荒地

老人よ

近づいておいで

海を渡る橋の上の電灯に

鳥がとまっている

彼らはこれから隊列をつくり体力を温存しながら

何百キロ先まで飛んでいくのだ

怒りを爆発させすぐに沈めてはいけない

怒りを持続させるのだ

あなたたちは怒るために長く生きているのだ

神様の多い国なのに

人々には信じるものがなく

寂しい寂しいと大きな声を出している

だけど荒地は知らない

こころのうちにはもっとさみしい荒地があるはずだ

大きな声を出してもいつまでも自分にしか聞こえない

他に誰もいない荒地

あなたしかその場所を知らない

若者よ

近づいておいで

蜂がダンスしている

彼らはこれから仲間に花の場所を教える

そして正六角形の美しい部屋をつくり続けるのだ

小さな喜びだけを求めてはいけない

歓喜を求めるためにあなたたちは生きるのだ

頬を薔薇色に染めて

ひとり休む場所は荒地のどこにでもある

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