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【働くあのひと case.4】生きること。

4人目は、ゲーム会社で働く植田 真生さん(通称:まいき)。大学院を卒業し社会人2年目の26歳ですが、ゲーム界の最前線を突っ走り、ディレクターとして大活躍している方です!キャッチフレーズは、「やる気、元気、まいき」。

ー今のお仕事内容について、教えてください!

原作がアニメ作品のゲーム(IPもの)のメインディレクターを務めています。
新卒で入社した会社から転職をして、ここで働いてもうすぐ1年が経とうとしているところ。
働き始めて3ヶ月くらいは、ずっと憧れだった「コンテンツプランナー」をやってました。
ゲームでいうコンテンツとは、世界観やキャラクターを作る人のこと。
キャラクターの必殺技とか、物語のシナリオの背景とか、全体の進行管理を考えたりしてた。今担当している「ディレクター」としてだと、全体の管轄をしたり、製作メンバーに指示だしをしたりする。
コンテンツよりも広範囲でゲームを管理しています。

今現在は、作ったゲームをリリースしたばかりだから、ゲームの運用業務がメインかな。
「ここでこのイベントをうとう」とか、「売り上げ達成のためにこんな企画をやってみよう」とか、ゲームを作った後の作業をしている。
プロモーションとかも工夫していて、ゲームに登場するキャラクターの誕生日に、ツイッターでこういうセリフを流したら受けるんじゃないかって考えて、実際にやってみたりも!
こういう機能のあるゲームがいいんじゃないかとか、今度はこんな風に仕掛けてみようとか、そういうゲームに関するあらゆる作戦を、自分含めて4人のチームで練っています。
実際にゲームを作るときには、開発を頼んでいる会社の方と一緒に仕事をすることになるから、その方達へディレクションをしたりする。ゲームのデザインも見るし、収録とかも行くし、台本も作るし、とにかく何でもする!

ーどうしてゲームの仕事をしようと思ったの?

小さい頃から、アニメとかゲーム大好きだった。
ずっとバドミントンをやっていたから、そっちの仕事をしようかとかも考えたんだけど……(まいきくんは、見た目に反してバドミントンのガチ勢です)
スポーツって、頑張ってもどうしても報われないことってあるし、自分が頑張らせた子が最終的に幸せになれなかったりもする。
バドミントンを通して幸せになることが保証できないのに、一生懸命頑張っている子に「頑張れ」とか、多分自分は言えないよなって思ってしまった。
だったら、楽しさ満載のゲームのほうが、より多くの人を幸せにできる気がした。
ゲームでなら、自分以外の誰かをもっと幸せにできるって思ったのと、そもそも自分が好きだったっていう理由からこれを仕事にしようって思って、この仕事を始めた。

ーゲーム業界で、実際に働いてみてどうだった?

転職してからは、今すごく楽しい!
仕事自体が嫌だと思ったことはない。やっぱり、やりたくないこととかどうしてもあるけど、その仕事をどうしてやりたくないのかって考えたら、今の自分に優先順位が低いだけだなって。
今やるべきことではないってことが、やりたくない要因になってるんだって思うから、本当の意味で嫌なことってないなって思う。
自分の仕事がうまくいかなくて悩むとかは、やっぱりある。うまくいかないときは、「やめたい」って気持ちになりかけるけど、でもそれってできない自分からの逃げだってわかるから、「絶対逃がさんわ!」って思ってやめない(笑)
新しいことを始めるときは「これ、向いてないな」って自信を失くすこととかもあって。
その「向いてない」って思うネガティブな思いの先に、辞めたいって思いがあるのもわかる。でも、じゃあその仕事が自分に向いていたとして、「で?だから何?」とか思っちゃう(笑)この仕事を、心の底から辞めたいって思ったことはない。

実は、新卒で入ったとこもゲームを作る会社だった。
入って1年くらいで転職を決めたのは、「この職場にいたら自分は成長できない」って、もうわかったからだったんよ。
上司もそうだけど、自分とはどうしても合わないって思う人が多かったから、辛かったりもした。入社して数か月しか経ってないまだ間もないころ、すでに「転職しよう」って思ってたんだけど…。
今やめたら、そこにいる「人」が理由でやめることになるし、ゲームに関することじゃないから、なんか悔しいなって思った。
だったらいっそ、上司に文句とか言われないくらい、ってか誰も何も言えないくらいに、徹底的に人間関係に気をつかいまくってやるわ!って、行動を変えてみた。
その時の悩みは人間関係だったから、自分が変わって、周りを変えてやろうって思ったんよね。
そしたら、だいぶ状況が変わった。
上司の見方も変わってきて、環境も前より良くなったのが明らかにわかった。そんなに前より辛くないくらいには、変われたな、と。

