247.同士に背中を押されて

仲良しの友人(Aちゃん)が昨年末から不倫を始めた。
彼女は私と同い年で子持ち、お相手は同い年で独身。
前から"職場に好きな人ができた"と言っていたけど、ついに不倫関係になったと私に連絡をくれたAちゃんに、
実は私はかなり前から不倫してることを、1月に会った時に正直に打ち明けた。
今まで言えなくてごめん、と謝った。Aちゃんは私が言えなかったことも理解してくれた。
気のおけない友人に打ち明けたのはこれで3人目だけど、前の2人には不倫なんてとんでもないとドン引きされた。話す相手が悪かったのもあるけど、当事者にならなきゃわからないもんだ。
Aちゃんは相手が独身なので私とはまた少し状況は違うけど、こんな話をできる人はなかなかいない。

昨日はそんなAちゃんと会ってお互いの近況を報告し合った。
彼が転勤になることは内示当日に知らせていたので、私がすごく落ち込んでいるのではと心配してくれていた。
でも結局は別れるのではなく、続ける方向での選択になって晴れやかな気持ちでいる様子に「元気そうで良かった」とホッとしたみたいだった。

彼は子どもの卒業式で帰省してて、ちょうど私がAちゃんと会っていた駅に20時すぎの新幹線で帰ってくることになっていた。
「門限がないなら、彼の帰りを待って少しでも会った方がいいと思うよ」とAちゃんは背中を押してくれた。
Aちゃんは家庭の事情で夕飯までには帰らないといけなかったので、彼に一目会うには解散してから3時間以上待たないといけなかった。彼もまさか私が待つとは思ってなかったようで、
「〇〇駅で待ってます」とメールしたら、
「酔っ払ってるんですか!?」と返事が来た。

その辺でプラプラと時間を潰し、入場券で新幹線のホームに入り、彼の乗った新幹線が入線するのを待った。
よりによって強風で新幹線は遅延していて、ハラハラしながら待っていた。

結局、新幹線が到着して彼と会ってから私が乗る特急電車の時間までたった30分くらいしかなかったけど、私が乗る電車のホームまで一緒に来てくれて、発車ギリギリまで一緒にいた。
祝日の21時頃のホームは人もまばらで、誰もいないところを見つけて、こっそりキスをした。
私たちは隙あらば電話するし、隠れる隙間あらばキスをする。傍で見られたら痛々しい中年カップルに違いない。当事者はいたって真剣だが。

私が特急に乗ってから、窓越しに彼と自分が写るように自撮りした写真をメールで送ったら、彼も同じように私が写るように自撮りした写真を送ってくれた。

引越まであと10日、会えるのはあと数回。
3時間半待って30分会えるだけでも会って良かった。

私が彼を待つことにしたとAちゃんに伝えたら、
「今月は1分1秒が貴重だね!」と、メッセージが来た。そう、よくわかってらっしゃる。

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