「ボス戦」嫌い

私情になりますが。
客観的っぽい体裁で、主観はあまり挟まないようにした方がいいんじゃないかと思いましたが。
ぶっちゃけます。僕はゲームにおける「ボス戦」が大嫌いです。
(以下、主にRPGを想定)

・「ボス戦」はなんのために存在している?
「プレイ時間を稼ぐため」です。

え? 他にもある?
「ゲームを盛り上げるため」だとか、「これまでの冒険で鍛えた力を試すため」だとか。
あるにはあると思います。一番大きいのは「足止め」でしょう。
そしてそれこそが、僕が「ボス戦」を嫌う理由でもあります。

せっかくの冒険が、異なる風景を見せ続け、先にはなにが待つだろうとワクワクさせてくれた冒険が、ボス戦によって一画面で延々と数十分も拘束される
冒険を続けたいだけなのに、道を塞ぐボスを倒さないかぎり次の冒険に出発できない。
さらに「勝てない」となると、そこからさらに引き返してレベル上げだの装備を揃えるだのといった作業が必要になります。
最悪です。なにも楽しくありません。

アクションゲームの場合、特殊ルールを強制されて同じ動き(ヒット&アウェイ)を何度も繰り返し強要される作業もめちゃくちゃ嫌いだったりもします。

・「ボス戦」って本当に必要?
「属性」の存在意義についてと似たような話になりますが、ゲームにおいて「ボス戦」とは本当に必要なものなのでしょうか。
僕は「ボス戦」が嫌いすぎて自作ゲームでは可能なかぎり「ボス戦」を排除する方向でつくってきました。

結果、ゲームにメリハリをつけるため「ボス敵っぽい」存在は設置せざるを得ませんでした。
とはいえ、それで何十分も足止めを食らうのが嫌なので「やや苦戦するものの倒すこと自体は簡単」くらいの強さに留めています

ただ、「ラスボス」はいてもいい、あるいはいるべきだとは思っています。
なぜなら、そこは冒険の終着点だからです。
これまでの冒険の成果を最後にぶつける相手としてのラスボスは必要かもしれません。


・冒険の障害としての「ボス」か、冒険の結果としての「ボス」か
「ボス戦」が嫌いといっても、あまり気にならないタイプもあります。
たとえば「ボス戦」しかないようなゲーム。それがメインコンテンツなら仕方ないね。

あるいは、道を塞ぐ形の「通行止め」ではなく、「ゲーム進行上倒さなくてもいいけど倒すといいことがあるよ」というタイプのボス。
ダンジョンの奥に眠る伝説のドラゴン。こちらから刺激しないかぎり襲ってくることはありませんが、伝説の財宝を抱えていて……?

「倒さないといけないボス」はめんどくさいだけですが、「倒さなくていいボス」は倒したくなるのが人情です。
そいつを倒すのに工夫が必要だったり十分なレベルや装備が必要なのであれば、「時間稼ぎ」という目的もまた果たせまるでしょう。

・要は「足止め」できればいい
「ボス戦」の目的が「足止め」であるならば、逆にいうと「ボス戦」を排除するデメリットは「足止め」ができなくなることです。

「足止め」されるのはプレイヤーにとってストレスですが、よいゲーム体験にはこのストレスを適切にコントロールする必要があります。
「プレイ時間を稼ぐ」というとあまり印象はよくありませんが、これはゲームにおいてかなり重要なことです。
ゲームというのはある程度のプレイ時間(コンテンツ)がなければお話になりません

ダンジョン探索ゲームであれば、「この先に行きたい!」「でも今は(なんらかの要因で)行けない!」と障害を設定すればこそ、「この先にはなにがあるんだろう」という感情が増幅され、先を行けたときの喜びも増すというものです。

というわけで、「足止め」そのものは欲しいところです。
『カリスは影差す迷宮で』では「魔法鍵」というシステムを採用しました。

鍵を扉の錠に差し込み、ゲーム内時間が経過すると開けるようになるというものです。
つまり「鍵を差していったん引き返す」必要があります。
「足止め」は食らいますが、時間さえかければ確実に突破できる仕様です。
本作では「30日」の日数制限があり、一日の終わりには「古文書」や「魔術書」を読むという工程も存在しており、いろいろ噛み合ったシステムだと思っています。

また、『人類滅亡後のPinocchia』では「ボス戦」めいたものはありますが、「ボス戦」そのもので時間がかかったりなかなか勝てなかったりするのではなく、「損傷が激しくなったのでそろそろ引き返したい」という方向での「足止め」を意識しています。
要はプレイヤーの判断に委ねているわけです。

あとは「謎解き」による「足止め」もあるとは思いますが……。
「同じ画面で何十分も拘束される」という点では「ボス戦」と大差ないので個人的には微妙なところです。
「鍵などのアイテムが必要」というなら引き返せばよいだけなのでよいかもしれません。


・プレイヤーを楽しませるための「時間稼ぎ」
「時間稼ぎ」はゲームにおいて重要なものだとは書きました。
ですが……

このような、「時間稼ぎのための時間稼ぎ」を目の当たりにしては、プレイヤーはブチ切れてゲームを放り出してしまうかもしれません。

「時間稼ぎ」はあくまでプレイヤーを楽しませるために必要なものです。
「時間を稼ぐのはいいけど、で、それで楽しいの?」要するにそういうことです。

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