問題をデザインする川久保玲
*このテキストはサービス「AFFECTUS subscription」と「AFFECTUS letters」の有料ニュースレター「LOGICAZINE(ロジカジン)」で、2019年7月30日に配信されたタイトルです。
無料公開期間:2019年9月2日(月)まで
本文は以下から始まります。
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6月に発表された2020SSメンズコレクション。その中で私が最も強烈なインパクトを感じたコレクションは、パリで披露されたコム デ ギャルソン オム プリュスだった。
1920年代の女性を連想させるウェーブのかかったボブヘア、テーラードジャケットを軸にフリルやギャザー、ティアードスカート、ワンピースといったウィメンズウェアの歴史を彩ってきたディテールやアイテムを融合させたコレクションに私は頭が混乱する。
外観は強烈な特徴を備えた女性のための服。しかし、発表の場となったのはパリメンズコレクションであり、登場するモデルたちは全員男性。そのギャップが私を混乱に陥らせた。
「いったい、なんなんだ……」
心の中でこう思わずにはいられない。ルックを次々に見ていくと、ますます加速する混乱。
ジェンダーレスがファッションデザインの必須科目となった今の時代、ウィメンズウェアのディテールやアイテムをメンズウェアに取り入れるデザインや、ウィメンズウェアを男性モデルが着用するコレクションは珍しくない。近年、そのようなジェンダーレスなコレクションは毎シーズン登場している。
しかし、見慣れているはずのジェンダーレスデザインにもかかわらず、これまで見てきたジェンダーレスデザインには感じられなかった異様で異質な迫力が2020SSシーズンのプリュスにはあった。
そう思った要因はどこにあるのか。いったい川久保玲は何を仕掛けたのか。その理由を探っていきたい。
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