データ系 CxO について - CIO, CDO, CIO, CAO, CAIO, DS の職務領域とその違い

どうも! バーチャルデータサイエンティストのアイシア=ソリッドです。
ふと気になったので、データ系の CxO について調べてみました。サクッとまとめていきます!

超要約

データ系 C-suite の分類
  • CIO : 情報システム全体に責任を持つ人(もちろん with 経営視点。以降省略)

  • CDO : 分析システムに責任を持つ人。CIO より最近できた。データ分析を前提としないデータシステムだといろいろ困る(上書きでログが消えちゃうとか)ので、分析観点でちゃんとする人

  • CAO : 分析して、ビジネスに価値や変革をもたらすことに責任を持つ人。新規の事業機会の創出とか。BI とかも。AI っていうより統計っぽい技が主体

  • CEO : 社長

  • CAIO : ①AI 開発や産学連携での技術的課題解決。②AI 倫理とか、プライバシー・データ保護とか、社内のリテラシー涵養とか、ポリシー・ガイドライン策定とか、そういう事をやる人。

というのだけだと、なんか物足りないので、DS も加えておく。

  • DS : BZ 領域 + DS 領域 + DE 領域の連携で、ビジネス上の課題を解決し、価値を創出する人々(DS協会風の定義)

CIO - Chief Information Officer

今回はあまり調べていないが、いわゆる IT に責任を持っている人。

ちょっと持論 - コミュニケーション用データと分析用データ

データには2種類あります。というお話。

コミュニケーション用データは、分析を前提としないデータ。記録されていることに価値があり、素早く取り出せることが重要なデータ。例えば、毎日の食事の写真記録をトレーナーさんに見てもらって、アドバイスを受けるなど。トレーナーさんが見てわかればいいので、画角とか照明とかは割とどうでも良い。(AI 開発では超重要!)
他にも、webサービスとかの「最終ログイン日」とか。サービス上で重要なのは、最後にいつ来たかだけであれば、最後に来た日付だけを記録しておけばよい。(分析するなら、最終だけじゃなくて、全部のログイン履歴がほしい!)
などなど。
CIO さんは、伝統的に、こういうコミュニケーション用データをちゃんと記録すること、素早く取り出せることを重視している(気がします)

分析用データは、分析を前提とするデータ。分析に耐える種類と量と質が担保されていることが重要。たとえば、毎食を写真で記録していても、テキトーに撮ってるだけでは、写真から AI が解析して栄養成分を、、、なんていうのは不可能に近い。
ログイン日にしても、通常は、全ログイン履歴が欲しくて、「最終ログイン日」だけでは分析に使えないことが多い。
ちゃんとフォーマットが揃っているとか、欠けがないとか、整合性が保たれているとか、CDO さんは新たな概念として、分析への可用性も担保することを目指している(気がします)

CDO - Chief Data Officer

全社の戦略を理解した上で、データに係る仕事をする人。
概ね、

  • 全社戦略の理解と、データ戦略の立案

  • データ収集

    • 何の目的で

    • 何のデータを

    • どのように集め

    • どのように保管し

    • どのように利活用するか

    • の決定・推進

  • データの質の担保

  • データの可用性の担保

  • 対規模データ保管・分析環境の用意

  • データ lake, warehouse, mart の作成

  • データのガバナンス

  • データポリシー策定

  • データ保護

  • 法令遵守

  • データリテラシー向上

  • データ活用の民主化

  • データドリブンな意思決定の実行や推進、その文化涵養

などが仕事だと記述されていた。ちょっとデータインフラっぽい。CAO とかぶりますが、このデータを分析してBZに、経営に資するのもお仕事。

参考資料

↑ 最高によくまとまっている。CDO の背景、役割、今後の変化、必要とされる資質がバチッとまとまっている。CDO 理解ならこれだけ読めば OK


↑ CDO の定義や CAO との違いなど。全社戦略を理解し、データ戦略を創出し、「良いデータ」がある状態に責任を持つんだよって感じのことが読み取れる。

↑ 今までの資料に加えて、 「データが資産となるようにする」っていう観点が書いてある

↑ CDO と CIO の差が書いてある。また、 CDO の役割の変化も面白い。Governance & Software (金融での勃興期?) → Data Driven Culture & Strategy (DX 的) → AI, IoT  (物魂電才、電魂物才な第3勢力)
また、CDO の幅広い職務例もあり

