これからの「アイドル部」の話をしよう

2019年4月20日。公式からツイートがされる。

 ざわつくTL。配信は無いのか、箱の大きさは、倍率は……それでも不安より期待が大きかったと思う。
 リアル会場を使ったライブといえば、キズナアイに始まりTubeOut(朝ノ瑠璃、ときのそら、銀河アリスetc...)、そして樋口楓が、いずれも大成功を収めている。特にキズナアイ・樋口楓についてはZepp Osaka Bayside(収容規模・2300)を満席にした。Vtuberによるリアルライブの機運はずっと高まっており、その熱気は未だに続いている。
 Vtuberのライブが盛り上がる理由としては、彼女たちのアイドル性・カリスマ性が強いと感じる。それは、それぞれに強固なファンが付いているからであり、「盛り上がり」を期待しているからだ。自分は、樋口楓の1stライブとニコ超Vtuber fesに参加して、実感としてVtuberによるステージに引き込まれる自分を見た。
 もちろん、ライブに参加した経験が多いわけではない。東方アレンジ界隈にいたときはスタジオライブに行っていて、the pillowsの20周年武道館にも参加した、程度である。アイドルのライブにはまあ……行ったことは無かった。
 樋口楓のライブが余りにも強烈だった、というのはある。そもそも、私たちが見ているVtuberというのは基本的に一週間に数回、配信という形で出会う存在である。あるいは、ツイッターで見る存在である。よく「Vtuberの距離感は新しい」と言われるが、地下アイドル的な(物理的な接触は出来ないが、コメントの距離が”読まれる”とか、精神的な)近さを有している。かつ、テレビやライブ、メディアで接するアーティストたちよりも長い時間を共有しており、それがライヴ的である。例えば、私がthe pillowsと「同質な」時空を共有したのはライブのたった2時間程度である。一方で、Vtuberであれば一週間に1時間以上接する距離にいる。
 こういった「共有する(接する)時間の長さ」はそのまま生命感に繋がる。特に樋口楓や、雑談の多いVtuberは「生活空間のひとつの風景」としての存在になりうる。Vtuberは私のことを知らないが、ファンはVtuberの話すことをよく憶えている。私は樋口楓のファンなのでちょっとくどいかもしれないが、例えば彼女であれば住まいはバーチャル関西、好きな食べ物は牛タン・つぶ貝・マンゴー、高校では吹奏楽部で、性格は自己評価が低く、死ぬことに対して恐れが小さい、MMORPG中毒で、関西弁で、お母さんとの仲は……など、個人的な情報に多く触れる機会が多いのだ。それがVtuberの「生命感」を形作る。
 そういった「生命感」の上に、カリスマ性だとか、アイドル性だとか、彼女らの特技に対するリスペクトが乗算されることで「アイドルとしてのVtuber」ができあがる。そうすると、彼女から受け取る感情はおそらく、普段聴いているアーティストよりも質感を帯び(つまり、「感情にコンテクストが載る」という状態)、その結果、ライブでの熱狂が生まれる。樋口楓のライブで私が思ったのは、「あこがれ」とか「かっこうよさ」よりも、「応援したい」という感情だった。きっと、熱狂するアイドルファンや声優ファンたちの気持ちもそうなんだろう、となんとなく思う。
 「盛り上がり」の正体は、そういう「応援」のことなんじゃないか、応援したいからイベントが盛り上がるんじゃないか、そう考える。

 さて、アイドル部の部員はそういった質感がツイッターで共有される。そして彼女らが持つかわいさ+αの魅力たち。それがどう爆発するのか、そういう期待を胸に、2019年5月19日に私はZepp Diversityへと向かった。

アイドル部1st anniversary party はんぱないパッション(hPa)
※セットリスト※

会場BGM ちえりーらんど勧誘ソング
-ウビバナイト-

1. アスタリスク(全員)
2. ようこそジャパリパークへ(ちえり、もち、りこ、めめめ)
3. butter-fly (いろは、ピノ、すず)
4. かくしん的☆めたもるふぉ~ぜ(双葉、たま、あずき)
5. 海色(八重沢なとり)
6. 冥夜花伝廊(りこ、イオリ、いろは)
7. コネクト(ピノ、なとり)
8. 私、アイドル宣言(たま、りこ)
9. ダダダダ天使(めめめ、イオリ、双葉、すず、ちえり)
10. GO! GO! ちえり (ちえり、ほか全員)
11. ロキ (木曽あずき)
12. ブルーバード(イオリ、ちえり、なとり)
13. アスノヨゾラ哨戒班(もち、双葉、あずき)
14. ダンスロボットダンス
 (すず、たま、双葉、ピノ、イオリ、いろは、めめめ)
15. ドレミファロンド (ピノ、たま、双葉)
16. ゴーストルール (めめめ)
17. バケモノダンスフロア(あずき、りこ)
18. Trip Trip Trip(すず、たま、いろは)
19. ラプンツェル(もち)
20. 千本桜(全員)
アンコール:全員

