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井澤美保「ウィメンズヘルスケアを当たり前にする」

                      インタビュー日:2024.3.21
医療・健康予防の専門職に革新的リソースを供給し「健康」というキーワードで世界を1つにすることを掲げているのがHIPs株式会社です。
HIPs (ヒップス)は、Health&care Innovation Partnersの略称で、医療・予防健康業界における大臀筋(ヒップ)のような存在になるという意志が込められています。
様々な専門職が集まり、知識・技術・ノウハウを融合していくことで、医療・介護業界に新たな「上昇気流/UPDRAFT」が作り出せると考えています。
この考え方を追求した結果、HIPsでは優秀で個性あるスペシャリストの集団がひとつのValueを大切にし、各々のVisionに向かい日々活動しています。
今回はその一員である「井澤美保さん」にインタビューをさせていただきました。
HIPsを通して井澤美保さんの「ウィメンズヘルスケア」について覗いてみましょう。

井澤美保さんのプロフィール


理学療法士としての活動と個人事業での活動をしている。
循環器のクリニックで非常勤として週に2〜3勤務。運動療法を始動している。また、そこのクリニックで女性骨盤底外来を2023年11月に自費で立ち上げた。月3〜4回、症状で悩まれている方を専門の外来で診ている。さらには、尿漏れや骨盤臓器脱といった症状がある女性を対象としたケアサロンを行っている。加えて、女性の健康課題に対してサポートしていきたいセラピストの育成をする事業も展開している。


女性器疾患を専門にしたきっかけ

井澤:元々凄く興味があったわけではないです。脳梗塞やくも膜下出血後の運動療法において急性期介入のフローをつくりたくて、様々なデータをとったり学会発表をしたりしていました。しかし、自分が妊娠と出産の経験をし、「10ヶ月かけて体が大きく変化することに専門家が介入するべきではないのか」と考えたのがきっかけです。
川口:確かに身体が分かりやすく変化していきますね。
井澤:現在子供が2人いて、1人目の時に感じました。妊娠後期から助産師さんに2時間歩くように指導があって、職業病だと思うんですが「2時間歩く根拠は?」と考えてしまいました笑。毎日2時間歩いていたのに予定日を超過してしまって、「もっとその人にあった方法があったのではないか」と思いました。
川口:そこからどう深めていきましたか。
井澤:2人目妊娠した時に「チャンス」だと思いました。その頃、正常妊婦に対しての運動処方に興味があり、当時の文献はとても古いデータしかなく、自分でデータを取ろうと思いましたね。
川口:どのような方法でデータを手に入れましたか。
井澤:妊娠中期から後期にかけて、心配運動負荷試験(CPX:cardiopulmonary exercise testing)を使用しました。子宮が収縮しにくい時間が大体10a.m~2p.m.と言われていて、丁度昼休みだったので、マスクをつけて限界までエルボを漕ぎ、血圧を計測することを週ごとに妊娠中期から10ヶ月手前まで実施しました笑。
川口:かなり身体を張っていますね笑。そのデータをどうしましたか。
井澤:1ケーススタディーとして学会発表しました。
川口:発表したことで影響はありましたか。
井澤:発表がきっかけで、理学療法士界の上の先生たちに「こういうことに興味があるならウィメンズヘルスという世界があるよ」と声をかけてもらえました。アクションして良かったなと思います。

当時を振り返ってみて思うこと

自分のデータだけではなく他人のデータなどもう少しデータをとりたかったが、いろんなリスクがあってデータをとることができずに終わってしまいました。しかし、それがきっかけで疑問だと思ったことにアクションがとれ、思うような結果に至らなくてもなんらかの結果が出て、それに対して「どんなことをやったらいいのか」を繰り返していけているというのが有難い環境だなと思います。また、所属している科に「女性骨盤底リハビリテーション外来の開設依頼」を泌尿器科の先生にいただき、外来を開設することに携われたのが「今の自分」だと思います。さらに私は経膣触診での骨盤底アプローチを専門に行っています。この内容を総合病院で泌尿器科医の下、活動できていたことが自分の中で大きいです。

どのような患者さんが来診するのか

井澤:症状の発見が早くて軽傷の方もいらっしゃるし、再発予防でくる方もいます。しかし、ファーストアクションをどこかでとられていた結果、診てもらえなくて私のところにとても思い詰められて来られる方がほとんどです。
川口:セカンドオピニオンみたいな感じですかね。
井澤:そうですね。

