見出し画像

ふぉれすとどわあふ 二歩前へ 三羽さんの企画

みすてぃさんのひとつ前のお話になります👆

【694字】
午前6時。
クマサン正規軍の巡視船は残党30名を乗せて、地球に向けて出発した。
月の裏側を抜けると暗闇に青く輝く地球が見えた。月の裏のデザート砂漠にうんざりしていた隊員たちから「おー」という、感嘆とも溜息ともつかぬ声が漏れた。

クマサン司令官の頬に涙が光ったのを副司令官は見逃さなかった。
「どうなさったんです?」
「何でもない」
「ああ、司令官のお生まれは地球だったとか」
「大昔の話だ。私の父はイギリス人だった。そしてニューヨークで諜報活動に明け暮れていたらしい。その情報が今回の作戦でも役に立つ・・・はずだった。それがこのザマだ」
「まだ大丈夫ですよ。司令官」
「母星に帰って、なんと申し開きをする。これだけの人員と装備を失って」
「さすがに一人の女の子にやられたとは言えませんね」
「いや、あの女の子は特別なんだ。きっと我々では歯が立たないだろう。私は信じなかったが、父がよく言っていた。地球を甘く見るなと」
「まさか、女の子ひとりでしょ?」
「あの子の頭に銃を突き付けて引き金を引いてみろ。次の瞬間、銃弾はおまえの脳みその深いところに食い込んでるだろうよ」
「まさか・・・」
「掴まえなきゃダメなんだ。私は今回の作戦ではそれに終始することになる。他の奴らの処遇はおまえに任せる。思う存分やれ」
「はい。司令官。やらせていただきます」

クマサン司令官は父親の故郷で余生を過ごすことを決めていた。それにはどうしても赤い星の宝石が必要だった。

地球の大気圏に突入して、巡視船は炎に包まれた。
 


ビルとマサコは空に輝く真昼の流れ星を見ていた。
「ビル、あれ、珍しいわね」
ビルはグリグリと顎を触ってから、人差し指を立てた。


今回のテーマ曲は最高!

次のテーマ
①赤い星の宝石のお話(藤家さんのお話を基に)
②コーヒー畑の夢
③「ふぉれすとどわあふ」のこれから

物語はここから始まった👇


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?