ねえ　ナナ
あたしたちの出会いをおぼえてる？
あたしは運命とかかなり信じちゃうタチだから
これはやっぱり運命だと思う
笑ってもいいよ

始まりは小松奈々の投げかけから。
小松奈々と大崎ナナは同じ日に上京した。同い年、同じ名前の二人は車中で意気投合する。恋愛依存症の奈々とミュージシャンになるという夢をかなえるために挑戦するナナ。正反対の二人がルームシェアし共同生活をするところから物語が始まる。

わたしが高校生の時に出会った、矢沢あい先生の”NANA”。これまでも「天ない」や「下弦の月」など多くのヒット作を世に出している方。その中でもわたしの１番好きなのがこの漫画。わたしの世代だと漫画ばっかり読んでと親に怒られるような印象の悪いものでこっそり買って読んだことを思い出す。わたしにとっては数少ない何度も読み返す本だ。
今日は自分なりのNANAのおすすめな点を紹介していきたい。
(＊ネタバレになってしまう可能性があります)

1、ストーリーの世界観

なんといってもNANAの世界観は確立されている。2人の顔も性格も正反対な「なな」、小松奈々は上京した恋人を追いかけるために東京に行く。惚れやすい奈々は恋以外にはやりたいことも夢もない、空っぽな自分と比較して一途に夢を叶えようとしているナナにあこがれていく。一方大崎ナナは親に捨てられ祖母と二人暮らし。美人だけどどこか人を寄せ付けないオーラを持っている彼女に友達と呼べる人はいなかった。同級生のノブが誘ったライブで本城連と出会い、同棲とバンドを始める。しかし、レンは人気ロックバンドに「トラネス」にスカウトされ上京してしまう。大事な人と夢を奪われたナナはトラネスを超えるミュージシャンになるために上京する。無邪気で素直な奈々に惹かれていく。
読み進めていくと引き込まれまるでNANA達が自分の友達のように親近感を抱いていた。20歳の二人の心情が等身大の女性の悩みにリンクし共感する場面がいくつもある。自分がない奈々と欲しいものが手に入らないことで壊れていくナナ。二人のキャラが織りなす日常が魅力の1つになっている。

2、癖の強いキャラクター

NANA以外の登場人物も癖が強い。奈々の親友である淳子やバーチャル幸子の空想にそっくりの幸子。顔はいかついけど人情に熱いヤス、自分を売って生活をしているシン。ブラストのライバルであるトラネスのメンバーも個性的なキャラばかり。またNANA達の知らないところでラブストーリーも綴られておりすべてのキャラクターを好きになっていくところもNANAの好きな所。

3、ブラストのイメージはあの人だった

ナナがボーカルを勤めるブラストことBlackStones。実はラルクアンシエルをイメージにして描かれていた。作者の矢沢先生はV系のバンドが好きらしく、映画化になった時にはHYDEに楽曲提供を熱望し「LAMOROUS SKY」を作曲したそう。またHYDEは下弦の月映画バージョンでアダム役を演じている。わたしの大好きな漫画を描く人とラルクが密接に関係しているところに会うべくして出会ったと1人で運命を感じている。わたしドエルなので(笑)
＊ドエルとはラルクアンシエルの熱狂的なファンの愛称

4、描かれる社会問題

社会問題というと大げさかもしれないけど、薬物依存や精神疾患、トラウマなどを織り交ぜて作られている。両親やレンとの別れで心の傷を負ったナナは、奈々との決別をしてから精神的に壊れていく。その話が切ないし、共感できるし心の奥をかきむしられるような感覚で読んでいた。何度読んでも涙が出そうなエピソードになっている。またあるキャラクターは覚せい剤で薬物依存になり、ある事件が起こる。あまり詳しく語ってしまうと楽しみがなくなってしまうので詳細はコミックを読んでほしい。

5、映画でもはまり役の演者ばかり

NANAは2005年に映画化されている。演じる役者がはまり役の方ばかり。これはNANAの世界観を崩したくない矢沢あいさんのこだわりではないだろうか。その中でもわたし的には大崎ナナを演じる中島美嘉さんがドハマりだった。小松奈々演じる宮崎あおいさんもイメージにピッタリだったし、一ノ瀬巧演じる玉山鉄二さんもクールなイメージを熱演していた。

以上、5つの魅力を書いてみた。読んだことがあるという方は再度読んでほしいし、読んだことがない人にはぜひ一気に読んでほしい。

現在21巻まで発売していて完結はしていない。それは作者である矢沢あいさんが病気療養のため2009年から執筆活動を休止している。NANAはナナがいなくなってから過去と現在を交互に出すという構成でクライマックスに突入しているから。作者の1日も早い快気と執筆再開を待ちわびている。

もう何十回読んだかは分からない。買ってよかった名作。

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