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CUDAが描く未来: NVIDIA、AmazonとGoogleを超える時価総額の秘密


はじめに


NVIDIAの時価総額がAmazon, Googleを越え、米国で3位、世界で4位になりました。NVIDIAは創業時のCEOが今でもつとめ、長い間、ほとんど上昇しませんでした。生成AI時代になって急伸し、最近数年で100倍になっています。今回はNVIDIAの強さの秘密をソフトウェアの観点からお話しします。

NVidiaの時価総額Amazon, Googleを超える


2024年2月、NVIDIAの時価総額がAmazon, Googleを超えました。AmazonもGoogleもインターネット時代、クラウド時代を代表する世界の巨大IT企業です。生成AIへの期待が高まっている証拠です。イーロン・マスクが『今やGPUは麻薬よりも入手が困難だ』と言っています。NVIDIAはMicrosoft, OpenAIとともに生成AIの勝ち組です。世界の企業がNVIDIAの最新GPUを買いあさっています。

勝ち組の方程式1:馬力勝負になっている

 生成AIの根幹となるニューラルネットワークアーキテクチャの研究が停止しています。その前10年くらいはさまざまなアーキテクチャがトライされました。OpenAIの大成功により、大規模言語モデルの決定版としてもとはGoogleが発明したTransformerの優秀さが認められています。Transformerによって大規模言語モデルの作り方にとりあえずの解が出ています。あとはデータをいれて計算するだけ、ということで、計算するほうのニーズが爆発しています。
2023年のNVIDIA H100の推定購入数(単位 個)は:

  • Meta 150K

  • Microsfot 150K

  • Google 50K

  • Oracle 50K

  • Amazon 50K

  • Tencent 50K

となっています。1個数百万円のGPUを巨大IT企業が金に糸目をつけず買いまくっています。

勝ち組方程式2: CUDAはGPUのWindows

20世紀はCPUの時代ですが、21世紀はGPUの時代です。分散並列処理の国際会議が始まったのは1970年代ですが、最初は空理空論でした。50年たって計算機処理の保守本流になりました。CPUがOSがなければプログラムできないように、GPUも基本的なライブラリのよしあしが重要です。NVIDIAはCUDA(Compute Unified Device Architecture)という開発実行環境を提供しています。これがないと面倒なハードウェアへの組み込みや計算分散を自分で処理しなければならなくソフトウェア開発の負荷が大変になります。
かつて20世紀にMicrosoftがWIndowsというPCの実行基盤の優位性によってさまざまなデバイスドライバの知的著作権を自社でおさえていました。
CUDAはもともとはシェーダー処理などのグラフィック処理の開発実行環境でしたが、今はAIの開発実行環境として使われています。
NVIDIA製のGPUにおいてはすべての処理は結局CUDA経由で処理されることになります。高速性を考えれば、直接CUDAで開発するのが一番速いと開発者が考えるのは自然です。
このようにして開発された資産はCUDAで直接開発されたソフトウェアにせよ、CUDAに依存するライブラリを使って開発されたソフトウェアにせよ、CUDAに依存することになります。膨大なソフトウェア資産を異なるプラットフォームに移植するには大きなコストがかかり、運用も大変です。
CUDA1.0の提供は2007年ですからソフトウェア開発者に支持されてきた長い歴史とソフトウェア資産があります。

NVIDIAの成長は続く見通し

株価は水物ですから、いつまでNVIDIAがAmazon, Googleの上にいられるかはわかりません。しかし、市場の大勢はNVIDIAの株価はまだまだ伸びると考えています。それは次のような理由です。

  • 生成AIは本物で人類の転換点を作り出す技術

  • 生成AIはまだまだ黎明期、本格展開はまだ先

  • 生成AIをめぐる巨大IT企業同士の競争は続き、GPU購入合戦も続く

おわりに

ハードウェアベンダのNVDIAが巨大ITサービス企業のAmazon, Googleの株式時価総額を抜くというのは衝撃でした。
今回は、ソフトウェアという観点からNVIDIAの強みをお話ししました。
AI半導体は総合格闘技という視点をまた別途お話ししたいと思います。

参考文献


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