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インターン生の声【第29稿】(ヒオキ)

やっと投稿できました…

日々のことに追われて中々投稿できなかったのですが、このブログの内容はどうしてもこだわりたかったので…

7/6(土)にAGRIBUDDY社長の北浦健伍さん(以下、健伍さんと表記させて頂きます)とお会いして、一緒に食事をさせて頂きました。

(写真)社長の北浦健伍さんと


この投稿では大きく、

1.AGRIBUDDYを何故始めたのか。
2.AGRIBUDDYの目指すもの
3.ヒオキ個人が学んだこと

に分けて書いていこうと思います。

1.2.では出来る限り健伍さんの考えていることを僕が理解できた範囲で読者の方にお伝えできればと思います。
3ではヒオキがずっと疑問に感じていたことで健伍さんに聞いてみて、学んだことを書いています。
僕と同じように困っている人のために働きたいと思っている人や、インターンを迷っている人の役に立てればと思っています。


1.AGRIBUDDYを何故始めたのか

色々なインタビュー記事でも書かれていますので、ご存知の方も多いと思いますが、僕が話を聞いて新たに知った部分もあるので、ぜひ読んでみてください。

1.社会的意義のあることをしたい
2.日本の外で戦ってみたい
3.スケールさせられる事業をしたい
4.自分にしかできないことをしたい

大きくまとめるとこのような思いで始められたそうです。
ではなぜその考えに行き着いたのか。ここから少し健伍さんに聞いた「なぜ」について書いていこうと思います。

北浦健伍さんはAGRIBUDDYの前に日本で金融業をしておられました。
アメリカの高校を中退されて、日本に帰ってきたあとはダンプカーの運転手など様々な仕事をしておられたそうです。そんな時、ふと金融業をやれば儲かりそうと思い、日本で金融の事業を始められたそうです。

「そんなに簡単に金融業って始められるんですか?」
と聞いてみたところ、

「僕がやっていたのは証券とかではないから何とかなるよ。」
とおっしゃっていたのですが、その後何回かその道の人が来たこともあったけどなんとかなった、とおっしゃっていたので、健伍さんのハートはどうなってるんだろうと、底知れないものを感じました。

でもそんな経験をするかもしれないのに、なぜ金融業を始めたのかを聞くと。

「モテたかった。そのためにはお金が必要だった。だから金融業を始めた。」
とおっしゃっていました。

そんな理由で始めた金融業は結構儲かったそうです。
しかし、金利が商品である以上お金を返してもらわないわけには行きません。健伍さんのせいではありませんが、お金を借りた人がその後さらに悲惨な状況になることもあったようです。
そういうところに疑問を感じて、何か社会的に意義のあることをしたいという考えに至ったそうです。

また、アメリカの高校にいた経験から日本の外で勝負したいという思いは常にあったとおっしゃっていました。
そして、まだ戦争の遺恨が消え去っていないカンボジアの成長に可能性と面白さを感じ、ここでビジネスを始めることを決心したそうです。

当初は1千ヘクタールの土地を買い取って大規模農業を始めたそうですが、相当痛い目にあったとおっしゃっていました。(詳しくは健伍さんのインタビュー記事をご参照ください。)
そんなときに、このビジネスができているのは自分がお金を持っていたから、というだけで、例えカンボジア人でもお金さえあれば思いつくだろうと思ったそうです。

そして、自分にしか出来ないことを、経験と知識から作りたいと考えて出てきた一つの答えが AGRIBUDDY です。


2.AGRIBUDDYの目指すもの

AGRIBUDDYとは本質的には「翻訳会社」であると健伍さんはおっしゃっていました。

なぜ、「翻訳」なのか。
その話をする前に少しカンボジアの農家の現状について話しておかなければなりません。

何度かブログの中で触れていますが、カンボジアの農家さんの多くは「教育」を受けることが出来ていません。
それはどういうことか、

因果関係が分からない
新しい考えを受け入れられない
論理的に話ができない
抽象的な概念を理解できない

等々
様々な問題があります。

この状態では自分たちで貧困から抜け出すことはほぼ不可能です。
そして健伍さんはカンボジアの貧困を2つの要因で定義しました。

1.「知らない」ということ
2.「認められない」ということ

1.「知らない」

1の知らないということは知識的な問題ではありません。自分で行動を起こせば変われることとか、世界はこんな限りある狭いものじゃないってこととかそういった事です。そして頑張るということも実は学習しなければ分からないことなのです。
それらを知らなければ、自分たちはこんなものだ、という悲観的な考えで終わってしまい、成長することはできません。

