マイナンバー法改正への賛成討論【国会文字起こし】

何の変哲もない国会文字起こしです。

令和5年6月2日参議院本会議
行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案(マイナンバー法改正案)に対する賛成討論
芳賀道也議員

動画の1:25:08から

国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
会派を代表して本法案に賛成の立場から討論致しますが、まず本法案の審議中に明らかになったマイナンバーに関する様々なトラブルに関して、政府には猛省を求めたいと思います。
マイナンバーに関してはデータの取り扱いなど、政府がしっかりと国民の信頼を得ていくことが欠かせない要素だと思います。
本法案の審議入りに際し、我が会派の伊藤孝恵議員が4月28日参議院本会議で指摘したように、個人情報の流出や悪用を防ぐセキュリティの信頼性を高め、きちんとしたプロセスで政策決定や投資がなされ、濫用を防ぐ実効的なガバナンスの仕組みを法律で定めた上で、マイナンバーやマイナンバーカードによって政府はどのような社会を実現しようとしているのか、今はいったいどのフェーズなのかなど、青写真を国民と共有し、各種手続きにおける効率化や利用範囲の拡大、利便性を高めていくことで、国民から支持されることこそ正道、正しい道です。
そして、マイナンバー法第1条の目的規定にあるように、行政運営の効率化と行政分野における公正な給付と負担の確保を図り、これらの者に対し申請、届出その他の手続を行い、又は行政機関から便益の提供を受ける国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られることが本来あるべき姿です。
こうした目的の下に行われる本改正案は、私たちの考え方ともその方向性を一にするものであり、賛成致します。
ただ審議の過程では様々な懸念も明らかになりましたので、国民の皆さんにとって安心安全の仕組みになることを期待して、以下、付言を致します。
マイナンバー保険の懸念の第1は、マイナンバー保険証の義務化によって、障碍者や難病の方が、医療を受けることが困難になる可能性や、医療現場でトラブルが多発することで更にマイナンバー保険証を申請しない人が保険医療を受けられなくなるという懸念です。
5月17日の参考人質疑では、障害当事者の家平参考人からマイナンバー保険証によって障碍者や難病の方が必要な医療が受けられなくなるという切実な問題について、当事者を代表して力強く具体的に説明を戴きました。
そして同じく参考人の全国保険医団体連合会の竹田副会長からは、マイナンバー保険証やオンライン資格確認などで医療現場でトラブルが多発している現状のご説明があり、約1割の医療機関が病院を閉めることを考えているなど、地域医療の危機にあると指摘をいただきました。
厚生労働省からは一定の答弁がありましたが、参考人の方々が指摘された問題点について懸念が払拭されていません。
マイナンバー法案の質疑で明らかになった懸念は、第2に、マイナンバー保険証の誤登録や公金口座として他人の口座を紐づけたトラブル、マイナポイントを他の方に付与してしまったトラブルを、厚労省や、総務省、デジタル省(庁?)など、霞が関の官公庁が認知していたにもかかわらず、国民に公表しなかったことです。
報道されているように、今年4月に就任した大分市の足立信也市長によれば、大分市内の方の公金講座の紐づけが間違っていたのが発覚した昨年11月、正しい口座へと登録を修正して住民に謝罪し、その上で市役所はデジタル庁に報告したそうです。
ところが、デジタル庁は、大分市に対し、個別の案件で人的なエラーなので、自治体名を公表しないという指示をした模様であり、隠蔽と言われても仕方のない対応です。
その後、大分市からデジタル庁に再度相談の上、5月下旬に足立市長が、この事実を公表しました。
厚生労働省は、今年の2月には、マイナンバー保険証の誤登録が7300件以上あったことをデジタル庁の会議で報告していました。
しかし、この問題について国民への周知を図らず、参議院での司法デジタル委員会の真偽前後に報道で取り上げられるようになった後、5月23日、すべての保険者に登録の確認を求めました。
新たなシステムを始めた際には、データの誤りやバグと呼ばれるプログラム上のトラブルが出てしまうのは仕方がないとの専門家の擁護的な発言も聞きますが、バグを可能な限り解消するように、リリース前に、十分にテストやチェックを重ねることは、デジタル化を進める上での大前提です。
トラブルシューティングも遅く、しかも、真摯な対応でなかったと言えます。
今回のデジタル庁ほか、関係省庁の対応に警鐘を鳴らしておきます。
マイナンバーシステムは必要です。
ただ、仏作って魂入れずでは国民が迷惑をします。
ただ今申し上げた2点を含め、国民の懸念を払拭するよう、政府には強く求めておきます。
最後に、委員会採決の運びについても一言申し上げます。
マイナンバー保険証の誤登録や、公金口座として他人の口座を紐づけしたトラブル、マイナポイントを他の方に付与してしまったトラブル、そして、コンビニエンスストアで市役所に書類を請求したら他の人の戸籍書類がでてきてしまったトラブルなど、これだけ様々なトラブルが発生している中、法案採決に入るタイミングについて、鶴保委員長が、極めて適切なご判断を示してくださったにもかかわらず、このような運びになったことについては遺憾です。
以上となりますが、改めて、政府が信頼性を高めていくことに、本気になって取り組まないと、制度の理解や、利用拡大が進まなくなるため、政府にはしっかりと取り組んでいただくことをお願いして、私芳賀道也の討論と致します。


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