スパイ猫

スパイキッズ好きがキングスマンにハマった話~映画レビュー~


スパイキッズという映画をご存知だろうか。
1本目は2001年に公開され、金曜ロードショーでも放送された子供が主人公のスパイ映画だ。

ファンタジー溢れる世界感と、ハイテクスパイ道具、そして子供の勇気とアクションと絆をたっぷり煮込んで美味しくしたようなスパイキッズという映画は、「子供向けスパイ映画」と称されることもしばしば。

そんなスパイキッズが私は大好きだった。当時はビデオだったこの作品を台詞を覚えるまで見続けたちびっこ猫又は、その記憶力とずっと同じものを見続けるしつこさに母親をドン引きさせ、しまいには誕生日でもないのにビデオを買い与えられるという名誉あるおしゃぶりを与えられたわけだが……。

実際、スパイキッズを好きだった同世代は沢山いると思っている。

だってワクワクしたじゃない!
あんな道具があればいいなあなんて。ツリーハウスがあればいいななんておもったじゃない!?

でも歳をとるとは恐ろしいもので、猫又は二十歳過ぎてから懐かしい気持ちを持ってわくわくしながら見た。

昔大好きだったから期待をしすぎたのかもしれないが、大人になって沢山の作品に触れて目が肥えた猫又にとって、スパイキッズはハードルの下を三輪車で潜り抜けるような気分だったのだ……。

いや! 面白くないわけじゃない! 違うんだ!
こころにぽっかり空いたなんというか……その……久々に焼肉行ったら好きだったホルモンをもうバクバク食べれなくなったあの時みたいな……。

とにかく!大人になってしまったことは変えられないと、スパイキッズに変わる胸が高鳴るスパイアクションを探していたところで!

見つけた!!!! キングスマンである!

キングスマンは現在2作品出ており、1作品目のキングスマン:バー・ファイトはごろつきだった主人公がナイスミドルなスパイに拾われ色々あって一人前になる話。2本目のキングスマン:ゴールデン・サークルは国民を人質にとって薬物テロを仕掛けてきた麻薬カルテルをぶっ潰すお話。

「最近のスパイ映画は深刻すぎるから面白いだけで作ったヨ」と言ってるだけある 殺し・トンデモ道具、ご都合主義 なんでもありのぶっ飛び映画なのである!

え? そんなの面白いの? と聞かれれば「面白い!」としか答えられない。

なんでもアリ、というだけあって思わぬ人物が死ぬし黒幕だし生きてるし。
インスタントお涙頂戴をするために主要人物平気で殺すし!

だが、その中で筋のきちんと通ったかっこよさやちょっとした伏線。
紳士の振る舞いや名言など見所満載である。

キャラクターもかなり良く、憧れる存在である上司ハリーの紳士で最強だけどおちゃめという心くすぐるところや、人情派主人公だけど決めるところは決めるエグシー、厳しい上官かと思いきやチャーミングなマーリンなど非常に良くキャラ推しも可能。

また、あの面白作品「キック・アス」の監督と同じ監督なだけあってただ人が死んでいくだけでなく、頭が吹っ飛ぶときは花火が上がったり、グラスを投げて頭をカチ割ったりと色々とインスタ映えしそうな演出である。
サントラもなかなかで良いところでテーマソングが流れ、特撮のような嬉しい盛り上がりも演出してくれているぞ。

感情をジェットコースターに乗せられる作品として、2時間は短く感じるだろう。

ここまで絶賛しておいて☆5!……とまではいかないが、本来スパイ映画とはB級寄りA作品であってこそ、だと思っている。ので、文句はあってしかるべきだ。

故にキングスマンは映画としては好みも別れるだろうし、☆3・5くらいだとは思うが、スパイキッズにハマった子供時代を過ごしていた人にとっては満点の☆空を叩き出してくれるだろう。

まさに、キングスマンはスパイ映画の「king’S」の一作品と言えるだろう。