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ArmchairDetective Case.1におけるザッピングシナリオ構成秘話!


はじめに……

Note初投稿です。zeroayaというものです。
アメリカで大学生をやってます。で、ゲームを作っています。

だいたいこんな感じのゲームです。推理モノのADVゲームですね。こないだPC版が完成したので、ぜひダウンロードしてください。無料です!

………………で、だ。
このゲーム、高校生のころから作っていて、何度か出展を繰り返しています。2018年にはなんと、東京ゲームショウにまで出展!自分でも驚きです。

そういった出展時に話しかけて下さる方々は、さすがこんなニッチなゲームに興味を持っていただけるだけあって「これはフラグ管理とか大変そうですね~~」とか優しい言葉をくれるのです。ありがとうございます。
しかしこれがただの友人、或いはADVゲームに興味がない人と話すと……
「これUnity?あ、違うの」
「ジャンルは何?あぁ、ADVね(紙芝居か……)」
……みたいな反応ばっかり!!

まぁ、アクションゲームや音ゲーと比べれば、プログラム難度は高くないけど……でも、ただのノベルゲーよりは作るの大変なんだぜ!?何せ独自のシステムがあるんだ!
「独自のシステム??」という方の為に一応、未プレイでもわかるArmchair Detectiveのゲームシステム「集団尋問」がよく分かる動画がこちら!まぁ、先ほどの動画の後半というだけですが(クリックすると該当箇所から再生されます)。

……先に断っておきます。「作るのが大変」と言いましたが、別に大変だったことをひけらかしたい訳ではありません。

このシステムによって、僕はこのゲーム特有のゲーム性(面白味)を作りだしたつもりです。
ただし!このゲーム性のポテンシャルを生かすためには、その面白味を引き出すシナリオを書かなくてはいけないわけです。これがまぁ中々大変な作業なのですが……正直、自分から書きでもしない限り誰にも分からないと思われます。

もちろん、そういった苦労をプレイ中には感じさせず、ただただ面白いと思ってもらうのが道理です。実際、レビューを見る感じ、特にどうとも思われず全体的に好評です(ホントありがとうございます)。

しかし……ふと、思ったのです。

「僕がいかなる配慮や努力をしたのか、このままでは誰にも知られずに終わるのではないか?」
「対外的に見ると俺は、変な紙芝居を作る人間でしかないのでは?」

…………それは困る!
一応、僕の目下の夢はゲームプランナーです(アニメーションの勉強もしてるけどね)。ここは自分の夢の為にも、「僕はコレコレこういったことを計画して、ゲームシステムの面白さを引き出すシナリオを組み立てました」と明記しておくべきでは無いのか……?

このような発想のもと、今回は拙作「Armchair Detective Case.1」のシナリオ解説を書こうと思います。苦労自慢みたいで気が引けますが、こういった形にしないとマジで何も残らない可能性を考えて決めたことです。
(一応、今後似たようなザッピングシナリオを構成しようという方の為にもなるかもしれません。世の中にこれといったノウハウも無いジャンルなので、その辺の助けにでもなると幸いですね……)

達成すべき項目たち

さて……シナリオ解説と銘打ちましたが、実際に行うのは「シナリオ制作当初に考えた構成要素のリストアップ」です。
シナリオを作るうえで、押さえておかなければならない要点がいくつかありました。これらは「本作がシリーズ一本目である」が故のものです。それがこちら!

