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『ドラゴンボンバー』制作録

一週間ゲームジャム」という企画で『ドラゴンボンバー』というゲームを作りました。
「一週間でゲーム? できるわけないだろ!」とか思ってましたが、意外といけましたね。
ほとんど二日程度でできたゲームなので大したものではありませんが、せっかくなのでなにをどう思ってつくったか、という記録を残しておきます。

・ネタ出し!

テーマは「爆発」でした。
というわけでいろいろアイデアを出していきます。

・爆発させるのか、させたらダメなのか
 ・爆発させるゲーム
  ・数分以内に可燃物とか大量に集めてより大きな爆発を目指す
   →ダイナマイトとかガソリンとか人も集められる
   ×動機が不明。爆弾魔の主人公? 導入がややこしい
  ・寝ているドラゴンに気づかれないように爆弾を大量に設置するゲーム
   →素早く動きすぎると物音で気づかれてしまう
   〇導入がわかりやすい
 ・爆発させたらダメなゲーム
  ・ギリギリまで点数を稼いで退き際を見極めるゲーム
   ・鉱山を掘り進むイメージ?

まずテーマがよかったですね。
どうあっても「爆発」がオチになるので短いアイデアがいろいろ浮かんできます。
今回はとにかく短いゲームですので、状況説明もすぐに済む設定が望ましいものになります。

最初は「爆弾魔」が主人公のゲームなどと考えましたが、「爆弾魔であることの説明や感情移入などが一瞬で済むか?」などと考えて唸っていました。
「俺は爆弾魔だ! 今から街を片っ端から爆破するぜ!」みたいなモノローグをつけても強引にやってもよかったですが……(高橋邦子かな?)

と、考えて「主人公が正義」で「悪を爆破する」という設定ならそのへんはスムーズにいくと考え、「眠っているドラゴンに爆弾を仕掛けて撃破する」というアイデアを採用しました。
この設定なら状況説明は自然に、しかも一瞬で済みます。

コンセプトはわかりやすく「急げ!」「でも急ぎすぎたら死ぬ!」というジレンマです。

元ネタはモンハンです。寝ているモンスターに樽爆弾を仕掛けるアレですね。
元ネタはそんなに目覚めよくはないですが。

・設計図を書こう!

さて、企画が決まったので設計図を書きます。
当初はこんな感じでした。

「爆弾の種類」とか「水溜り」トラップなども考えていましたが、結局これらはボツになりました。
いちいち実装がめんどくさかったのもありますが、「爆弾の種類」に関しては「強い爆弾を頭部に置く」が最適解すぎて特に戦術に幅が生じるわけでもなく、プレイヤーにとっても覚えるのがめんどくさいだけだろうと判断しました。
「水溜り」に関しては、「ただ気づかれないように動くだけで楽しいのか?」という疑問から考えていたものですが、軽くプロトタイプをつくってテストプレイしたところ、ふつうに楽しかったので「別に要らないな」という判断になりました。

まあアレです。
そもそも「新しいゲームをはじめる」には「めんどくさい」という壁があります。
それを乗り越えたら楽しくはなりますが、乗り越えるのには時間がかかります
本作はたった3分のゲームですから、「めんどくさい」要素は徹底排除しましょう。

逆にいえば、本作をステージ制にしてボリュームアップを図る場合には「爆弾の種類」を増やしたり、「水溜り」トラップなどを用意するというアイデアにも採用の余地はあるかもしれません。

UI設計はこんな感じ。特筆すべきことはあまりないですが……
左上の「警戒」とか「危険」のエフェクトはこちらの動画が元ネタだったりします。
エターなった作品らしいですが、この演出がかなり印象に残っていたので似た形で採用させてもらいました。

あとは、最近読んだこちらの記事なども参考にしてます。
「危険」表示演出は「画面中に過剰な情報を提示することによる認知リソースの消費」という手法になるでしょうか。
あとは「ピンチであることを明確にする」ための演出です。

・実装しよう!

まずは根幹となる「樽を拾って」「置く」動作を実装します。
ツクールに慣れてる方からすればだいたい想像はつくでしょう。
コモンイベントを使います。

「樽を拾う」場合はこんな感じ。
拾った樽のイベントIDを変数に格納しておきます。

「樽を置く」場合はもうちょっとややこしく……

プレイヤーの位置を取得

プレイヤーの向きから樽の置かれる位置を取得

樽が置ける場所であるかどうかを判定

置ける場所であるなら、持っている樽のイベントIDをその位置まで移動させ、セルフスイッチをOFFにする

となります。
ただ、いきなりそんなには上手くいかず、「樽を拾う」のと「樽を置く」のが同じボタンなので、「樽を置いた瞬間にまた拾ってしまう」という問題が発生しました。
仕方ないので樽を置いた直後には1フレームのウェイトが入っています。
あとは、樽を置けば物音を立てる設定ですので警戒ゲージを上げる処理を追加したりします。

