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お酒を飲まずに送る、シニア猫との暮らし。

猫はノルウェージャンフォレストキャットのメスで、先月14歳になった。

小さい頃からとても大柄で、手足と耳が大きくて、子猫というよりはライオンの子どもみたいだった。そしてヤンチャでおてんばで、革張りのソファからオットマンへと飛び交い、爪で傷だらけにした。

胃腸が弱く、長毛種の性で毛玉が吐ききれなくてお腹に詰まらせてしまったことがあり、小さな手術で取り除いたこともあった。結局換毛期は仕方なくトリミングしてもらったこともあるが、麻酔が可哀想で、うちでバリカンで虎刈りにして凌いだりした。

性格はおっとりしているが、抱っこが嫌い。人に触られるのも、自分が触って欲しい時以外は触らせない。人の食べているものにも一切興味がなく、フードも気ままな食べ方で、気位が高くてお姫様のような振る舞いだ。

12歳ぐらいからここ数年は、眠っていることが多くなり、よく甘えるようになった。撫でて欲しがったり、ブラシを要求したり。体重も少し減り、「大きい猫!」ではなくなった。撫でられてリラックスしていると、涎を垂らすようにもなった。

しかし、シニア猫のかわいさとはなんなのだろう?子猫もかわいいが、愛おしさでいうと、今の方が数倍愛おしく、胸がいっぱいになる。歳をとると血液検査など、健康管理に手間がかかるが、その結果で一喜一憂したり、自分の中の猫の存在が年々大きくなるのを感じる。

お酒を飲んでいた頃と、今と、それほど付き合いが変わったわけではないが、愛おしさ・心配・ブラッシングの時間は、確実に増えた。頭がクリアでいる時間が長いからだろうか。

また、面倒くさいことが減ったせいか、猫トイレの掃除や、床を転がる「猫毛」の始末などが、全く苦ではない。おしっこをしようものならすかさずシートを変えに走ってしまう。(数年前からトイレの砂を嫌がるようになり、シートに変えたら満足している)

もちろん、ペットは人間よりも寿命が短いものとわかって家族として迎えているわけで、実はすでにお墓の予約もしている。その時が来るのは始めからわかっているし、むしろ順番が逆になったらそれこそ猫がいい迷惑である。

しかし言葉が通じない分、一所懸命彼女の言い分を理解しようと努めるのが生活の一部になっていると、彼女が天寿を全うした後は、この愛情をどこへやればいいのかと、今から途方に暮れてしまう。

我々夫婦に子どもがいないせいもあるのだろう。しかもいい年齢になった私たち、親父ギャグのように「愛情がダダ漏れ」状態なのだ・・・。

続く



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