PISAN ZAPRAという言葉がある。
マレー語で、バナナ食べる所要時間という意味らしい。

クスッと笑えて、なんか微笑ましいなとも思いつつ...
バナナ食べる所要時間って...どんなバナナを、誰が、どんな状況で食べるかで変わるやん。所要時間やのに全然定量的でないやん、って思って心の中でツッコんでしまった。

でももしかしたらマレーの人たちにとっては、PISAN ZAPRAは時間を測るための用語ではないのかもしれない。どれくらいのPISAN ZAPRAであったかを基に、そのバナナの大きさを想像するのかもしれないし、その人の食の状態を想像するのかもしれない。"ここから駅まではだいたい5 PISAN ZAPRAくらいかな" ではなく、"PISAN ZAPRAはだいたい4分くらいかな? ""それは大きいバナナだね""このバナナだったら、私のPISAN ZAPRAはだいたい1分くらいかな? ""あなた早食いね"みたいなの。

もしかしたら、マレーのバナナはだいたいサイズが同じで、よく食べるから、皆体感的にPISAN ZAPRAの時間の長さがわかるのかも知れない。時計がいたるところにない環境では、体感的にイメージできるPISAN ZAPRAの方がコミュニケーションはスムースにいくのかもれ知れない。

結局、PISAN ZAPRAが使われる背景を知らない限り、真の使われ方はわからない。切り取られた事実からは、憶測でしかできないし、そもそも憶測すらせずに、自分の価値観で判断して面白い、面白くない、良い、悪い等を決めていることもある。

PISAN ZAPRAだけではない。結局は、今見ている事実を鵜呑みにするのではなく、背景を考えたり、知ろうとすることが大切なのだろう。