↑ 日本語資料で数少ないまともな資料だった! さすが「データのじかん」! さすがウイングアーク1stさん!
というのは置いておいて、黎明期は金融で広がり、「データのガバナンス」が主テーマだったよという話があった。

CAO - Chief Analytics Officer

CAO は CDO に比べると更に新しく、未成熟で、定義が安定していない様子。それでも毎回書かれているのは、データからの価値創出という観点。特に、BI 等データを意思決定に用いること、新規事業領域の創出が中心的な仕事となる様子。
CxO 職としては、高度分析技術の活用はあまり語られていなかった。(なので、 Data Scientist を今回の対象職種に追加した)
概ね

  • 全社戦略の理解と、データ戦略の立案

  • データ活用の Vision 策定と推進

  • データ lake, warehouse, mart の整備

  • データリテラシー向上

  • データ活用の民主化

  • データドリブンな意思決定の実行や推進、その文化涵養

  • BI・データ可視化

  • 分析からの示唆出し

  • データを用いたビジネス変革(DX 的)

  • 新規事業機会の探索、評価、創出

などが仕事であると記述されることが多い。
CDO と CAO は混ざることも多く、CDO や CAO は、上に書いた2つの仕事を合計したものの中から、特に他の CxO や社員がやっていないこと、戦略的に重要なことをやっている模様

参考資料

↑ 分析を実行せよ。データから価値を創出せよ。ビジネスに変革をもたらそう。新規事業機会の創出と評価だ。データドリブン意思決定の推進やその文化涵養、、、など、CAO の仕事が色々と書いてある。

↑ データに深く潜り、ビジネスの機会を発見せよとあります。他にも、重要な資質として、Critical Thinking, BZ での素早い反応 (Business Acumen)、問題解決や意思決定 with データが重要と書いてあります。
また、「分析手法が面白いからって価値でないことに長い時間かけちゃだめよ」という、実践的な警句も(笑)

↑ ここに、明確に、「CAO は定義が曖昧だから、何が必要とされるか判断しながら動こう」と書いてありました。どうも、CAO は CDO に比較して「これだ!」という資料が見つからなかったのですが、それがやっと腑に落ちた記事

CAIO - Chief AI Officer

AI に責任を持つ人。大きく分けて2つの役割があり、AI開発と、AI倫理系の議論・整備・実践です。どの記事を見ても、後者が大きく扱われていた印象。(おそらく、前者は自明に思いつくので、後者に力を入れたのだと思われる)
概ね

  • AI 開発系

    • AI 開発に耐えるデータの整備

    • AI 開発に耐える環境の整備(計算機)

    • 産学で連携し、AI 関連技術の不可能を可能に変える

  • AI 倫理系

    • AI 倫理ポリシー策定

    • AI 利用ガイドラインの策定

    • プライバシーのポリシー作成

    • データセキュリティ関連

    • 上記の専門家の育成・実践

    • 上記の全社員への浸透・教育

が仕事とされている模様。
他の CxO 職とは異なり「CAIOって必要なの?」っていう論調も多い。(わたしが想像するに、倫理系の議論がかなり重いので、企業がそう簡単に負いきれないのではないかと思います)