会場BGM:ちえりーらんどソング

 これが会場に入ってからウビバナイトまでのだいたい1時間、ずーーーーっとこれが流れていた。頭がおかしく……ちぇりちぇりしてきた………働きたい……途中従業員が発症して歌い始めた。

-ウビバナイト-
 恒例のウビバナイト。完全にパーティピーポー。小峠教官からのメッセージをはじめ、もこ田めめめのファンであるメリーミルクからのアイドル部員イメージパン、名前繋がりで八重沢なとり交流のある名取さな、ふーさんとコラボしたぽんぽこ&ピーナッツ、ごんごん繋がりでにじさんじ・月ノ美兎、RAGEで共演した富士葵……
 スクリーンに流れるのはアイドル部の紹介動画のサムネと動画の一部、Prologueや挨拶動画をそれぞれミックスしたものに、ファンアート数々。JAP projectの「GONG」やニャル子さんOP「恋は混沌の隷也」などアニソンのリミックスに合わせて流れていく、「恋は~」の「生き物じゃなーい!」がピノ様の紹介映像と被ってたのは笑ってしまった。
 とにかく大音量のパーティだった。前座として、会場が盛り上がった。

はんぱないパッション
1. アスタリスク(全員)
 元はアニメBleachのOP。アイドル部にとってはこのMADだろう。よみうりランドでも歌われたとか。

 馬をセンターに三人ずつ星から現れ、大合唱。思い思いの乗り方をしていた。全員とにかくテンションが髙かった。ラップパートのあずきちの盛り上がりは凄かった。ラップパートで斉唱になるところも揃っていてきれい。
 個人的には体を左右に振って笑顔で歌う神楽すずが大好き。

 1曲目から思い出の強い曲のスタートで、大盛り上がりとなった。
そもそもアスタリスク(asterisk)とはラテン語で「星(aster)」を意味する。ロマンス語系で見るとわかりやすくて、イタリア語ではaが落ちてstella、スペイン語ではestrella、フランス語はかなり語形が変わってしまってetoile。英語のstarもaster由来である。星、まさにアイドル部を象徴するに相応しい曲。

2. ようこそジャパリパークへ(ちえり、もち、りこ、めめめ)
 サブの牛巻りこ、もこ田めめめ、猫乃木もちはよく見たら動物モチーフ部員だ!ウェルカムようこそちえりパーク!

 元はアニメ・「けものフレンズ」1期のOP。アニメ内アイドルが歌っていたことから、アイドル曲としての親和性がかなり高い。さらに、アイドル部内でもアイドル性を重視する花京院ちえりの曲としても感慨深い。
 かけ声もかけやすい曲だし、コールも出しやすい曲。なによりちえりちゃんがかわいい。
 
 改めてみてみるとちえりちゃんのダンスがけっこうキマっている。「東へ吠えろ!西へ吠えろ!」四人そろって同じ方向を指さして走っていくのがとてもかわいい。

3. Butter-Fly (いろは、ピノ、すず)
  アニメ「デジモンアドベンチャー」OP(和田光司)。ある意味オタクが十八番にしている曲だと思う。

 ごんごんのWow↑ Wow↑ Wow↑wow↑とずっと上がっていくかけ声に釣られてみんな上がっていく。これが楽しかった。サビ前の神楽すずの「はんぱないパッション、聞かせてください!」の煽りからサビの大合唱。
 芋ダンスに負けない、腕を振り回しまくるピノ様もかわいい。

「いろは、未来の自分に向けて選曲しました!アイドルみんなでこれからも飛んでいきます!」

 アイドル部はみんなが夢を持っている。みんなで飛び立っていきたいという思いが伝わってきた。 

4. かくしん的☆めたもるふぉ~ぜ(双葉、たま、あずき)
 アニメ「干妹 うまるちゃん」のOP。生徒会メンバー。
 ゆるふわかわいいを地で行くふーさんがよりいっそう可愛くなってしまった……「UMAじゃないよUMARU!」のかけ声、私の周りだと「北上!北上!北上双葉!!」で埋め尽くされてましたが……

