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第14回 ドラマ

 子どもの頃からライトノベル作家になりたくて、そのためにはきちんとした日本語を身につける必要があると思ったので、帰国子女だけれど大学は国文学専攻を選び、中学高校の国語科教員免許も取得し、その後、ライトノベルのコースのある専門学校にも通い、2005年に講談社のホワイトハート新人賞を受賞した私の独断と偏見と経験による『執筆の処方箋』を全22回でお送りします。

 『ドラマ』という言葉自体は、ギリシャ生まれだそうです。
 「ドラン」という言葉が語源で、意味は「行動する」。
ギリシャの哲学者アリストテレスが『詩学』において叙事詩、抒情詩に対立する文学ジャンルとして「ドラマ」を定着させたといわれています。
 一方、辞書で『ドラマ』を引いてみると……

登場人物の行為、行動を通して物語を紡いでいく、芸術表現の一形態

と、書かれています。
 人間が行動を始めるきっかけとなるのは、『心の揺れ』です。
 現状を変えたい!という強い思いが、主人公を行動させ、行動によって起こる様々な出来事に読者は心を動かされます。
『心』は目に見ませんけれど、感じることはできます。
 感情は言葉で表現します。
 人が言葉を発する時、それはその人の経験に基づく重みを持っています。
 だから、日頃から五感を研ぎ澄まし、自身の喜怒哀楽を意識していれば、自分が体験した感情から湧き出る言葉での小説が書けると思います。

 人生は筋書きのないドラマ。
 ドラマはあなた自身の足元にある。

 過去と他人は変えられないけれど、未来と自分は自由に創ることができます。
 物語も、然り。
 まずは、思いついたまま気楽に書いてみませんか?

第15回は、『人物描写』です。


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