2.「認められない」

農家には「認められた」という経験が必要である。

これが健伍さんと話した中で最も大きな学びでした。多くの人は承認欲求で生きていると言っても過言ではありません。

健伍さんが金融業をスタートのも「モテたかった(誰かに認められたかった)」から。
僕が困っている人のために働きたいのもある意味「認められたい」から。
な訳です。人が行動を起こす大きな原動力の一つに承認欲求があります。

日本ではこの欲を満たす方法が多様化しています。
様々な方法で他人から称賛されることができます。

しかし、カンボジアの特に農村部ではそうは行きません。彼らは生まれてからほとんど誰かに褒められた経験がありません。

なぜか?
他人を褒めることもある意味学習するからです。

そのような状況下では認められる方法は多様ではありません。なので、お金がないのに金の時計を買ってみたり、高いスマホを買ったりして褒められようとします。褒められるためにはお金を使うしかなく、計画的にお金を使うことができなくなってしまうのです。
もし、彼らが褒められたり、認められた経験があれば、その人生は変わっていたかもしれません。自分に自信を持てることはその人の人生の上で本当に大切なことです。

つまり、AGRIBUDDYは1と2の要素を満たして、カンボジア、アジア諸国の農家が信頼を取り戻せる世界を作ることが使命の一つなのです。

(ちょっと余談。
褒められる、の次に来るステージは誰に褒められたいのか、ということであると健伍さんはおっしゃっていて、この設計をとても意識されています。
本田圭佑選手に投資してもらったのもカンボジアでの本田選手の立ち位置を考えてのことだそうです…。確かにAGRIBUDDYに認められることは本田選手に認められること、という形を作れれば、格段に農家さんのやる気も上がるはず…。そこまで考えてるのかと本当に感服しました。)


じゃあ教育して認めてあげればそれでいいじゃん。

しかし、そういうわけにもいきません。
最初の話に戻りましょう。
カンボジアの農家は説明してもよく理解してくれません。もちろん彼らが悪いわけではありません。また、こちらの言語能力が不足しているわけでもありません。
健伍さんが、金融業をしている時代にたくさんの日本の底辺と言われる人に会ったが、言葉が同じにも理解し会えなかった、とおっしゃっていました。

そして、
「それは変えることは非常に難しいことだ」と。

つまり、それを変えることは困難を極めますし、そこにコストを割いていられません。

それよりも「間違って伝わっても、結果が正しい方が良い」のです。

つまり、正しく伝えることよりも、仕組み化し自動化することなのです。
実践の中で言われたことをやっているうちにできることが増えて、自分の中の世界が広がって、他の人に褒められるというサイクルを仕組みにしてしまって、間違って伝わってもAGRIBUDDYの使命が達成できるようにする。
それが今やるべきことなのだとおっしゃっていました。

つまり、私たちが思い描いている世界を彼らのルールに乗っ取って仕組みにしてしまう。
その作業が「翻訳」であるわけです。


健伍さんがとても分かりやすい例で説明していたので、ご紹介します。

インドでは一昔前はタクシーに乗れば必ずボッタクリに合っていた。
それが今はタクシーに降りるときにはUberで5 starをつけてくれと頼まれるようになった。

これはインド人の価値観とか考え方が変わったわけではない。仕組みが変わっただけ。でもそれで治安が良くなるならそれが一番いい。


確かにそうだと思います。
別に正しく理解できなくても、受け入れられる範囲で自分たちの利益になる形でルールを作る。そうすることで世界を良くしていくことが出来るんだと教わりました。
残念ながら教育のサイクルが回るのを待っている時間は無いのです。だからビジネスが一つの世界の問題を解決する選択肢になるのだと思いますし、AGRIBUDDYに多大な可能性があるのだと思います。