 会長のかけ声盛り上げもだけど、あずきちの「皆さんもりあがっていきましょう、いえーい」のヌルさが本当に良かった。

5. 海色(八重沢なとり)
 アニメ「艦隊これくしょん」OP(AKINO)。「ほぼ全部がサビ」とまで言われる曲。
 そもそも、アイドル部の前身は少女兵器大戦と呼ばれる(おそらく今後配信されないであろう)ソーシャルゲームである。兵姫の元は艦これと同じく日本海軍の艦船、という繋がりがある。
 
 この常時盛り上がり続ける曲を歌ったのは八重沢なとり。ニコ超で「天樂」を歌い上げたことから、その声量と力強さはお墨付きである。ちなみに再生しながら音量バランスを見ていたらこの曲だけ一番大きいラインに入っていて、回線でもわかるくらいの声量だった事がうかがえる。
 英語部分のかっこよさ、大きく体を揺らす歌い方、ラスサビ前の「違う!!!」の感情、すべてが格好良かった。

6. 冥夜花伝廊(りこ、イオリ、いろは)
 アニメ「刀語」OP(栗林みな実)。イオリン、ごんごんは和装コンビ。

 牛巻のハスキーボイスが本当にイケメンだった。高音であっても崩れることがない堅い声と、栗林みな実とかの女性的な高音が入り込んでいて、お前そんな喉持ってたんか……みたいな顔になってしまった。
 本当にアイドル部は隠し刀が多すぎる……

 中間のたらし文句も健在。なんちゃってね!じゃないんだよなあ!!

7. コネクト(ピノ、なとり)
 アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」OP(ClariS)。本来は女性デュエット曲。「ありのおひめさま」のコンビ。歌はピノ様のみ。

 サビ後になとなとが「みなさん、ピノさんの歌声しっかりと胸に刻みましょう」って言った後のBメロの歌詞が「振り返れば仲間たちがいて」でちょっと今うるっと来てしまった。
 間奏でピノ様がなじめるか不安だったかという告白があって、1年を一緒に過ごしたことで一番の宝物になったという話。

 お姉さんたちにも負けない、しっかりと立っていた。
 そして最初のふたりが並んでいるところ……何も言うまい。

8. 私、アイドル宣言(たま、りこ)
 CHiCO with HoneyWorksの曲。アイドル好きの夜桜たまらしい選曲。

 普段「肉を焼いたらフライパンから食う」とか「ムードとかわっかんね」とか言っている彼女とは裏腹に、かわいい歌声と元気いっぱいに手足を伸ばすダンスでアイドル然としていた。You'are my angel!
 サビ後に「私のエンジェルを紹介したいと思います!」って言って出てきた牛巻が放った一言が「お呼びですか!」って王子様なの笑うでしょ。

 並んで見ると、夜桜たま(銀髪ロング・赤ドレス)と牛巻りこ(金髪ショート・青色)って対比できてかなり映える。
 ラスサビでやっぱり泣いちゃったたまちゃん。それでも歌いきったのだから、やっぱり会長は泣いてもいいよ。

9. ダダダダ天使(めめめ、イオリ、双葉、すず、ちえり)
 ナユタン星人の曲。めめめだとこのMADがある。

 ダンサーのふたり(イオリン、ふーさん)がバッテンしながら踊るのがめちゃくちゃかわいい。めめめの歌い方も鼻がかった感じで、かわいい方に寄っていたのも良かった。「ダダダダ ダメ天使はー」の辺りが最高だったのと、「ドヤ!!」が史上最強にかわいかった。
 後半はダンスがちえりちゃんと神楽すずに交代。ふたりともスタイルが良いタイプ。

 ラスサビからはばあちゃるも加わってフロアは真っ赤に染まった。最高。

10. GO! GO! ちえり (ちえり、ほか全員)
 トークを挟んでのこれ。

 減給減給!が始まった瞬間に「うっそだろおい……」ってなった。マジでこれを生で歌うのか……セリフパートの盛り上がりがもう凄かった。「いっぱい現金でてきたwww」「待て お前みてたかんな、飛んでみろ!現金でてきた~w」「お前ちょっと裏来いよ」のセリフがとにかくもう最高。

 ダンス調の曲だけあって、他部員も飛び跳ねて腕を振っての大盛り上がりだった。あの木曽あずきも手を振ってノリノリだったのが印象深い。

11. ロキ (木曽あずき)
 みきとPの曲。歌系Vtuberの十八番にもなっているデュエット曲だが、あずきちはひとりで、相方はこれは……動画編集神!?
 ニコ超で歌った時に特徴的な、重みの強い安定感のある低めの声で私たちを驚かせてくれた。ロキのようなパンキッシュな曲でも安定感のある歌い方は健在で、少し高め女性ボーカルキーくらい。
 歌詞が煽り気味な所もよく再現してて、「鼻で笑ってるような」という感じ。こんな歌い方も出来たのか……「死ぬんじゃねえぞお互いにな!」の伸びがかっこよかった。

