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2023年下半期お気に入り音楽

  2023年下半期で良かった音楽作品紹介です。上期もそうでしたが、今一つ音楽にのめり込めていなかったのが今年の印象でした。良作はあるけれども、大きな転機となる重要作がないというか。これだけ、人の好みが分散していくと、共通して好きになれる音楽は生まれにくいのかもしれません。とにかく繰り返し聴いた作品を挙げていきます。

 2023年の上期はこちらから。↓

『Rain Before Seven…』/Penguin Cafe

 アンビエント的だった前作からスタイルを変えて、リズムを前面に出してきた新作。肝となるメロディラインは相変わらずの職人芸で、いつ聴いても気持ちいいですね。父親がやっていたペンギン・カフェ・オーケストラよりもリズムが後方にあった印象でしたが、いよいよ父親のスタイルに近づいてきた気もします。ただ、そこから独自路線になっていくのを期待したいかも。

 

『For That Beautiful Feeling』/The Chemical Brothers

 これだけキャリアがありながら、未だに駄作を出していないのは正直脱帽。どのアルバムも質が高いんですけど、今作はケミカルらしさ全開なのに、マンネリと感じさせず、ちゃんとアガれる音なのが凄い。本人たちがこの音で興奮しているのが伝わってくるからなんだろうと思います。2024年の来日公演も思わずチケットを買ってしまうくらい、繰り返し聴いてしまいました。


『Mid Air』/Romy

 The XXのボーカル、Romyのソロアルバムなわけですが、正直XXよりも好きですね。スタンダードな4つ打ちエレクトロなんですけど、哀愁ある歌メロディとの融合具合が抜群。軽薄にアガれるのに、切ない感情も抱いてしまうという、大好物の作品に仕上がっています。


『Playing Robots Into Heaven』/James Blake

 James Blakeもエレクトロと美しく切ないメロを融合させた大好物のアーティストなんですけど、ここ数作のアルバムはメロ主体ばかりで、トラックメーカーの部分はシングル曲とかでちょこっとやっているだけの印象でした。メロディ作品はちょっと食傷気味かもと感じていたところで、今作のがっつりフロア向け仕様の新作は最高のタイミングですね。こういうのを待っていたんですよ。どんな形でライブアレンジしてくれるのか、マジで楽しみです。


『Sorry I Haven't Called』/Vagabon

 ROSTAMがプロデューサーということだけで、たまたま聴いたところ大当たり。ROSTAMが手掛けているアーティストに外れがないのですが、特に聴き易いのがこのVagabonでした。M②とかは踊りつつ、どこか泣いてしまうような哀しさがあり、ずっと繰り返し聴き続けてしまいます。


『Isn’t It Now?』/Animal Collective

 メンバーのソロ活動も多い中、本体のアニコレでも充実の作品を創ってくれました。今までの作品よりも生音のままで録音されているけれど、アニコレ独特の浮遊感はそのままなんですよね。エレクトロやエフェクトの音処理をしなくとも、異空間の音表現を出来るようになっているのかもしれません。


『The Silver Cord』/King Gizzard&The Lizard Wizard

 上期でもメタルアルバムを出しておきながら、今作ではいきなりのシンセメイン、クラフトワーク的な音楽という相変わらずの節操のなさ。高低差があり過ぎと思いながらも、内容はしっかりと傑作というのが凄まじいですね。前作での、メタルアルバムなのに最終曲のラストでエレクトロになるのは、今作への予告だったのでしょうか。もう次、何出しても意外とは思わないでしょうね。


『Hackney Diamonds』/ The Rolling Stones

 ストーンズは熱心に聴いて来なかったんですけど、今作の充実度は凄まじいですね。いつラストアルバムになってもおかしくない年齢ですけど、「んなわけねえだろ」とデカくて太っとい低音を鳴らしてくれています。一昨年のドラマー、チャーリー・ワッツの逝去以降、ミュージシャンの訃報が多いですが、今作を聴いているときはその哀しみを忘れさせてくれるロックンロールの快楽がありました。


『Hadsel』/ Beirut

 こちらも職人的に良メロディを生み出し続けているBeirutの新作。バンドメンバーを揃えず、独りで創り上げたそうですが、リズムもアレンジもシンプルになった分、メロが際立つし、何よりも哀しさ、寂しさみたいな感情も強調されていて、魅力がグッと感じられるようになっています。これもいつ聴いても気持ちいい音楽。


『CASANOVA SAID "LIVE OR DIE"』/THEE MICHELLE GUN ELEPHANT

 基本的には新譜で良かった作品を紹介したいのですが、2023年でこれに触れずにはいられない。ミッシェルと共に10代20代を過ごした自分にとってチバユウスケの逝去は、最もショッキングな出来事でした。哀悼の意を込めて、ミッシェルのアルバム作品を聴き直したところ、オリジナルアルバムはその時々で一番は決められないけど、ライブ音源を含めればダントツでこのアルバムがミッシェルの最高傑作だと思います(若い世代には申し訳ないが、ROSSO、the birthdayは興味なし)。4人の音が1つの塊になってぶつかって来る凄まじい演奏。ミッシェルの作品というだけでなく、世の全てのライブ盤でも、トップに位置する作品だと思います。CDの初回特典に付いていたアンコール4曲は、サブスクでは聴けないので、ずっとCD音源を大事にしていきたいと思います。本当にカッコいいバンドだった…。


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