Advanced Squad Leader (ASL) 勝利への道:コラム―戦術探究とは別の視点から勝率を少し上げるいくつかの方法

ここでメインのコンテンツとなる、対戦記を兼ねた戦術研究記事の第1回は、早くても来週となりそうです。そこでひとまず今回は、軽い内容のコラムを投稿します。テーマは「戦術探究とは別の視点から勝率を少し上げる方法」です。

メモろう

修理や回復のし忘れ、待機射撃マーカーの置き忘れなどなど、これまで何度もうっかり忘れて、何回ほぞを噛んだことがあるでしょうか。

その対策は簡単で、記憶力を過信せずメモすることです。

自分の場合、VASLならパソコンのメモパッド、対面戦であれば反故の裏紙にメモします。

「かいふく」「wall」「ハッチ」というふうに自分だけが理解できるなぐり書きでOK。

わずかに勝率を向上させ、細かい後悔も予防できます。

ダイスの目よりも百分率で考える

以前連載した「コマンドマガジン」のしょっぱなでも書きましたが、「9以下の目が出る確率は約80%」というふうに、パーセントで考えることで、勝率が若干上げられます。

単にフィーリングで「9以下の目」と考えると、リスク判断に精度が鈍ってしまうからです。

また百分率で何かが起きる可能性を把握することで、「4FP+0の射撃を受けたときに、 4-6-8ユニットが混乱する確率」といった事象をざっと暗算することも可能になります。自分は以下の早見表を作って時々見るようにしています。

2=3%
3以下=8%
4以下=17%
5以下=28%
6以下=42%
7以下=58%
8以下=72%
9以下=83%
10以下=92%
11以下=97%

3以上=92%
4以上=83%
5以上=72%
6以上=42%
7以上=58%
8以上=42%
9以上=28%
10以上=17%
11以上=8%

初級者であれば直感は信じず、中級者からは直感を信じよう

これまで手痛い敗北をこうむった対戦は、直感に反したことをやってしまう(あるいはやらない)ことによるものが多いです。

直感とは、大概はかすかな「違和感」という形でやってきます。例えば、戦車をあるヘクスに進めようとした時に覚えるかすかな違和感。「いや、そこに進めるのはまずいような…」といったものです。直感を無視してそのまま進めてしまうと、潜んでいた対戦車砲に撃破されるのです。

将棋の羽生善治名人が「直感は決して先天的なものではない」と語っていました。まったくそのとおりで、先天的な直感は単なるヤマ勘です。自分が取り組む分野において、地道に場数を積み重ねることで、(あくまでもその分野における)直観力は陶冶されるのです。

ASLに関しては、一つの目安として50~60回の対戦に満たない経験なら、直感は信じない方が良いです。分析と理性のみによってプレイを重ねていきましょう。

対戦回数を積み重ねる以外に、直感力を磨く方法は、すでにあまたの経験を積んでいる事柄についての直感を信じることです。ほとんどの人にとって、それは仕事でしょう。例えば、パワーポイントで資料を作っている時に、ふってわいたように「この項目を付け足した方が良いのではないか」という感覚。理性的な思考の末、導きだされた結論でなく、いきなり脈絡なく浮かんだ発想にも敬意を持つとよいです。

ずしりと経験を積んできた仕事については、毎日が直感の連続のはずです。が、ほとんどの人は、その事を自覚していません。意識して日々の直感に従うことで、直観力は研ぎ澄まされていきます。

初級者のソロプレイは勝率を上げない

おそらく熱烈なASLファンが10年かけて開発した「Tigers on the Hunt」 (Matrix Games)というPCゲームがあります。

もう中身的にはほとんどASL。残留FPや阻止といった細かいところまでルール化されています。ただ、迂回や狙撃など細かい部分はオミットされているので、ASLスターターキットにむしろ近いでしょうか。多くのユーザーによって多数のASLのシナリオが、このPCゲームに移植されています。

「Tigers on the Hunt」のシナリオ「URBAN GUERRILLA」のひとコマ

「対人戦の勝率に寄与するのでは」と思って購入したのですが、その期待は外れました。CPU(AI)が弱すぎるのです。例えば、こちらがユニットと動かすと、とにかく臨機射撃を撃ってきます。もっと引き寄せてから射撃を控える、囮だろうからそれは無視するといった発想がありません。なので、距離の離れたところにいる半個分隊を建物から建物へ移動させ、敵の臨機射撃をそれに集中させ、おもむろにほかのユニットを前進させる方法で勝ってしまいます。

初級者がこのゲームで経験を積み重ねても、対人戦でけちょんけちょんにやられてしまうのは明らかです。

これと似たような話として、自分の苦い記憶がよみがえります。随分と昔の話になりますが、生まれて初めてASLを対人戦する前、結構な回数のSASLをプレイしていました。SASLとはASLのソリティアバージョンです。この場合、対戦相手はCPUではなくゲームシステム。生身のプレイヤーが説明書を見ながら、敵ユニットの行動を多少ランダムに決めます。ランダム性があるとはいえ、だいたいどんな行動するか読めてしまうので、ぬるい対戦にしかなりません。

「それでも数十回もプレイしたものだから、ある程度の実力がついているだろう」と、ひそかな自信を持って、対人戦に挑みました。

ところが初めての対戦は全く勝負にならず、ボロ負けしてしまいました。負け戦は、その後も何回となく続きました。初めて勝利したのは20回目くらいでしたかね。

つくづく実感したのは、ソロプレイは、ルールの習得には役立っても、技量の向上にはほとんど役に立たないということです。

中級者以上であれば、「あのプレイヤーならこのように動かすだろう」などと、高度な想定ができるので、ソロプレイにはそれなりに意味があります。

初心者がこれをやってしまうと、悪いクセと変な自信がつくばかりで、どうしようもありません。畳の上で行う水泳訓練を意味する「畳水練」というのがありますが、まさにこれ。一回プールに飛び込んで初めてわかることが、実に多いのです。

ということで、初級者はソロプレイはそこそこに、ルール習得目的にとどめ、なるはやで対人戦の世界に飛び込みことをお勧めします。その方が、はるかに学びが多く、なんといっても楽しいです。

#AdvancedSquadLeader #ASL #スコードリーダー #ウォーゲーム #シミュレーションゲーム

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