…って思えるようになった時に。
この会社で自分がどう頑張って、どんな作りたいものを作ってていこうかとか。どうやって、この会社で成長していこうかって考えたら。
あれ、ここじゃないって思った。そこで改めてゲームのことを考えたら、なんかもう違ってた。
じゃあここにいる意味ってもうないから、早速転職をしようって。そのときの辞める理由は、人からの「逃げ」じゃないなって思って、ゲームに関する自分への思いとか成長とかが理由だったから、やめることを決めれた。

ー転職してみて、どうだった?

今いる会社に入ってみて、これまでの環境では考えられなかったチャンスがたくさんやってきた。やりたいことを、きちんとやらせてもらってるんだよね。会社に対して感謝できるくらい、今はのびのびと働けている。
今の会社が好きって、大声で言える。

働き始めてからずっと、コンテンツを作る仕事しかやりたくないって思ってた。
ゲームの世界観とかキャラクターとか作りたいって思ってたし、きっと自分はそういう仕事が得意なはずだし、好きだ!って思ってたし。

でも、転職した会社では、ゲーム全体に関わるディレクターの仕事も任されるようになった。それまでは、「コンテンツをつくること」が自分にとってすべてだって思いこんじゃってたこともあって、結構戸惑いが大きかった。
コンテンツこそずっとやりたいと思っていたことだし、それ以外に手をだすということは、発揮できる力が分散するんじゃないかって怖かったんだと思う。
でも、よく考えて思ったんだけど、単にゲームの話とか必殺技とかが面白いだけで、プレイしたお客さんが喜んでくれるわけでもないなって気づいた。
上司にも、「コンテンツだけを極めたとして、本当に作品のことを考えていますって言えるの?甘えてんじゃない?」って言われたのもあって、それが結構自分の中で大きな気づきになった。

コンテンツっていずれ消費されるし、更新しないと飽きられてしまう。どんなにいいものを作っても、いつか絶対人が飽きる時が来る。
そうならないためには、ストーリーはもちろん最高で、そのうえでシステムやグラフィックとか、ゲーム全体が最高になればもっとみんなが楽しめるものが作れるんじゃないかって視野が広がった。
自分が思う最高の作品を作るための努力だけじゃなくて、ゲームがより面白くなるための努力ができたら、もっとたくさんの人にゲームの魅力が伝えられる気がした。
作品そのものが幸せで居続けられるんじゃないかって、そう思えるようになった。

今まで、コンテンツを内側からしか見れていなかったんだけど、ディレクターとして外から全体を見るようになってから、好きだったコンテンツへの見方が変わったんよ。
ずっとこだわっていたコンテンツという枠から思い切って外にでてみたら、結果的にコンテンツも含む、ゲーム全体をよくする存在に自分がなれた。
新しいことができるようになると、こんなに物事の見方が変わるんだって成功体験をしたんだよね。それが結構、自信になった。

その時から、自分は守備範囲を決めずに、ふられたこととか頼まれたことは全部やろうって決めた。
苦手なプログラミングもやれっていわれたら、今なら絶対やる!
なんでも挑戦してみようって思う。
新しいことを始めるとすぐ不安になって、「むいてない、できない、自分だめだ」ってどうしても思っちゃうけど。
でも、始めちゃったらやるしかないし、スタート切ったら戻れないししょうがないなって思うことにして。
落ち込む時間とか削って動いてみて、どうしたらできるようになるかとか考えたりするようにしてるかな。

―好きなことを仕事にしてみて、思うことってあったりする?

いつも好きなものに囲まれているから幸せだし、辞めたいとかは思わないんだけど。
仕事でショックうけるときの重さが結構きつい。
好きなことを仕事にしたからこそ、どこかで「自分にはこれしかないのに」って思ってる部分があるってわかってるから。
うまくいかなかったりすると激痛。

ゲームの世界観をつくるコンテンツの仕事がやりたい!好きだ!ってずっと思っていたはずなのに、「そんな考え方ではだめだ」って言われたときとかもそう。
違ったのかって苦しく思うし、でも苦しさの先には成長があるってわかっているから、意味ある痛みだなとは思う。
その苦しさは、今思えば間違ってなかったし。