参考資料

↑ CAIO の6つの責務を書いてくれている。これが、産学連携での AI 発展などの話題を投げ込んでくれているが、この資料でも倫理系が重め

↑ 「CAIO っている?」という議論の例

Data Scientist

CAO を見ていて、DS っぽい人々が CxO 職に出てこなかったので追加した。わたしが改めてまとめるまでもないが、DS 協会によるスキル定義の Senior (業界を代表するレベル)を見てみると、、、

https://www.datascientist.or.jp/common/docs/skillcheck_ver4.00_simple.xlsx

BZ 領域

・業界を代表するデータプロフェッショナルとして、組織全体や市場全体レベルでのインパクトを生み出すことができる
-対象とする事業全体、産業領域における課題の切り分け、論点の明確化・構造化
-新たなデータ分析、解析、利活用領域の開拓
-組織・会社・産業を横断したデータコンソーシアムの構築、推進
-事業や産業全体に対するデータ分析を核としたバリューチェーン創出
-技術や環境の変化に応じデータ×AI関連のガイドラインや社会のあり方について提言・働きかけ
など

スキルチェックリスト v4 at https://www.datascientist.or.jp/common/docs/skillcheck_ver4.00_simple.xlsx

DS 領域

・業界を代表するデータプロフェッショナルとして、データサイエンス
 における既存手法の限界を打ち破り、新たに課題解決可能な領域を
 切り拓いている
 -既存手法では対応困難な課題に対する新規の分析アプローチの開発・実践・横展開
 -高難度の分析プロジェクトのアプローチ設計、推進、完遂能力
など

スキルチェックリスト v4 at https://www.datascientist.or.jp/common/docs/skillcheck_ver4.00_simple.xlsx

DE 領域

・業界を代表するアーキテクトとして、データサイエンス領域で取り組もうとしている分析アプローチを、挑戦的な課題であっても安定的に実現できる
 -複数のデータソースを統合した例外的規模のデータシステム、もしくはデータプロダクトの構築、全体最適化
 -技術的限界を熟知し、これまでにない代案の提示・実行
など

スキルチェックリスト v4 at https://www.datascientist.or.jp/common/docs/skillcheck_ver4.00_simple.xlsx

とのことです。
さすが、我らがスキルチェックリスト。

仕事一覧

ここまでの調査で出てきた仕事を全部まとめてみます
ME でも CE でもないですが、領域の広さが感じられるはず

  • データドリブンな事業・前者戦略立案

  • データ利活用の戦略立案

  • データ利活用の Vision 策定と推進

  • データ収集

    • 何の目的で

    • 何のデータを

    • どのように集め

    • どのように保管し

    • どのように利活用するか

    • の決定・推進

  • データの質の担保

  • データの可用性の担保

  • 対規模データ保管・分析環境の用意

  • データ lake, warehouse, mart の作成

  • データのガバナンス

  • データポリシー策定

  • データ保護

  • 法令遵守

  • データリテラシー向上

  • データ活用の民主化

  • データドリブンな意思決定の実行や推進、その文化涵養

  • BI・データ可視化

  • 分析からの示唆出し

  • データを用いたビジネス変革(DX 的)

  • 新規事業機会の探索、評価、創出

  • 新手法開発

  • DS の適用可能な新領域の創出

  • 高度分析 PJ のアプローチ設計・推進・完遂

  • AI 開発推進

    • AI 開発に耐えるデータの整備

    • AI 開発に耐える環境の整備(計算機)

    • 産学で連携し、AI 関連技術の不可能を可能に変える

  • AI 倫理ポリシー策定

  • AI 利用ガイドラインの策定

  • プライバシーのポリシー作成

  • データセキュリティ関連

  • AI 倫理関連話題の専門家の育成・実践

  • AI 倫理関連話題の全社員への浸透・教育

超まとめ

データ系 C-suite の分類 re-visited

というわけで、だいたいこんな感じで、色んな仕事があるのだなと言うのが感じていただけたのではないかと思います。
広さと位置付けを見た上で、自分の進みたい方向を考えてみると、自分が何をすべきかが分かったりするのではないかと期待します。

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