・システムのチュートリアル(最序盤の難易度緩和)
・自由度の提示(読む順番、そして突きつける順番)
・世界観の提示(キャラの多様性、多少のエログロ)
・難易度の低いシナリオ(早めに犯人の目星を付けられる→徐々に追い詰める快感)
・最後の追究(三人のキーワードを使用して追い詰める)
破綻なく成り立つセリフ(プレイヤーの進行順序によって主人公達が持ちうる情報が変わる)

なんだか色々ありますね。以下、これらの構想をどのように実現したのかを、項目ごとに解説していきます。
……あ、そうだ。これ以降はネタバレ注意です!ゲームに興味のある方は、是非とも先にプレイしてください。
別にプレイ前に読んでもらっても構いません。真犯人とか書いてありますが、分かってからプレイしていただいても面白いと思いますよ。

システムのチュートリアル

以下に箇条書きで序盤の流れを説明する。
最初に読むのは郷沢に固定。

早い段階で彼の「証言中断」を発生させ、直ぐに「読む順番」の選択(永瀬くんか大河原どちらを先に読むか)を発生させる。

初回は超単純なムジュン点(UFOとCDの見間違え)で、プレイヤーに「追究」のルールを説明する。

追究後の証言から「続きを読むか先に追究するか」の選択も発生させる。

一通り慣れさせた後に4人目の証言者を投入する。
彼女のシナリオは初めは短い。混乱を避ける為、また真犯人であるが故のドラスティックな証言変更を浮き立たせる為

少々変わったシステムなものでして……こいつは最初の作品ということで、面白さを伝える為にも絶対に必要な配慮でした。

・自由度の提示

板垣が4人目の証言者として登場する辺りから、ムジュン点が複数存在するようになる。これを追究する順序は読む順番、また気付くタイミングによって異なる。(これは428で製作者が意識していたことらしい。オフィシャルブックに書いてあった)
シナリオ構造上、最後の追究まではプレイヤーによって追究順序は異なる可能性がある。また順序に関しても作者側からの誘導は少なく設計した。これによってプレイヤーに(ノベルゲーとしては比較的)自由度を感じさせる。

「街」、「428」的な自由度は、ArmchairDetectiveのキモとも言える重要な要素です。こちらも何を置いても実現しなくてはならない部分でしたね。

・世界観の提示

大河原の官能小説家という職業、それと永瀬くんの死体発見時の描写、この2つはエログロの提示で最低限ながら描いておきたかった要素。そこまでディープに描いてはいないが。永瀬くんは当初態度の悪い大学生だったが、キャラの弱さが不安になり子供に変更した。(「視聴率を取るには子供と動物」って言われた逸話が巧舟さんのコラムに書いてあったからね!)結果的にキャラの幅、ついでに年齢層が広がった。

今後のキャラの幅の為にも、初回である今作で配慮しなくてはなりませんでしたね。エログロは今後少し増えるかもしれません。とはいえ、不必要に過激要素を追加するつもりはありませんが。

・難易度の低いシナリオ

これもチュートリアル回である上の配慮。セリフの節々に、露骨にヒントを入れた。実際「難易度は低め」というレビューもぽつぽつ発見。しかし、「あれ以上ムズいとわからん」という意見もあるので、なんとも言えない。一応現状でも、ヒントは必ず見られるようになっているので、クリア不可能という事態は起こらないハズ。

「逆転裁判」やこのゲームの特徴として、「難易度をセリフ回しでコントロールできる」というのがあります。とはいえ、これだけではどうにもならないこともあるワケで……
この辺はシステム面でカバーするアイデアがあります。Case.2もとい今後のアップデートを乞うご期待!

・最後の追究

ゲームシステムは限りなくシンプルにしたかったので、複数キーワードでの追究は当初却下していた。が、流石に単調すぎるかも……とビビって導入。導入するからには生かさなくては、そう思ってシステムの見せ場を考えた結果、「……3人の証言がなければ、事件は解決できませんでした……」的なセリフが頭の中に思い浮かぶ。
あぁ、これはクライマックスに持っていかなくては!と言う訳でラストの追究ポイントを設計した。

どのようなシチュエーションになっているかは、実際にゲームをプレイして下さい。アレを成り立たせる為にどれ程悩んだことか……!ハッキリ言ってあれは長考のおかげであり、締切が短かったら諦めていたかもしれません。
ハッキリ言ってあれは長考のおかげであり、締切が短かったら諦めていたかもしれません。