12. ブルーバード(イオリ、ちえり、なとり)
 いきものがかり。「みんなさーん!!青い鳥をー英語で?ブルーバード!」の入り。

 とにかくこの曲はヤマトイオリが動きまわっていた。全身で青い鳥を再現したり、脚でずっとリズムを取っていて、顔は満面の笑み。歌っている楽しさがずっと伝わってきた。飛び立つときに羽の形で回ったり、追いかけていく歌詞の時に本当に追いかけていったり、見つかるときに喜んだり……最後の「青い 青い あの空」の時に腕を思いっきり空に向けて回していたのが愛らしい。
 見ているこっちが幸せになれるというのか、彼女が常日頃から前向きでいるからか、心底楽しくなれた。

13. アスノヨゾラ哨戒班(もち、双葉、あずき)
 Orangestar氏の曲。私はときのそらが歌うこの曲が大好きで、思い入れのある曲でもある。

 静かな高音から入り、サビに向かってじわじわと盛り上がっていく曲である。サビ前最高潮に張り上げる部分でも安定しているのは本当にすごい。「夢を叶えてくれてありがとう」と言っていたが、むしろ私たちの方がありがとうと言いたい。夢を叶えるところを見届けられたのだから。

 Bメロからは転じて低めのになって、高音と低音を行ったり来たりするにもかかわらず崩れない安定感。この曲のサビのスピード感は彼女のキレイに響く高音がぴったりだった。まさに歌姫のステージだろう。

14. ダンスロボットダンス
 (すず、たま、双葉、ピノ、イオリ、いろは、めめめ)
 ナユタン星人の曲。「ロボットにのるだけじゃなく、リズムにものってくださいね!」との前口上で始まる神楽すずの盛り上げ。ANUBISとかnimbusをやっていることを考えるとこの曲が彼女にぴったりだ。トラックにも乗ってたけど……

 歌うウキウキお姉さんとして配信でも度々その透き通る声を披露していたが、ステージで、しかもこういうポップ調の曲で楽しく歌っているのを聞くと本当に楽しいんだなと感じる。
 ダンスロボットダンスのサビでのダンスがみんな揃っていて可愛かった。そして間奏での「まだまだいけますよね!」の煽り。セリフ部分がめちゃくちゃかわいい。そして最後に「ありがとうございました!」と共に首を傾けてウインク。かわいい。

 個人的にはLeft!Right!の辺り、左右が分からない神楽すずにとってもちょっと面白いポイントなのかなと思った。

 もともと彼女はアイドルが好きで、アイドル部も部員が大好きで「アイドル大好きなオタク」であったが、そんな彼女も「好かれる方のアイドル」としてステージに立ってことは、やはり彼女がアイドル性を持っていたのだろう。

 ひとりずつコメントが入るトークの後、シロちゃんからのメッセージがとどく。アイドル部はみんなシロちゃんが大好きで入部していることから、こうやってステージで応援してくれるのはひとしおだっただろう。

15. ドレミファロンド (ピノ、たま、双葉)
 40mPの曲。40mPはときのそらに「未練レコード」を提供したり、何かとVtuberと繋がりのあるPでもある。

 童謡チックなこの曲を歌ったのは最年少・ピノ様。12人全員そろってピノ様に合わせたダンスをしていた。そして一人ずついなくなって、ピノ様がセンターまで歩いて行く。夜桜たま、北上双葉という低身長コンビも現れてダンサーとしてゆるふわしてくれた。
 ピノ様の少女みの強い歌い方、本当に元気になる。ろんろ!

 間奏の「ハイ!ハイ!ハイハイハイ!」のオタク、声が揃って気持ちよかったぞ。

16. ゴーストルール (めめめ)
 DECO*27の曲。
 めめめはイケボマトンと呼ばれる低音ロック調の声質が特徴だと思う。Vtuber fesで天神子兎音が歌った曲でもあり、サビのかけ声がとにかく盛り上がる。

 サブの部員を伴わないで、ひとりで最初から最後までステージに立って踊り、歌い続けていた。大きく体を動かし、ステージをあちらからこちらに歩き回り、飛び跳ねる姿は、ダダダダ天使で見られたアイドルの彼女とはうって変わってステージのパフォーマーと言って良い。
 ラストサビの、憂いを含んだ高音で歌い上げながらステージを左右に駆け回るパフォーマンスをが最高。