作品をよくするための一番の方法はこれだ!ってわかっていたときとかも、政治的な理由でどうしてもそっちの選択ができなかったりすると、もどかしかったりする。あとはやっぱり、自分の力不足とかで、もっと売れてもいいはずのゲームの売り上げ数字が伸びないとつらい。自分が成長できていれば乗り越えられたのかとも思うから、もっと成長してやるぞ!って思えたりもする。だから、結局必要なことなのかなとも思うな。

苦しさもあるけど、やっぱり好きなことを仕事にするって幸せなことだなって実感する。
同時に、自分に「好きなこと」があって良かったなとも思う。仕事でつらいことがあっても、納得感のあるつらさだし。そこに理不尽とか意地悪はなくて、真実だけあるって感じ。

あと…これはなんだろうって感じだけど……。頑張れば頑張るほど、孤独を感じる時がある(笑)
すごく頑張って結果をだしたときに、帰宅時の電車でふと気が緩んだとき、なんかこう…孤独感がおりてくるみたいな……。
あの感じ、いきなりやってくるから、「やめてー!」って感じ!

―それは…わかる……。
頑張れば頑張るほど、孤独を感じるときあるよね。

外側から来る嫌なものって排除できるけど、内側からくるものって、なんせ自分が原因だから止めようがないよね。
あれは、かなり動揺する。
そういう負の感情をコントロールするためには、イケメンでかっこよくて、憧れの人といっぱい関わることにする!
尊敬する人といっぱい話して、自分もその人たちと同じレベルまでもっていこうとする。
モチベーション大事よ!

―まいきって、なんでゲームが好きなの?

辛かった頃の自分に、たくさん希望をくれたから。

ゲームって、人生をちょっとだけ豊かにしてくれるものだと思う。
これは自分の性格のせいっていうのもあるんだけど、アニメの主人公とかに自分と似た部分がちょっとでもあると、自分と重ねて観ちゃう(笑)。「こいつは、俺だ!」って。
アニメの中の「俺」が成長していくのを観ると、「あ、自分も日常でこういう考え方をすればいいんだ」とか思う。
落ち込んだときは元気をもらったりするし。
アニメの中の「俺」の行動で、「こういうときには、こういう選択をしていればよかったんだ」って納得できることもあって、その瞬間に過去の自分が許せたりするんだよね。
自分はあのとき、このキャラみたいに勇気ある選択はできなかったけど、こうしてればよかったのか、とか、こんな生き方もあったんだ、とか。
もうひとつの世界を観ることで、自分の過去が救われる感覚になる。

でも、気が付いたんだけど、アニメをこんな風に観てるとすごく体力使う…。
登場人物が少しでも自分に似ていると、もう他人事じゃなくなるわけ。
スポ魂ものとかだと、「おい!俺が負ける!」ってなったりするし(笑)
そこまで気持ちを入れ込むほどエネルギーを使えないなって時には、日常系の笑えるアニメを眺めて、ただ笑ったりもする。
どんなに忙しい時でも、好きなアニメとかゲームには触れるようにしていて、結果それが仕事にも繋がってるかな。

―仕事を通じて、どんな自分になりたい?

本当に頭が弱そうな回答になっちゃうんだけど、なんでも知っててなんでもできる最強クリエイターになりたい!とか思っちゃう。
そうじゃないと、最高のゲームなんて作れないって思う。
この分野はできるけど、これはできないとか。そういうのがひとつでもあると、だめなのかなとか考えちゃう。その道にきっとゴールってないんだけど…。
いろんなことを知っておけばおくほど、問題解決能力ってあがると思う。
いつか、最終的にゲームの総合プロデューサーになったときに、作っているゲームを成功に導くためには、いろんな能力が必要だから。
全部の力を身につけるのって物理的に無理だけど、いろんなことができるようになっていたら、持っているものの組み合わせで問題が解決できる気がするんだよね。
デザインの分野はここまで知ってます、プログラミングも全部はわからないけれど、見積もりまではわかります!みたいな。
自分の尊敬している上司がまさにそうで、もう役員のはずなのに、現場のことをすべて把握していて。
今どこでなにをやっているか全部知ってくれてるし、時には現場にでて指示をだしたりもしてくれる。
もうなんか、その人には勝てないなって、こんな人になりたいって本当に思う。

だから今は、その上司にひとつでもなにか勝てることを作ろうとしているところ。
それができたら、自信に繋がる気がしている。
自分だったら、大学と大学院で心理学を研究していたから、心理学をどうゲームに落とし込めるかについて考えている。
自分が本気で勉強してきたものなら、勝てるんじゃないかって、真剣に取り組んでる最中!

