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第15回 人物描写

 子どもの頃からライトノベル作家になりたくて、そのためにはきちんとした日本語を身につける必要があると思ったので、帰国子女だけれど大学は国文学専攻を選び、中学高校の国語科教員免許も取得し、その後、ライトノベルのコースのある専門学校にも通い、2005年に講談社のホワイトハート新人賞を受賞した私の独断と偏見と経験による『執筆の処方箋』を全22回でお送りします。

人物』……を辞書で引くと、

1:人間・人
2:性格・人柄
3:人柄・能力などのすぐれた人

 ……と書かれています。
 登場人物ひとりひとりに対して、その三つを事細かに説明していったら……間違いなく、そこは読み飛ばしますよね(笑)。
 登場人物の性格・人柄・すぐれた能力・生き方・こだわりなどは、言動から容易に描き出せます。
 読者も、登場人物の言動、やりとりから容易に想像できることでしょう。
 となると、人物を描写(=客観的に表現する)するのであれば、『身体的特徴』となるでしょう。
 身体的特徴、つまり、『外見』ですが、ぱっと見で特徴が出やすいところといえば……

1:体型・服装・髪型
2:顔の輪郭・目元・口元

 それら外見的特徴がしっかり捉えられると、そこからその人物の好みや内面や生活など色々と推測できます。
 推測しながらその人物の言動を追っていくと、更に色々なモノやコトが見え隠れしてきて、どんどんお話に惹き込まれていくことでしょう。
 人物の描写が浅い作品はどこか薄っぺらくて、読者の心を素通りしてしまいます。だからといって、事細かに、くどいくらいに人物の外見や内面を描写しても読んでいる方は疲れてしまいます。なので、人物はしっかりじっくりを意識しつつも『わかりやすく』描くことが大切です。
 人物の心の機微、どんな状況にいるのかなどは、具体的に想像しながら描写してみましょう。
 地の文での『説明』ではなく、登場人物たちに派手な立ち回りをさせたり、口論をさせたり、何気ない言動で生活背景や世界設定などを『描写』することを意識してそういう場面を増やしていくと、自然と登場人物たちは生き生きしてきます。
 そして、登場人物の描写がしっかりしていれば、自然と話は流れて盛り上がり、収まるべきところで収まります。
 描写すべきところと流すところのメリハリをつけることを意識してみてください。
 きっと、その緩急が読み応えになることでしょう。

第16回は、『風景描写』です。

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