3.ヒオキ個人が学んだこと

僕が疑問に感じていたことを健伍さんにぶつけてみて、そこから学んだことを書いています。アドバイス等あればコメントしていただけるとヒオキにとっても勉強になりますし、このブログを読む学生にとっても勉強になると思いますので、社会人の方は積極的にコメントしていただけるとありがたいです。

と、いうことでここからはQ&A方式で進めて行きたいと思います。
(Aの部分では健伍さんの語り口調で書いています。こちらの方が正確に健伍さんのおっしゃたことを伝えられると思い、このようにしました。)

Q. 
ビジネスの世界では伸びている市場で戦うことが大切だと思っています。途上国でビジネスをするより、もっとお金持ちをターゲットにしたビジネスをやるべきだという話も聞きますし、人助けはただの自己満足だと言われたこともあります。

健伍さんは貧しい人をターゲットに置いたビジネスをしていますが、そのことについてどのように考えられていますか?

A.
世の中はお金が有り余っている、
お金には減らせない、


この二つのことを忘れないようにして、特にお金は減らせないというルールさえ守れば、需要がある限り自分のやりたいことをやっていいと思う。
それに社会の役に立ちたいと思っている人はたくさんいて、自分のお金を社会に役立てて使えるのであればそうしたいと思っている人は多いから、人助けをするにしてもお金を減らさないストーリーをロジカルに話して応援してもらうことができれば自分の思う道を進んでいい

人に応援してもらってそれで事業を作る方が、自分が思うものとは違う事業でお金をためてから事業を始めるよりずっと早く始められるし、自分のしたいことができるのだから良いと思う。
だから早いうちに交渉できる力を身に着けることが大事なんだと思うよ。

Q. 
今僕は自分のフィールドを持っていません。しかし、ビジネスでは自分のフィールドが無いとユニークな事業はできないのでは無いかと思っています。大学でも自分のフィールドが作れるとも思わないのですが、どの分野の知識を身につけたらいいと考えられますか?
(本当に無知な質問だと思います。でも僕にとって大きな疑問なのでぶつけてみました)

A,
どのフィールドがいいとか、どの分野が成長しているからとかそういう事は考えずに、自分の好きなことややりたいことにどんどん挑戦していくべきだと思う。
その中で自分の性格とか向き不向きを見ていって考えればいいわけで、これと決めてしまう必要はない。

もっとたくさんのことに挑戦してたくさんのことを見て、吸収力のある若いうちに自分の世界を広げておくことが大切だと思うよ。

Q. 
帰ったら自分の組織を作るなり、形に残るものを作りたいと思っています。
(この回答は会話形式にしています)

A.
K(健伍さん):なんで自分の組織じゃないといけないの?

H(ヒオキ):自分がトップに立って何かをすすめる経験が必要かなと…
もし、自分が進みたい方向に誰もいなければ自分でどうにか進めていく力が必要だと考えています。

K:自分しか進みたい人がいない方向は進む価値や需要があるのかな?
それよりも誰かの元で支えることを学んだ方が有益だと思うよ。
やはりトップに立つ人は下で支える人たちのことを考えにくいから、誰かを支える経験を得てから始めてもいいんじゃないかなと思う。

もちろん情熱的に若さで押し切ってもいいし、経験を積んでから老練さを得てから始めるのも賢い。僕は若さで押し切るタイプが好きだけど、今からもう一度始められるなら後者を選ぶかな。

Q. 
これかのインターンシップ生に何を期待しますか?

A.
現場を客観的に報告して欲しい。同国人だとどうしても客観性を持てない部分があるので、外国人スタッフが事実だけを冷静にオフィスに報告することが必要になってくると思っている。
だからヒオキくんには冷静に事実を報告して欲しいし、その仕事の第一人者として、次の人にも引き継げるように仕組みを作って欲しいと思っている。

(とおっしゃっていたので、これを達成するために頑張りたいと思います)


p.s.

本当に僕のような学生が健伍さんと1対1でお話ができるなんて思ってもいなかったので本当に嬉しかったですし、貴重な体験をさせてもらいました。
この日だけでもカンボジアに来た価値があったと思えるほどでした。

本当にありがとうございました。

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