ずるい人。

姉が住んでる梶ヶ谷のアパートのベランダが好き。
四階だから見晴らしもよく適度に広くて、パイプ椅子を置いているからそこに座って音楽を聴いていると、日常のやらなくてはいけない事とか悩みとかから、一時的に解放される。

一年以上忘れられなかった男から教えてもらった曲を久しぶりに聴いた。
TETORAのずるい人。
その男に初めて会った時は、学生の時バイト先にいた優しいけどのぺっとしていて陰キャ代表のような先輩に顔が似ていて、すごく嫌な気持ちになった。
そいつと直接会うまでに盛り上がってすでにしていた約束だけは守らなければと思い、三茶でおすすめのお店があるとその男が連れて行ってくれた秘密基地のような飲み屋で、この曲を教えてもらった。
その時お店には2人しかいなくって、19時に待ち合わせして、終電ギリギリまでいた。

その時から、もう会ってくれなくなった今に至るまでのことを、最近はあまり哀しいと思わなくなっていたが、この曲を聴くと、これから始まる楽しい日々のことを想っていたあの頃の私を、その楽しい日々が、思っているよりも呆気なく終わってしまう現実を知っている今の私が、馬鹿だし切ないけど、羨ましなと思う。

人から教えて貰った曲はいつでも、その人との時間と記憶を連れて、戻ってくる。

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