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認知産業革命への長い道のり



はじめに

動画で生成AIは認知産業革命という話を見ました[Columbia24]。生成AIは人類の転換点という話はよく出ますが、改めて考えてみたいと思います。

認知産業革命

認知産業革命というのは認知能力に関する革新である生成AIによる変化が産業革命に匹敵するということです。
生成AIが火に、蒸気機関に、PCに、インターネットに匹敵するという話はいろいろな人が話しています。人類はルビコン河を渡ったという話もありました。

大変化がまだ起こらない理由

大変化はまだ起こっていない

産業革命といえば人間が利用する化石エネルギーが激増することになった契機です。人類が使うエネルギーは激増し、人口も生活水準も大幅に上がりました。その前の人類の歴史がすべてプロローグに思えるような変化でした。
認知産業革命は話題にはなっていますが、そこまでの変化を世界に与えてはいません。

変化には時間がかかる

蒸気機関の初期モデルが生まれたのは17世紀末です。このときのエンジンは99%のエネルギーが伝達されずに浪費されていました。ジェームズワットが蒸気エンジンを改良するには60年以上の時間がたっていました。
この当時、子供の頃、最初の蒸気エンジンを目撃し、老人になって蒸気エンジンは結局実用にならなかったといって死んだ人もいたかもしれません。
ふりかえれば巨大な転換点だった産業革命も日本に到達するまでに最初から数えると200年以上もかかっています。
認知産業革命も実際に世界を変えるまでには時間がかかるようです。何十年もはかからないですが、明日に起こるというわけでもないです。

組織の再定義には時間がかかる

生成AIがある組織とない組織は違う原理で設計されます。現代の組織は生成AIがない前提で設計、運営されています。これを再定義するのは大変です。
PCやインターネットは巨大な技術的進展です。しかし、PCが登場したり、インターネットが採用されたことによって、企業の組織やワークフローは抜本的に再定義されたでしょうか?紙でおくっていたのを電子システムで受け渡しするようになっただけで本質的な再定義は行われていません。
オートメーションが工場を変えたような変化は企業には起こっていないともいえます。オフィスオートメーションは1980年代に議論されました。さまざまなものが電子化されましたが、オートメーションと呼べるような変化は40年たっても起こっていません。
認知産業革命は組織の再設計を要求していますが、ほとんどの企業は他の企業の様子見をしている段階です。
本格的に生成AIを前提として組織を再設計している新興企業が出てきて、既存企業を廃業に追い込まない限り、真剣に取り組まれることはないと思います。

おわりに

組織の再設計は企業にとっては文化大革命です。これはハードルが高いと思います。イノベーションは今日この瞬間にも起こっていますが、ただ均一に分布していないだけだとも言えます。
まだ本格的に起こっていない変化がいつどこを突破口に起こるかを考えていきたいと思います。

参考文献

  • [Columbia24] LinkedIn Co-Founder Reid Hoffman on the Future of AI
     https://www.youtube.com/watch?v=YtqTfa57-_Y 2024年4月 1h14m Columbia Business School

  • Scaling Generative AI in Consulting: PwC's Billion-Dollar Strategy | CXOTalk #821 https://www.youtube.com/watch?v=8Vl_CzCyvms 56m28s 2024年 CXOTALK


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