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秘伝のタレで低予算でも面白い。コスパ最高の映画「10 クローバーフィールド・レーン」

★★★★☆(満足度:四つ星)

<あらすじ> 服飾デザイナーのミシェルは、婚約者と喧嘩し車で家を飛び出すが交通事故にあってしまう。意識を失い目を冷ました場所は窓のないシェルターのような密室。そこで治療を受けた状態で繋がれ監禁されていた。

予算と満足度は比例しない。

ハリウッド大作と呼ばれる映画は製作費200億円以上。中には300億円を超える作品もあります。(近年だとパイレーツ・オブ・カリビアンがそれ)有名な俳優、迫力のアクションやセット、見る限りお金がかかってそうなのは映像は素人でもわかります。

でも、残念ですが「よかったけど、ハリウッド映画だし中身は無いね」的なテンプレ感想もよく聞きます。中身ってなんなんでしょうか? 期待したベクトルに対して満足できなかった不満ですかね。

問題はお金と満足度は比例するのか。
答えは違う。この映画の製作予算は約15億円。ハリウッド大作の1/10以下です。お金をかけなくてもハラハラ、ドキドキさせることはできます。ただし作り手が人の感情を揺さぶる秘密のレシピを持ってる人ならば。

三ツ星シェフが作る “生姜焼き” のような映画。

ドキドキ、ハラハラさせる秘伝のタレのおかげで、安い肉でも、ごはん3杯いけちゃうおかずに仕上がっている「10 クローバーフィールド・レーン」はスリラー映画です。

プロとは条件に関わらず目的を達成できる人だと思います。面白くなる理由を論理的に説明でき、条件にに関わらず再現できる。だから予算が少なくても面白いものを作れるのです。

プロデューサーのJ・J・エイブラムスが、「スターウォーズ」や「スタートレック」のような人気シリーズの続編(高額予算)を託されるのは、その職人的ノウハウと信頼があってこそです。

この映画は具体的な内容に触れると美味しさが半減するので書きません。この「note」はネタバレせずに「見てみようかな」と思う判断材料になれることを目標にしてるので、作品論や演出論については他の方のレビューを参考にしてください。

予算に関わらず価格は同じ、故に原価率10%で大成功。

「10 クローバーフィールド・レーン」の興行収入は100億円以上をあげています。映画は予算に関わらず同じ価格で消費されるメディアですから、製作費が安い方がリクープラインは低い。売上に対して原価は約10%とビジネスとしても優秀な作品です。

AV機器の進化で家庭でも迫力ある映像体験ができるようになった以上に、スマホで映画を視聴するだけで満足という世代が増えれば、すでに斜陽な映画館産業は益々厳しくなっていきます。

メディアの変化に対応するコンテンツ制作のノウハウは今後重要な要素になると思います。でないと、牛丼で満足する人に高級フレンチを提供するようなズレが起きてしまいます。その人はお腹が空いているだけですから。。。

映画「10 クローバーフィールド・レーン」はAmazonプライム・ビデオで鑑賞できます(2017年9月現在)


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