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ブラック企業で死なないで

昨日、前の職場のことを書いた。大きな声では言えないけど、職場の雰囲気や上司のふるまいなどあれはきっとブラック企業なんだと思う。こんな話をすると、「はぁ?うちのほうが大変だよ」と苦労自慢が始まってしまう。皆さんの置かれている立場で自分のキャパ以上に働かなければいけない、異常が正常にまかり通っていることがもうブラックのような気がします。

ブラックにはブラックのどうしようもない現実があるのも事実。人が少ないやら、経営上の問題やら。だから一方的には非難できない。気の弱い私のような人はなかなか辞められない。自分が辞めてしまったら、他の人に迷惑が掛かってしまうと自分で自分を追い込んでしまう。状況が悪くなったから逃げているだけなんじゃないかと。そして体調を崩して仕事どころではなくなってしまう。これは本末転倒ですよ。

大事なことだからもう一度言います。

それは本末転倒ですよ!!!

*今日はちょっと偏った文章になる予感。それでも大丈夫という人だけ読んでください。



そもそも、わたしがその職場に転職したきっかけは、以前から緩和の世界に興味を持っていて、緩和に力を入れている病院に就職したいということで面接を受けに。その時にはなんで緩和に興味があるのか、実体験を踏まえた熱弁を繰り広げた。

会社「そうなんですね、ぜひうちに来てください。いきなり緩和の病棟になるとここのシステムがわかりずらいので最初は一般病棟で1年くらい働きましょうか」

そんなことを言われた。どこの病院も病棟毎で割り振られており、病院全体を知るためには最初に緩和に行くとわかりにくいというとだろう。私は何の疑いもなく了承した。そして就職すると私は前に話していた一般病棟ではないところに配属される。話と違うじゃんと思いながらも、まぁ思い通りにはなかなかいかないもんだよねと受け入れるしかなかった。そこの病棟は当時特に人が少ない病棟で、時短とパートのスタッフが多い事。時間になれば帰っていくスタッフ。夕方になると正社員フルタイムで働いていた私と、もう一人くらいしか残っていない!!
働いてみてはじめて「この病院なんかヤバイかも」と思うようになった。

私は働く当初にあることを上司に伝えていた。

何かを覚えるのも理解するのも人一倍時間がかかる。だから仕事に速さを求められるとできないことが多いと思います。と

だけど、現場では恐ろしいくらい早さが求められていた。要領のいいひとは適度に手を抜きながらできるかもしれない。私はそんな仕方の仕事はしたくなかった。ある会議の時に「残業を減らすためにどうしたらいいか」という議題が上がった。どこの会社も今は時間内の就業を目標にしているだろう。私は、心の中で怒りに震えていた、妥当な人員配置を行えてもいないのに論点がずれているのではないかと。この病院は毎月就職してくる人がいる、それと同じくらい退職する人もいて常にマンパワーが不足していた。あらゆる問題にはマンパワー不足という明らかな原因があったにもかかわらず、それ以外の解決策を見つけるということが暗黙のルールだった。

いやいや簡単に今いる人でカバーできるようなものではないと感じていたので、当時まだとがっていたわたしは上司にかみついてしまった。「明らかに人が少ないでしょ」と。話していると悔しくて自然と涙が出てきて、毎日危険と隣合わせの仕事で早さばかり求められる、そのうち大きな事故を起こすんじゃないかとヒヤヒヤしながらやっているのにと「こんなんだったら、私は辞めないといけないかもしれません」と。

最低だ。辞めるという最終兵器を使ってしまった。それほど働き始めたころには精神的に追い詰められるように働いていた。


人間は不思議なものでしばらく我慢して働いていても慣れてくると案外悪くないかもと思ってしまう。そう思えたのは人間関係は良かったから。特別意地が悪い人もいないし、和気あいあいとやっていた。人情にめっぽう弱い私は一緒に働く人たちにほだされてしまった。どんなに過酷な状態でも力を合わせて乗り越えていくとなんだか団結しているように思えて、友達の少ない私にとっては大きなものになった。いろいろ大変なこともあるけど、ここにきて培われたもの確かにあって自分が大げさに考えていただけじゃないかそう思っていくように。


職場に来て3年、私は昇進し役職をいただいた。自分なんかにできるはずもないと最初は断っていたけれど、面談での偉い人の言葉に心を動かされた。

「選ばれた人しか役職を持って働くことはできない。一般スタッフとは違う自分に成長できるんだよ。もう少し自分を高めてみたいと思わない?」

今思えばどこの悪徳商法の決まり文句だ、騙されないぞ私は。でも、当時の自分は少しだけ世間知らずでピュアだった(できればこのままでいたかった)。
心を奪われ、挑戦してみようと気づけば「頑張ります」と口から出ていた。
それからとんとん拍子に出世していくなんて夢にも思わなかったけど。

毎年4月になると何かしら昇進していた。まだ数年しか働いていない私に周りの世界はめまぐるしく変わっていく。今まで一緒に働いていた仲間が突然敬語で話しかけるようになり、敬うようになる。私からしてみると何してるのと笑っちゃうけど「もう上司ですから」と真面目に返される。そうだった私上司だった。自分を取り巻く世界に追いついていない自分。