……次で最後!でも、ちょっと長いです。

・破綻なく成立するセリフ

一応僕がシナリオ、ムジュン点とセリフ全てをコントロールしているので、複数人で情報を擦り合わせるよりはラクだと思う。実は(セリフに関する)フラグ管理はそこまで厳密ではない。気を付けるべきことは「プレイヤーが持っていない可能性がある情報は、セリフに含めない」ということ。これで何とかなる。
例……①「板垣が店内にいたという証明」をする際に使うキーワード「メガネ」は、②「永瀬くんのウソを暴いた」状態でなければ手に入れられない。その為、の追究コメントではの情報を含めて良い。ただし、③「大河原は自ら原稿を書いていない」という情報は含められない。が暴かれるのがの前か後かは、プレイヤーの行動順序次第だからである。
の前に暴かれている場合のみ、の情報を含んだの追究コメントを表示……ということは可能。だが、これをする必要のないセリフまわしにすれば余計なフラグ管理をせずとも済む。)
ただしこれでは成り立たない、或いはあまりにも単調である場合はフラグ管理でセリフを切り替えている。

……この辺はぶっちゃけ、勘でやってました。今のところ。デバッグ中に破綻したセリフを見つけた場合に修正……って感じ。
ただし、今後シナリオが長くなった場合は勘だけでは対処できなくなりそう。まぁ、「プレイヤーが持っていない可能性がある情報は、セリフに含めない」ルールを守れば破綻は絶対に生じない(と書いているうちに気付いた)し大丈夫。

それに、プレイヤーが持つ情報量は変数で分かります。条件は3つ……
「ムジュン点があるチャプターを開放しているか?」
「ムジュンを指摘しているキーワードを持っているか?」
「そのムジュンは指摘済みか?」

これによってヒント機能を実装しています。これをそのままセリフ分岐の条件にしてしまえば、これまた破綻は生じません(破綻したセリフを書いても、条件で弾かれて表示されない)。うーん、バッチリ!俺ってば天才。

ちなみに、このゲームにおいてプレイヤーと主人公マキナちゃんの持ちうる情報量は(ミステリ部分においては)完全に同じです。ここもコダワリポイントですね。


総括、目下の目標

……とまぁ、こんな感じです。これらの条件を全て満たすシナリオを組み立てるのは、なかなか時間がかかりました……
それでも、自分が世に放つ処女作として完成させないと!という一心でゲームは完成しました。そして一度ゲームが世に放たれた今、まだまだやるべき事は沢山残っていると感じます。

プレイヤーに愛されるキャラ作りに掘り下げ、魅力的な事件の舞台と事件そのもののストーリー、証言者数の増加、内容重複の避け方、ネタバレになるから言えない構想などなど……

第2作も既に、このように「達成すべき項目」リストは出来上がっております。実現方法も脳内では出来上がっております。実現方法も脳内では出来上がっております。
が、まずはキャラクターの掘り下げも兼ねた後日譚、「Case1.5 捨て子の謎と私達の邂逅」を執筆してます。そしてスマホへの移植も同時に、3月が終わるまでにリリースしたい……アァ〜ッ大変!!

おわりに

……もうそろそろ締めに入らなくては。というわけで、今後も私zeroayaは素敵なシナリオを書いて行くつもりです。一度拙作をプレイして下さった方も、この記事を読んでから再プレイすると発見があるかと思います。これからもよろしくお願いします。

そして、ここまで読んでおいて最早プレイしてない、なんてこた無いとは思いますが……もしそんな人がいるのならば。
是非皆さま私のゲームをプレイして、シナリオの作られ方なんかに想いを馳せながらプレイしてください!!!あなたはもうここまで読んでしまったのだから……!

何、パソコンを持ってない?3月あたりにスマホ版を出すから待ってなさい!!iOS、Android両方にね!!後日譚まで楽しめちまう、ボリューム満点なのに価格は無料!!破格!!!!!

以上!!

解散ッ!!!

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