あとはやっぱり、自分がいいと思うもので、みんなを感動させられるようになりたい。
「自分」と「取引相手」と「作品」と「市場」、その全部が幸せであるゲームをつくることが正解だって上司に言われるんだけど、その通りなんだなと。
みんなが楽しくなるゲームをつくって、ゲーム業界を盛り上げていきたい。

―逆に、なりたくない自分っている?

働き始める前に思っていたことと、すっかり180度変わってしまってあれなんだけど。
「これしかできません」っていうのは、自分にとっては違うなって思う。
ひとつに集中することで達成できることがあるならそれは全然いいと思うんだけど、自分がやりたいこととか、なりたいものになるためには、守備範囲を決めずに攻めていきたいって思う。
やりたいことっていったら、「自分が良いと思う作品をよりたくさんの人に届ける」とかだから、ひとつの分野だけを達成できても、できないことなんだよね。
知ってることをとにかく増やして、最強になりたい。

―閑話休題!まいきにとっての一番の「好き」ってなに?

ゲームやアニメはもちろん好きだけど……。
最近は、自分が成長できていると感じたときが一番わくわくする。
成長って、自己肯定感が高まるのよ!
基本的に自分、自信がないのにプライドが高いタイプだから。めちゃくちゃ自信がない。
だから、自分が良いと思っているものを誰かにも良いと言ってもらわないと、っていう不安がある。
そのくせにプライドが高いねん。厄介。

コンテンツの殻を破ってディレクターに挑戦したとき、最初は「これでいいんだろうか」って迷いがすごかった。
でも、いざ挑戦してみて、以前よりも自分の視野が広くなったって気づいたとき、「これは!」ってすごいわくわくした。
できることとか、わかることが増えて、自分自身が成長できているって感じた瞬間が、最近は一番好きだな。
だからいろんなことに挑戦しようと決めてるし、守備範囲を自分で決めたら成長できなくなるって思ってるから絶対しない。なんでもやっちゃう。

ー最後に!まいきにとって、「働く」って何?

なんかもう、人生だよね。生きることそのものだと思う。
仕事って、もはや結婚とかと一緒だと思ってて、人生の大部分を占めて自分についてくるものだなって思ってて。
自分は仕事なしでは生活していけないってわかってるから、だったら好きなことをしようって、それだけだった。
好きを仕事にするって選んだのは自分だし、だからこそ今の自分にはこの仕事しかないって思いがあるかな。好きだからこそ、そう思う。

だから、たまにすごく不安になったりもする。「もしかして、自分って結婚できないかもしれない」とか思うこともあるし。
そういう不安があるから、周りが結婚とかしだして、インスタとかで「幸せ投稿」を見ると、自分を正当化するためにいろいろ言う(笑)
「くそー!このやろー!」って思ったら、潔く言うようにしてる。
「今結婚すると仕事に集中できなくなるから。生涯賃金下がるし」とか、心の中で言い聞かせてみたりもする(笑)
焦りがあるのも自分でわかっているから、そういうことで自分を守ってるのかもなあ。

あげたらきりがないけど、自分の嫌いなところがいっぱいある。
太ってるところとか、性格悪いところとか、悪口がぽんっででちゃうところ…あと、特にこれといって実績を残しきれていないところ。

でも、今の自分は頑張っているなとは思える。むしろ、自分に対して嫌なところがあるからたくさん頑張らなきゃって思う。
自分が変われば、自分にできることが増えていくとも思うし。
だから最近、頑張っている自分を、ちゃんと自分で褒めてあげることにした。
「こんなに頑張ってる自分かわいい~!」とか、認めてあげてる。
マイメロにはならないことにしてる!
とにかく認めてあげること。自己肯定感高めるって大事!

まだまだ知らないことがあるけど、何かを知るとその分自分の目線も上がって世界への見方も変わる。
だから、これから先の自分の成長が楽しみだったりもする。
1分先の自分がなにをしているか予測もつかない人生だし、良い時間だけは続かないし、逆に悪い時間だけが続くこともないってわかった。
自分の情緒もまあ…安定しないんだけど(笑)波がある人生で、わかることとかできることを仕事を通して増やしていきたい。
そういう成長を、大好きなゲームと一緒にできたらいいな。
これからもこの業界で働いていたいし、もっともっと成長して、最強クリエイターになろうと思ってる!

好きなことを仕事にするって、やっぱり大変だけど、その分きっと幸せも大きいんだろうなと思います。ゲーム業界に興味が出るほど、楽しそうなお話でした。
まいき!ありがとうございました!

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