見出し画像

こんな夜中に思い出す人

去年の8月に忘れられない人に出逢った。

また8月がきて、やっぱり思い出してしまって、どうして今の私に、その人がそばに居ないのか、未だに理解できていないし、納得出来ていない。

あの時の自分と、今の自分は、いったい何が違うのか。
あの時にはあった魅力が、今はまったくなくなってしまったのか。

私の最寄りの駅から二駅先の場所に彼はいて、毎回決まって私が彼の家にいく。三軒茶屋のカフェでラストまでのバイトが終わって最寄り駅に彼がつくのが大体0時10分。だったかな?もう、何時に彼が駅に降りてくるのか正確には思い出せなくなってしまった。私は彼の最寄駅で、改札を出て顔をすぐ見られるのが恥ずかしいから、駅を後ろ向きにして、腰掛けれるくらいの手すりのようなものに寄りかかって待つ。

ぽんっと、肩を軽く叩くか、頭に手を置いて、おつかれ〜と、柔らかい気の抜けた彼の声が後ろから聞こえて、そこから10分、彼の家に着くまで、今日の出来事や、暑くて嫌だな〜とか、ご飯食べた?とか、たわいも無い会話をしながら歩く。これが私の当時の全てで、それが当たり前の日常だった事が、今では夢のようだ。

アプリで出会った割には、続いたほうだと思う。

「久しぶり!借りてた本やっと読んだよ!こんど返すね!」
なかなか会うことがなくなって、連絡も、送ってもすぐに既読になって終わるか、何日置きにしか返事が来なくなって、自分なりに、一か八か、渾身のLINEを送った。送ったのが今年の5月で、8月に入った今、返信は未だにきていない。

付き合ってもいないから、終わったというのもおこがましいのかもしれない。

でも、確かに一緒にいたんだ。彼の最寄駅に、降りる理由はもうない。いつも降りることもなく、通り過ぎるだけだ。

0時10分に駅を降りて改札をでても、私が待っていない日常に、貴方はすっかり慣れた?

1人で帰るのが寂しい夜なんかに、ちょっとでも、貴方が三軒茶屋から帰ってくるのを楽しみに、でもこの関係が、この駅で、貴方を待てば待つほど、終わってしまうのではないかと不安に思っていた私を、思い出したりする?思い出してよね


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?