すみれ

すみれ

もう海になりかけている左岸から右岸へ長い橋を渡った
好きな曲を頭のなかでかけてみる全ての音をなるべく鳴らす
懐いた犬のような心がどうしても尾を振り止めず冬は終わりそう
洗顔のために体を傾ける あとどのくらい仲良くなれる
風邪に気をつけてと言われ気をつけて暮らした花見までの数日
セントラル・パークに似ている公園でニューヨークには行ったことない
似た顔の子供らの着るTシャツの赤に蛍光イエローでPURE
金色の魔法瓶から玄米茶注ぐと湯気が鼻にあたった
降りてきた雀を見ようこの雀どうもこちらに関心がない
どこからか来てどこかへと行ってしまう子供と子供花を掠めて
シャツの胸に十円玉が透けている日差しの中であなたは使う
うなずくとうなずきかえす癖のある二人は頭揺らし続けて
蜂蜜の飴をもらって食べないで持ち歩いてた四月のうちは
遠い屋根の上で働く人たちが見えてた冬と春のミュージック
河川敷は水のあふれることがありそのため広くしてある すみれ

相田奈緒
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2018年の『短歌人』髙瀬賞応募作です。

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相田奈緒

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