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真実なんて、天井にぶら下がったミラーボール

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  • 逆噴射プラクティス

    MAKE MONEYを目指してパルプ小説の練習をする。

最近の記事

ファスター・プシィキャット!キル!キル!感想

 ずっと前から気になっていたB級映画の『ファスター・プシィキャット!キル!キル!』を見た。  俺はこれを半年前からずっと探していた。配信されておらずDVDを買うしか視聴する方法はなかった。  アマゾンで中古が6000円ぐらいで売っていたが正規価格で販売していないか探した。  TSUTAYAやヨドバシ、価格コムを見ながらいろんなDVD販売サイトを訪問したが、どのサイトでも購入することはできても数週間後に商品が用意できませんでしたというたわけたメールが来てDVDが届くことは無か

    • 今日は西塚市クリーンデー!

       2025年、夏。  ついに西塚市の犯罪率が120%を超えた。  原因は明白で、10年前、政府は治安維持のため西塚市を犯罪特区に指定し、以来、凶悪犯罪者をこの街に送り込み続けたのだ。おかげで市の年間死者数は50万人を超え、毎日どこかで死体の山が見つかる。 「………」  そこは西塚市役所。  その一室にいる、1人の男。  小木曽正平、現市長である。  彼は疑問に思う。  なぜ、どうしてこうなった?  彼はこの街で生まれ、この街で育った。昔は死体なんてどこにもない、普通

      • BRING THE NINJA BEAT

         真夏の空。  コバルトブルーの海。  照り付ける日差しと、ビキニからはみ出る褐色の肌、そして乳房。  そこは東暁市海水浴場。  毎年多くの若い男女で賑わう人気スポットである。  しかし!  そんな楽園も、一瞬にして惨劇のビーチと化す!  今、サーフィン青年が不自然にボードから落下し、海中へと引きずり込まれた!  また、別の場所でもドーナツ浮き輪でゆったり漂っていた麦わらサングラス女が突然、腰を折るようにして中央穴から海へ引きずり込まれる! 「な、何かいるぞ!みんな

        • サンディエゴ大呪術合戦!

           安倍晴明が五芒星を逆にした印でアノヨから魔物を召喚して暴れている。サンディエゴの夏。     繰り返される破壊と殺戮。無限に湧く魔物に支配され死都となったその街は、もはや地獄の形相を見せていた。    ブロロロロロ……。  しかし、今ここに、1台の車が走っている。いや、その後に続く2台の…いやその後の10台…20台…………その数100台以上!  全員窓やサンルーフから体を出して武器を振り回している。 「オラーッ!かかってこいや晴明!」「出てこいコラッ!」  モヒカンチンピ

        ファスター・プシィキャット!キル!キル!感想

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        • 逆噴射プラクティス
          3本

        記事

          仙人狩り

           強化コンクリートと防弾厚ガラスで囲まれた、真っ白の空間。何もなく、だだっ広いこの部屋の中央に、ぽつん、とらっきょう壺が置いてある。  それは明らかに異質だった。大きさがドラム缶ほどあり、たまに蓋がカタ、と内側から少し持ち上がるが、またすぐに閉じる。液体が入っているのかチャプ…と波の跳ねる音がする。  俺は父の袖を強く握りしめた。  父は「すごいだろう?」と自慢げに微笑む。 「らっきょう酢には体を柔軟にするビノドキシンが多量に含まれている。人間をらっきょう漬けにし、仙人を作る

          仙人狩り

          ようこそ殺人鬼の街へ

          『殺人鬼また死亡。これで4人目』  俺は新聞から顔を上げ、「また殺されたらしいぞ。殺人鬼」と妻に言う。だが、反応無し。妻は食器を洗っている。  最近、この街を賑わせている連続殺人鬼殺人事件。  ここ、西暁町は殺人事件が日本一多い街として有名だ。毎年1万人くらい殺されており、町長はもう開き直ってそういう町としてプロモーションしている。市のホームページにはおどろおどろしい文字で「ようこそ殺人鬼の街へ」と書かれている。  そして最近、この殺人鬼だけを狙った連続殺人事件が起きてい

          ようこそ殺人鬼の街へ

          パルプ小説練習 #3

          MAKE MONEYを目指してパルプ小説の練習をする。 プラクティス4  これまでのあらすじ  ハードないじめを受けていたユキオが転生した先は元の世界によく似たただの並行世界だった。いじめも健在で絶望するユキオ。しかし、転生し損なった怒り、そして持ち前のタフネスによって下っ端のヤンキーどもを次々と撃破。自信を持つユキオ。だが、ついにマサフミ、あの最悪の男が重い腰をあげる。

          パルプ小説練習 #3

          パルプ小説練習 #2

          MAKE MONEYを目指してパルプ小説の練習をする。 プラクティス3 佐野が倒れている。俺は何が起きたかわからない。わかるのは、右手の銃が、確かな熱量をもってそこにあるということ。 「弾が…なんで…?」  俺は銃を確認する。  しかしその時だった。 「いいから続けろよ、隆太」  神崎がニヤけながらそう耳打ちする。そして、何事もなかったかのように演技を続けている。  芝居なんて続けている場合じゃない。俺は佐野のもとに駆け付けようとした。だが驚いたことに、佐野の死体は黒子に

