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HCD Meetupで議論した「HCD≠UXD?」

先日、HCD-Net(人間中心設計推進機構)が主催する「HCD広めたい人Meetup vol. 3」に参加してきました。
私も人間中心スペシャリスト資格者として、正しい知識を身につけ、ビジネスの成長につなげていくことを目指し議論に参加。
そのMeetupで議題になったことに加え、皆さんが注力していたHCDとUXDは似て非になるものか?ということに疑問や認識不足があるとうに思えたので、今回noteでまとめました。

その前にMeetupの内容について少しご説明します。

HCD広めたい人Meetup LT

テーマ

・『HCD』がバズらないのは何故だろう
・ワタシは『HCD』と言わずにHCDを広めました

LT

1. 「HCD認定者が期待していた『認定後の世界』」飯塚 幸雄氏(HCD-Net広報社会化事業部)
2. 「『HCD』がバズらないのは何故だろう」鈴村 昌司氏(株)クレスコ
3. 「HCDの新しいプロモーション戦略」在家 加奈子氏(富士通デザイン株式会社)
4. 「『HCD』言い換えキーワード『〇〇〇』」相澤 奈保子氏(株式会社リコー)
5. 「自社サービスの運営・開発とHCD」小川 美樹子氏(株式会社LIFULL)
6. 「HCDとAI」飯尾 淳氏(中央大学)

少し参加が遅れてしまい、スライドの撮影やツダるのも部分的になってしまったので内容は掻い摘んで。。

クレスコ 鈴村さん
クレスコの鈴村さんは、HCDの改名を提案。「使う人やそれにまつわる人たちが利用して心地よいものを設計する(ためのプロセス)」と定義され、「人間快適設計」や「インサイトデザイン」などナイスアイデア。
人間中心という広義な領域から、目的を見定めた名称はアリな気がしました。

富士通デザイン 在家さん
また富士通デザインの在家さんは、HCDの広報戦略を立案。UXに並んで「HX」を広める戦略でした。
テーマにある「HCDがバズらない」は正直あまりピンとこなかったのですが、バズらせる理由があるのか、バズってどうなりたいのか、ということが疑問でした。
HXという言葉で認知が広がるため、簡素で、スローガン的で、シンボリックな表現に振り切るというのは、ある意味強いのかなと。

ライフルの小川さん
ライフルの小川さんは、自社で取り込んでいるHCDをベースに実施していることとその結果をまとめてました。
そこで重要にされているのが「タスクの設計」と「結果共有

相手の知りたいことと、ユーザビリティ面から伝えたいこと、両方を取り入れる「タスク設計」
結果の活用方法を思いつきやすくするような提案や事例で、現状の問題を想像しやすく伝え、施策化時の優先順位の付け方、またサービス本来の良いところを伝える「結果共有」

ただ問題点を伝えるだけではなく、評価結果を伝える対象のエンジニアなどに、次のステップに移りやすくしたり、本来の魅力も伝えることは非常に共感しました。
ユーザーテストの結果から、改善施策の打率を上げるために、参加者に知識をつけてもらったり、サポートに入るのは大切なことですね。

ワークショップで感じたこと

ワークショップはテーマに沿ってグループでフリートークになりました。
その際に、それぞれのHCDとUXDの定義、業務で行っている内容や問題点について意見交換を実施。
その際に出て来た意見を拾い上げて付箋に書いていきました。
内容はランダムで部分的なので、あくまでその場での意見としてご理解ください。

自分自身も、UXDの定義とHCDの定義が曖昧で、皆さんの意見の中でもそれが混合したり比較対象としてのズレを感じました。

総じてHCDはユーザビリティに即したプロセスの理論で、UXDはその様々な手法を使ってユーザー体験を達成するための設計、という考えが私の見解です。
また、アカデミックで定義の理解から入るHCDはスピード感に劣るかわりに、教育的なアプローチが確立している印象で、現場で日々の解析情報を基準にPDCAをぶんぶん回すのがUXDと印象づいていたのですが、それも違うように感じました。

なかなか理解が定まらないままMeetupを後にしたので、自分なりに定義から振り返ってみました。

改めて調べてまとめてみた

調べていくうちに新しいキーワード「UCD(ユーザー中心設計)」がでてきました。。作り手となるデザイナーのプロセスに着目した考えと記されていることが多いUCDは、設計段階で繰り返しユーザーの視点に立ち、プロダクトの満足度を高めていくことと認識しました。
UCDに関しては、シャープの定義がわかりやすく感じました。

操作的なHCDで本来の人間が心地よく使える設計を行い、認知的なUCDで要求や問題定義を都度改善させる。
その「プロセス/手法/理論」を基盤に「デザイン対象分野」の各デザインを実行してく。
そしてユーザーの行動や思惑をより理解するため、「基礎となる関連分野」を取り入れて設計を行う。
この全体の「プロセスの流れ」がUXDとなる、という感じで捉えました。

認識のズレや誤りもあるかと思いますので、ぜひご指摘・アドバイスいただければ嬉しいです。

まとめ

今回HCD Meetupに参加して、似たような言葉や理論が登場し、自分自身も非常にあやふやになっていた中、UXDとHCDが似て非になるものであり、違いに役割や定義も異なっていると気づかされました。
ただその定義や理論を声高にうたっても、ユーザーには関係のないことです。デザイナーとして様々な手法や理論を道具としてうまく利用していきながら、チームと共にポジティブな設計を行い、ユーザー体験価値を高めることに注力したいと考えます。

最後にUXDとHCDのまとめと、参考サイト、それとそれぞれの提唱者を紹介します。お二人ともとってもお茶目でいい表情されていたのでイラストにしました。

UXDとは

UXD(User Experience Design)
UXはユーザー体験のことで、UXデザインとはそのユーザー体験を実現するための方法論。
製品やサービスを企画の段階から、様々な手法を用いて、理想のユーザー体験を達成するための設計。
人間の「認知性」に加え「感情性」に注目した概念。

ドナルド・アーサー・ノーマン
Donald Arthur Norman、Don Norman
アメリカ合衆国の認知科学者、認知工学者

HCDとは

HCD(Human Centered Design)
モノや技術中心ではなく、使う人間を中心に据えて、人の要求に合わせたモノ作りをするためのプロセスを体系化したもの
人間の「操作性」に注目した概念
国際基準機構「ISO 9241-210」で規格化されたもの
1999年に国際規格化(ISO 13407)されその後改変

ブライアン・シャッケル
Brian Shackel
イギリスの人間工学者

参考サイト


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