患者さんに配慮や気をつけていること

井澤:症状改善だとは思いますが、「1番の不安な要素は」「苦しめているものは何なのか」を必ず把握することをしています。
川口:なるほど。他にはありそうですか。
井澤:段階を踏んでだが、私が関わらなくてもその人自身でアクションが取れるようにするのが最終的なゴールです。自分のところを卒業する時には、「これはこうだから自分でこうしよう」「これは自分では対処できないから来診しよう」「臓器が下がってきているからこのように整復する」といった対処法を学んでもらいたい。受身じゃなくて主体的にアクションを取り続けられることを大切にしています。

HIPsに加盟した理由

元々HIPsが主催しているアクセラレーションプログラムの0期に参加してからHIPsに加盟しました。プログラム参加理由は、自分の行動や事業を確実な形で加速させたかったためです。

プログラムに参加し気持ちの変化

客観的に自分をみることを行えていたようで行えてなかったことに気がつききました。あまり人の意見を聞いていなく、答えは自分の中にあると思っていたので誰かに話をして解決することはないと思っていた。すごく狭い視野だったと思います笑。また、様々な場面で他の方の思いを聞きながら、「自分だったらどうするか」「どうしたいか」と自分事として考えられ、体験してないことでも「体験した!」かのように思考の幅が広がる練習をして刺激をもらえていました。

HIPsの強み

川口:総合病院にいた時も他の科とチーム医療として関わる機会があったと思うのですが、HIPsのプログラムは違いましたか。
井澤:他職種で関わることが多いが、安心感だったり自由度だったりとかが違いました。それぞれ目指していることは違いますが、プログラムに参加している動機の根っこは似ていると感じました。そこの共有が、職場ではなかなかすり合わせが出来ず、相手を思いやることが他職種でやっていくのには不十分だったと思います。

今後の目標、HIPsを通して

井澤:変わっていないのは「ウィメンズヘルス、女性の健康課題に触れたり考えたりする機会が当たり前になるように」や「ネガティブな印象を変えていきたい」です。尿漏れ、更年期や自分の歳を重ねていくことに対して、もちろん不安もあると思います。キャリアの部分も目指しているところにいけないのではないかと考えることが多いと思うんです。そのような「ネガティブな考え」ではなくてなんか「ワクワク」に変換できることをやっていきたいなと思います。
川口:確かにネガティブな印象はありますね。それをワクワクに変換することはなんか楽しそうで良いですね。
井澤: 私が目指していきたい「ウィメンズヘルスケアを当たり前にする」は生きている間に作ることは難しいと思っていて、私が生きているうちに完結しなくても良いと思っています。同じ思いを持った仲間がきっと受け継いでくれて、歩み続けることで叶うはずです。そこに向け、今は頑張っています。「ワクワク」したものを仲間と一緒にやりたい。そのほうがウィメンズヘルスについて気にしている女性も興味を持ってアクションしやすいのかなって。でも、何かあった時に来診できる医療機関はあったほうが良いと思うので、できる範囲でサポートはしていきたいです。しかし今、重きを置きたいのは「今後も回っていけるシステムを作ること」や「持続可能な循環をどういう風に生み出していくか」。また、「ワクワク」しながらそれを歩み続けていけるように。そのようなものを作っていきたいです。

========================================================■ HIPs株式会社 (HIPs Inc.)
“医療・健康予防の専門職に革新的リソースを供給し、「健康」というキーワードで世界を1つにする”HIPs(ヒップス)はHealth&care Innovation Partnersの略称であり、ヘルスケア業界のヒト・モノ・カネ・チエ、スキルの流動性を高め、病気で苦しまない世界を目指します。
またそのために、医療健康の世界に新たなエコシステムを実現し、リスクマネーを投下できるファンド運用、医療健康従事者(ヒト)の流動性の向上、再現性の追求(データによるサジェスト)を実施します。医療健康業界における様々な状況で立ち塞がる 法人 & 個人 の課題やイノベーションを“まるで身体を支える大臀筋(ヒップ)“のように 医療健康スポーツにまつわる専門家の集合知によって支援する「ヘルスケア領域専門プラットフォーム」です。
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