることです。雪が降る土地の人なら雪によって通行が妨げられることも多いのでは無いでしょうか?

つまり田舎にある自然の豊かさというものは、人間の行動範囲を狭めるという役割を果たしているのです。交通インフラが弱いと言えばよりわかりやすいかもしれません。

この2点、人の温かさ、自然の豊かさ、というものがいかに無いものであり、いかに不便であるかを理解していただけたと思います。

そしてその

自然の豊かさ(交通の不便さ)はもっと悪いことを引き起こします。

田舎は基本的に車移動です。信じられないかもしれませんが、コンビニに行くにも、スーパーに行くにも、友達の家に行くにも、車です。

それはとどのつまりクルマがなければ生活できないということです。つまり歳をとって運転免許を返納すれば行動範囲を極端に狭められるのです。

バスや電車ですか?あれば良いのですが1時間に一本しか来ないバスをどれほど待てば良いのでしょうか?それこそ日が暮れてしまいます。HUNTER×HUNTERの連載を待つより長い時間なのですから!

もっと悪いことというのは行動範囲を狭められることではありません。それは運転免許を返納するほど弱っているのにも関わらず病院に自由に行けなくなるということです。

つまりほんとうに悪くなる年齢になった時、ほんとうに病院が必要になった時、ほんとうに弱った時、診療してもらいたいタイミングで病院に行けなくなるのです。

恐ろしいことですね。インフラが無いというのは命を奪うのです。人の健康に生きるインフラも奪ってしまうのです。

そして地方の最も残念な点は

仕事が無い、働く場所が無い

というところです。たしかにあるにはあるのですが、それ相応に給与は安いです。なぜならほとんどが中小企業ですから当然と言われれば当然なのですが。

そして地方の主な働き口は工場、現場です。なぜなら自然の豊かさの便益により土地が広いのです。つまり工場などを建てる際の施工できる場所というのが多いのです。

そうなるとどうなるか?工場が多いということは想像しにくいかもしれませんが、下請けが多い、つまり自営業が多いのです。そして工場や現場というものは人数=パワーです。そのパワーが人を呼びほぼ独占企業のようになります。

それもGoogleのように上場していれば別ですが(そんなところは無い)コンプライアンスなんてものはほぼないに等しいのです。独占企業はある種の貴族のように振舞います。

ーー貴族のようにーーと言えば聴こえは良いですが実際のところジャギ様のように振舞います。世紀末覇者なのです。独裁者なのですから当然なのですが。

ということはです。貧富の差というのがすごく大きいのです。ーー昔のーーいわゆる領地様の人の使い方と同じになるのです。気に入られれば天国、気に入られなければ地獄のわかりやすい構図です。

そうなると周りの人も弱いものに強くなります。ますます貧富の差は拡大していきます。高級車に乗るような人と軽四に乗る人、真ん中というものが存在しない街になるのです。

このような様相を呈す田舎ですが最近では地方創生が叫ばれています。そこで思うのは

ほんとうに地方創生は必要なのでしょうか?

肥えるものをより肥えさせるだけになるのでは無いでしょうか?

東日本大震災から10年。総額約32兆円、国民1人あたり25万円ほどの負担となる復興予算はどんなことに使われてきたのか。その多くは防潮堤や土地のかさ上げなどのハード事業だが、被災者の心を癒やしたり暮らしを支えたりするソフトの予算は少額ながらも復興に欠かせないことが見えてきた。(中略)こうして32兆円の復興予算のうち、最も多い13.3兆円がつぎ込まれたのが、住宅・防潮堤・道路。2番目に多い自治体への交付の多くも、インフラに使われました。
新たに造った247キロの高速道路の建設には、総額2兆円。国民1人当たりにして、1万円以上の負担となりました。

クローズアップ現代

確かに復興というのは今のところ必要です。なぜ今のところなのか?それは人口が多いからです。住むところが無ければ人は住めません。つまり都会で一極化したところで住む場所が無ければそこは無いのと同じです。

つまり、ですが人口が減少すれば地方はいらないのです。少し物悲しいですがそういうことなんです。存続の危機に瀕している地方を復活させることは今は必要です。

つまり40後半から50代の人たちのためにはまだまだ地方のインフラを支えられるような地方創生が必要なのです。未来の子供達のために、ではなくあなたのために必要なのです。

つまるところ「今の若者たちのために!」と志を高く持つのは良いのですがほんとうに必要なのは、就職氷河期を生きた人たちのためにこそ必要かなのです。

今更魔窟のような地下鉄に乗り、人混みで人を許容して生きていくことはできるでしょうか?つまり都会に移り住むことはできるでしょうか?

地方にいるよりもインフラは揃っています。ですが田舎で暮らして、田舎で生きて、田舎で働いてきた人に突然そんなこと(シレンのダンジョンや雑多な人混み)を許容できるのでしょうか?

そう、つまり地方創生は本来、未来の若者ではなくそこで生きるそろそろ上がりのポジションにいる人にこそ必要なのです。

未来の若者のために!と立ち上がることは否定しません。しかし、地方創生は他人ではなく自分のために行なった方が良いのでは無いのか?という提言です。

よりよく生きるために。

それでは、また、日曜日に。

あどりでした。

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