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凪のお暇#1 原作ファンの感想


凪のお暇。ご存知だろうか。

主人公凪が、世間の空気を読み過ぎて過呼吸を起こした末、しばしお暇を頂き自分らしさを取り戻していく。現在5巻まで出ている作品である。

なんというか、凪のお暇のドラマ化は公表されてからずっと楽しみにしていて、本日も夜間打ち合わせを断ってみていたわけだが、これは。

結論としてドラマはドラマとして楽しんでほしい。

消してつまらないというわけではない。ドラマ版凪のお暇は「かなり凪の苦しさを全面に出した始まり」てあった。

凪の「空気、よんでこー」だとか「お母さんの骨折、何度目ですか」という冷静な、どこか見下しているようなツッコミは一切消えていてその他の点々としたモノローグが残っていた。

その演出によって、作品としての苦しさは出てきていて、酒に酔いながら週末に見た原作ファンとして「凪いいいい!」と叫びかけるほどには。良かったと思う。

ただ、SNSの息苦しさや他者の目を気にするという、そのリアルさは失われているし、今後続いていく凪のキャラクターに対してちょっと理解が足りない気がした。

正直、1カットだけあった凪のファミレスに行っていたシーンも、多分凪なら行かない。10円以下の単位で節約をする凪がファミレスで飯を食うかと言われたら、そして空気を読み過ぎる凪がある程度集団向けに作られているファミレスに一人で行くか?と言われたら、行かない気がするのだ。

凪にとって、全ての家具を処分したのもめっちゃ後悔しているし、食べたとしてコンビニおにぎり1個とかな気がして仕方ない。そのくらいお金にシビアだと思っている。

だが、凪も慎二も大変素晴らしい! 慎二の今後につながる伏線である、凪の過呼吸の時の表情や、凪にまつわる発言をするときの間。
凪の無理矢理笑ったような、空気を読み過ぎてどこかに行ってしまった瞳。
素晴らしいと思っている。
あとゴンさんのファーストアタックの沼感はオダギリジョーにしか出せないかと思っていたが、中村倫也は一撃で出してくれていた。ハマったら絶対にやばい空気間。素晴らしい。だがゴンよ。もっと愛想が良くても良かった気がする。ゴンさんはどこか人懐っこくて、みんなの心のぽっかり空いた隙間に滑り込んで、そこを陣取っていつの間にか生活したと思ったらもぬけの空になっているようなやつなのだから。

凪が慎二に重いの丈をぶつけるシーンはよかった。凪のギリギリ発言が出来ている危うさやその性格が出ていて。

原作の沢山の苦しさや、最後に垣間見えた慎二の執着。原作ファンとしても楽しめたと思っている。だけど、凪のお暇は最近では珍しい、設定の突飛な漫画ではなく「日常の人間模様を書いた作品」なのである。

一歩間違えばありそうだったこと、少しは考えたこと。あこがれだった社会からの離脱……。御曹司と恋するでも、絶世の美女が主人公も無い作品だからよかったのだ。そして、だからこそ人間模様の深さが大切なのだ。今後作品を楽しむ上で、もっと細かく伝わってきていたコナリミサトの描写を大切にして、その上でドラマならではのすばらしさを追加して欲しい。今では、なんとか1時間に収めた原作の2番煎じだ。スクラップノートじゃないんだから。

支離滅裂ではあるが、今後も凪のお暇は読むしドラマを見ていく。面白いから。ファンとして欲張ってもっともっと面白いものを作って欲しいだけなのだ。

私は凪のお暇を読んで、仕事を辞めて杉並区のワンルームのオンボロ屋に引っ越して豆苗を育てて生活している程、凪にあこがれていて気持ちがわかるからこそ、納得させてほしいだけなのだ。

現在、漫画の方が格段に面白いとは言えるが、今後ドラマならではのおもしろさを期待している。

これを読んで、そんなにか?と思った人は原作を全て読んで何回も読みなおして欲しい。そして感想を発信して欲しい。
凪のお暇は、今後の展開が気になる作品の一つである。