          パルプ小説練習 #2

          パルプ小説練習 #1

           MAKE MONEYを目指してパルプ小説の練習をする。 プラクティス2   佐野が倒れている。俺は何が起きたかわからない。わかるのは、右手の銃が、確かな熱量をもってそこにあるということ。 「弾が…なんで…?」  俺は銃を確認する。  しかし、その時だった。 「いいから続けろよ、隆太」  神崎が俺にそう耳打ちする。そして、何事もなかったかのように演技を続けている。(139文字)

          パルプ小説練習 #1

          商店街の悪魔

           いや、つーかマジで洒落にならん。いやマジで。  空っぽのテーブル席。  今日も客が来ない。常連さんすら全く姿を現さない。  俺はそばの新聞に目を落とした。 『バナナキラー再び。これで10人目』  こいつだ。  こいつのせいだ。この有野町わくわく商店街にのみ出現する殺人鬼、バナナキラー。バナナで人を殺す異常者だ。  腹立つことに、こいつはこの街にしか姿を現さず、おかげでこの商店街はロックダウン状態。窓から外を覗いても、通りには、誰もいない。  斜向かいの藤沢理髪店も、

          商店街の悪魔

          I Love This Fucking Town

          『気に入らねえ奴はぶちのめしちまえよ。隆太』  俺は目を覚ます。    汚え川だ。  そこは淀川の河川敷。スマホで時間を確認するともう午後の6時を過ぎていた。向こうの鉄橋の背後には、赤く染まった太陽が見える。  こんな時間か。  俺は黙って立ち上がり、そのまま家までの道のりを歩く。今日は本当に疲れた。二度も能力を使ったのだから当然か。思い出したように俺の左肩がズキリと痛んだ。  すると、しばらく土手沿いに歩いていたその途中、二人の人間が何やらもめているようだった。一人は俺

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          I am the One who Deduces!!!

           俺の名前は田中太郎。仮名でもペンネームでもない。これが本名なんだ。最近キラキラネームが社会問題となっているらしいが、俺の名前はこれ自体がアンチテーゼとなっているだろう。今時田中太郎なんて名前の奴がいるのか?映画でも小説でもとりあえず仮名として使う時の名前だ。一体俺の親は何を考えていたんだろう。いや、おそらく何も考えていなかったに違いない。そうじゃないとこんな名前を付ける訳がない。  俺は高校でも大学でも自己紹介した時に笑われるのはもううんざりだった。テレビのバラエティーなん

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          Who Let The One Out?

           ひょんなことから時間移動できるようになった俺は適当に10年くらい前にタイムスリップしてどこかの家から金をかっぱらおうとしていた。  俺の住んでいたホワイトレスト駒川は10年前は一軒の平屋だったらしく、部屋で適当にタイムスリップすると俺はその知らん平屋の庭であぐらをかいていた。  俺はあたりを見渡す。すると、その縁側のところに、肘掛け付きの籐椅子に座って日光浴をしているババアがいた。 「ババアだ。」  俺は思わずそうつぶやいた。  まさに絶好の標的だと思った。ババアなら若者よ

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          アイカツスターズ!について語ろう。

           はい。タイトルの通り、ふと思い立ったので感想を書く。  アイカツスターズ!はシーズン2がめちゃくちゃ好きなんですけど、その一番の理由がこの『Bon Bon Voyage』という曲が好きだから。 『Bon Bon Voyage』はどこか旅に出かけようとしている女の子の心境を歌った曲だ。別に女の子かどうかはわからないがアイカツスターズ!は女児向けアニメだしエンディングの絵でローラがトランクを持っているので勝手にそう思っている。まあそこはどうでもいい。  どうして俺がこの曲

          アイカツスターズ!について語ろう。

          地球上のすべての質量を100%として、毛、1本分くらいの確率。

           映画『ふきげんな過去』観た。実は見るの三回目くらい。めちゃくちゃ好きな映画で偶にふと見たくなる時がある。  この映画は何も変わらない日常に辟易している主人公の果子(かこ)の前に突如、死んだと思われていた未来子(みきこ)伯母さんが現れ、二人で時間を過ごすことになるという話だ。  この映画がなぜ俺は好きなのかと言うとそれは主人公の果子の気持ちがとてもよく分かるからだ。彼女が自分の心境を吐露したシーンがある。いとこのカナちゃんが部屋に遊びに来ていて、そこで独り言のように話

          地球上のすべての質量を100%として、毛、1本分くらいの確率。

          ノスタルジー・オブ・ウラサワ・スローイングストーンズ

          「さっきから何一人でぶつぶつ言ってるの?」 「なんかおかしいぞリュウセイ!そんなことじゃベネチアンに負けちゃうぞ」 「……あ、俺急に思い出した!」 「何を?」 「適当に考えておいて!」 「うん!分かった!」  これは人造昆虫カブトボーグV×V 7話「涙の素パスタ! オーバー・ザ・レインボー」に出てくる会話をそのまま書き出したものだ。  始めてこの会話を聞いた時、俺の中で何かが崩れ落ちた。  彼らの会話が何一つ分からない。  けれど、画面を隔てた向こうではなんの

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