そして仕事も本当にチンプンカンプンだった。先輩には一冊の本を渡され「これわかりやすいから管理の仕事がイメージできると思う。今週までに読んでね」と。こんなんで管理のことコンプリート出来るのかと半信半疑のまま読んだ。

全然わからん。読んでわかるならだれも苦労しないし。

新米管理者の私には教育担当の先輩がいた、本を勧めてきた人。自分は何をしたらいいのかまるで分らない私に「聞くだけじゃ成長しない。報告するときには考えて私に相談してきて」とまあまあ難易度の高い要求をしてきた。毎日分刻みでわからないことが生まれる。私はとりあえず自分でどうしたらいいのかと考えて、先輩のPSHに電話しプレゼンをする。これって要領悪くない?淡い疑問が生まれてはいたものの選択できない私は金魚の糞みたいに後をついていくしかない。

新たな仕事に少し慣れてくると、先輩は豹変し怒られることが多くなっていった。まだまだ分からないこと初めてする事が多い私はなんで怒られているのだろうと理解しがたい環境。違う先輩に相談しても「前は指導してくれる人なんていなかった。今の人達は恵まれた環境で仕事ができている」と解決にもならないことを言って私をなだめた。

いやいや納得できませんよ。そんな昔話されても私は今仕事をしているんだから関係ないし。

昇進してわかったことだけど、落ち込んだ時悩んだ時必ずと言っていいほど根性論や精神論でごまかされる。どういう風にすればいいのか方法を教えてほしいのに、どうしたら解決できるのか教えてほしいのに。まるで勉強にならない知識。自分で解釈して仕事をしていくしかないと思った。

そして昨日のNOTEで話した通り去年の9月に部署異動があった。そこではまるで畑違いのところ分からないことばかり。サポート役に別の上司がついてくれた。私は「○○さんみたいに育ってほしい」と言われながらも自分なりに懸命に働いた。新しい部下とも信頼関係を築いていきながら。3ヶ月くらい働いた時にある問題が勃発。

「師長話があります」と重い顔で部下から呼び出された。

「あの、来年の3月までで退職しようと思っています」と毎日のように呼び出され7人のスタッフが言ってきた。それも辞める時期が同じで、先輩に相談すると大きな問題になり、一斉の面談がスタート。スタッフの声から病棟の問題が30個ほど挙げられ、解決策を早急に考えるようにと指示があった。私は睡眠時間を削って計画書を作成し提出する。上司は一通り読んでからチェックを入れてくれた。まだまだ計画を練らないとと思っていた矢先、先輩が次々と業務の見直しに入っていく。

私まだ計画を出していないのに・・・。

そんな私の思いとは裏腹に勝手に進んでいく、もはや蚊帳の外だった私。

「あれはおわったの?」「まだしてないの」「次はこれやって」

要求はどんどん増えていき、自分では抱えきれないと感じながらもどうにか処理していく。もちろん仕事は業務改善だけではなく毎日大量にほかの仕事もあった。

ある日、とうとうキャパオーバーになった私は感情を先輩にぶつけていた。

「どんなに頑張っても全然仕事が終わらないんです。どうしたらいいんですか?」と。

すると

「みんな終わらないけど頑張っているんだよ、あなたにはわからないでしょ。あなたより大変な人はたくさんいるんだから」と言われる。

気持ちを受け止めてくれない上司、どんなに時間をかけて話してもいうことを聞かない部下。それでも私が頑張らないと、少しでも良くしていかないと。1人でも声を上げ続けないといけないんだから。どうにかつなぎとめていた頑張らないとという思いの糸がプツンと切れたような気がした。

もう限界だ。

次の日私はひどい頭痛と倦怠感で起き上がることも仕事をすることもできなくなってしまった。


今振り返ってみると自分の未熟さもあったのかもしれない。もっと誰かに相談しないといけなかった。自分だけでわからないまま解決しようとして正しい判断が出来ていなかったかもしれない。だけど、1人でも寄り添って一緒に動いてくれる人がいたならばどうにか乗り越えていけたと感じてならない。

私よりももっとひどい状況の中で苦しみながら働いている人なんていくらでもいるだろう。ブラックだとしても周りに合わせて「別に悪くないかな」と思えるのであればそのまま働いていても大丈夫なんだと思う。だけど、ほんの一握り納得いかないまま自分をだまし続けながら身をすり減らして働いている人がいる。そんな人は一刻も早く離れたほうがいい。働けなくなって初めて自分がボロボロになってまで働くことはなかったんじゃないかと感じるから。働かないとお金ももらえないし、社会とつながることもできない。仕事ができなくなった私は本当に1人になってしまった。

そこで血を吐くまで働く意味はありますか。自分の身体を壊してまで働く意味はありますか?

そのまま自分を押し殺して働かないで

ブラック企業で死なないで

あなたとあなたの大事な人が悲しまないように。

自分らしく働くために。

あなたには私のようになってほしくないから。

最後まで記事を読んでくれてありがとうございました!