警戒ゲージの実装はシンプルですね。
一歩進むごとに警戒ゲージが増える処理、あとは時間経過で警戒ゲージが下がる処理も入れます。

重要なのは警戒ゲージの上り幅を一定ではなくランダムにしたことです。
これによって「このくらいならいけるやろ……」「うわ! さっきめっちゃ危なかった!」というような体験を発生させる狙いです。
もちろん上限値は決まってます。
「どんなに慎重に動いてもプレイヤースキルとは無関係に警戒ゲージがMAXになって詰む」という状況は発生しない程度のランダムです。

あとの工夫は区画ごとにわかりやすく色分けしたくらいですかね。
「ひとまずあそこまで戻れば安全……」という目安をつくる狙いです。
ネウロではとある格闘家がそれでXIに殺されたりしてましたが……。
本作でも、危険領域を抜けたからといって迂闊にダッシュしてると死亡するおそれがあります。

と、ここまで作れればゲームとしてだいたい体裁が整ってきます。
で、テストプレイ! 楽しい!
この手のアクションゲームみたいなのは作るのは初めてだったので不安でしたが、実際やってみてちゃんと楽しいのは嬉しかったですね。

実はいうと、先の「水溜り」トラップもそうですが、もう少しランダム要素を加えた方がいいんじゃないかと思っていたこともあります。
「蝙蝠みたいな雑魚モンスターがうようよしてて、ぶつかると音を立ててしまう」みたいなのも考えてたりしたんですが……

そんなん要らんわ! ドラゴンだけで十分だわ!

・改修しよう!

テストプレイを重ねるうちに不便だな……と思う部分が出てきます。

ドラゴンの判定がわかりづらいよ!

一秒を争うゲームなのに、「ここ置けねえのかよ!」というストレスは大きなものでした。
対策として、「ドラゴンに置こうとした(置けない)場合は一歩下がる」という挙動を実装しました。

さて、ドラゴンの絵も描けて、点数計算の処理もできて、リザルト画面もできて……これはもう完成では?
ここまで二日です。

たった3分のゲームとはいえ、3分のゲームだとこんなにさっくり作れてしまうものなのですわね。
ツクール歴は長い方だと思ってますが、ここまでの短編というのは作ったことがなかったので新鮮な気分です。
あ、ちなみに上の画像だと開発中のものなので制限時間が5分くらいになってますが、さすがに長すぎるので3分に修正したりしてます。

「一週間でゲームをつくろう」という企画なのであまり気負わずもう公開してしまってもよいですが……逆にいうと、まだ時間はあります。
おれは慎重な男……。まずはβ版として限定公開し、プレイヤーからのフィードバックを待ちました。

・OPデモは二周目以降は飛ばしたい
 →対応
・ダッシュを使い分けるのに気づかなかった
 →チュートリアル画像を出して対応
・リザルト画面で爆弾の配置も共有したい(初期verでは真っ白だった)
 →対応
・ゲージが見えづらい
 →白枠で囲って対応
・頭の点数が低いので狙う意味がない
 →頭の点数を大幅に上げることで対応
 →部位破壊なども考えたが「討伐が目的なのに部位破壊?」みたいなのもあり、結局不採用
・3分は長いかもしれない。2分で十分では?
 →いろいろ考えてやっぱり3分のままに

意外にもバグはほぼありませんでした。
これだけ短いとバグもないのか……(新鮮)。
しかし、やはりβ版は大切ですわね。自分だけでは気づかないことが多いものです。

・その他

あとなにかあったっけ……。
そうですね。「音」ですね。これは重要です。

BGMについては、「音を立てないようにこっそり」という設定なので最初は無音でもいいのではとか思ってましたが、上記の「認知リソースの消費」を意図して緊迫感を煽るドラムベースの曲をこちらより選びました(あるいは「眩暈(イリンクス)」と呼ばれることもあります)。
ただのステルスゲーというわけでなく「急げ!」というゲームでもありますからね。

いえ、まさかこの3分ゲーのために購入したわけではなくもともと「なんかに使えるやろ……」と思って買ってたのを使っただけです。
他に使ってないなら実質3分ゲーのための購入やないかい!

使ってる素材についてはこちらにまとめてあります。
有料素材が多いのは買ってたからです。買ってたからには使いたい……。
フリー音素材だと前にも紹介しましたが「くらげ工匠」さんがおススメです。システムSE系が揃ってます。

あとはリザルト画面! 大事です。

「クリアめでてえ!」というのと「自慢したくなる」感じを想定してつくりました。
逆にいうと、いい感じのリザルト画面が実装されてないと「紹介したいけどスクショどうしよ」みたいになることもしばしば。

本作はRPGアツマールのスコアボードAPIを利用しているためオンラインランキングが実装されています。
これもはじめて使いましたが楽しいですね。
作者記録は一瞬で追い抜かされました

え……そんな顔の近くにいっぱい爆弾置くの……怖くない……?

・プロジェクトファイル

せっかくですのでプロジェクトファイルも配布しておきます。

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