17. バケモノダンスフロア(あずき、りこ)
 日向電工の曲。やや難しい単語を含む歌詞で、ロックとエスニックの合わせ技のような曲。アスタリスクでも見せつけた滑舌の良さと彼女特有の気だるそうな、重めでローテンションの声がマッチしている。こういう、芝居がかった歌い方が出来るのは凄い。

 現れた牛巻をガン無視して歌い始めたのが本当に草。


18. Trip Trip Trip(すず、たま、いろは)
 アニメ「魔法陣グルグル(2017)」のOP(ORESAMA)。

 このかわいらしい歌を歌うのは神楽すず。入りの「私のアイドル姿、しかと刮目せよー!」はまさに神楽すずらしいセリフ。
 「ダンスロボットダンス」でも述べたけど、本当に彼女の声は透き通るという言い方が合っている。抜けていく高音が本当にきれい。間奏でトチっちゃうのが神楽すずだな(トークでも噛んでたし)。
 いちいち間で煽りを入れてくれるから、ガンガンに盛り上がることが出来た。手拍子の合図とか、こういうのが盛り上がる、って分かってるんだと思う

 ごんごんも「透き通っててだいすこ!」って言っていたの、本当に良かった。最後の決めポーズも三人そろってアイドルだった。

19.ラプンツェル(猫乃木もち)

 もう何も言えなかった。ニコ超の時よりも声に強い感情が載って震えていて、儚さが溢れていた。
 かつて尾崎紀世彦は彼の歌「また逢う日まで」の歌い方を、テレビ番組で披露する時に毎回替えていたそうだ。たしかに、検索して出てくる歌い方が全部違う。このことについて、「同じ歌を歌うなら円盤(レコード)をいつでも聴けば良い、生で歌う時はそのときの感情で歌うから、変わるのは当然」と述べたという。
 ニコ超の時と、この1周年イベントと。それぞれに、それぞれの思いを乗せて歌ったのだろう。

20. 千本桜(全員)
 もはやボーカロイド曲の代表として名高い曲。そしてアイドル部にとって、ニコニコ超パーティ2018でシロが歌った曲になる。

 リードするのは八重沢なとり圧倒的な力強い歌とコブシ。かっこいいの一言に尽きる。アイドル部が揃って並んでわちゃわちゃ動いているのを見ると、心底楽しそうで、ガンガンにのりたくなってしまう。揺れてるだけのあずきちが、最後の「光線銃を~」で光線銃構えてくる~っと回ったのがまたかわいい。控えめにノってるのもまたかわいい。
 ラスサビでもまだまだ盛り上がる八重沢なとり、まだまだ声が張れるのか……!と驚いたし、だからこそよりいっそう盛り上がった。

アンコール:全員
 これについてコメントは出来ない。感情に直接訴えかけてくるもので、心がいっぱいになった。1年間走ってきた彼女たち、シロちゃんを追いかけて来た彼女たちだからこその歌で、感情だと思う。
 そして最後のエンドカード。大事な1枚。


【これからの「アイドル部」】
 これから、といってもアイドル部というか、Vtuber界隈が勃興してまだたかだか1年余りである。キズナアイ始め、シロちゃんたちはもっと長くやってきた。
 Vtuber界隈での1年というのは恐ろしく長い時間である。たった数日で仲間が増え、Vtuberどうしが知り合い、交流し、新しい絆を立ち上げていく。新しい子が増え、我々ファンもVたちも追いかけ、仲間になっていく。そうして広がり続けて、ひとつの大きな群生となってきた。
 もちろん、全員が均質な存在ではない。みんな違ってみんな良い。そういう時空である。
 
 そして、この1年で盛り上がった裏側には、残念ながら去って行ったVたちも少なくない。それぞれの事情がある。引き留めたいが、引き留められないこともある。「誰一人欠けずに1年間を駆け抜けた」グループは多くない。
 
 そういう、激流の中を12人と1人と1頭で力を合わせて駆け抜けていったメンバーは、自分たちを誇っていいと思う。頑張ってきたんだぞ、と思って良い。金剛いろはが雑談の中でメンタルブレイクを起こしたことがある、と告白したことがある。他のメンバーも、表に出さないだけでつらいことはいくらでもあったと思う。それでも、お互いに助け合って進んできたのだから、とても私たちファンが想像している絆よりも、もっともっと大きなものではないのだろうか(こう言及するのも烏滸がましいと思う)。
 そういう12人が一堂に会してライブを作り上げた、これはひとつの歴史といって過言ではない。
 
 この勃興も2年目に入り、いろいろな案件を始め、一般社会に認知される機会も増え、やがてはポップカルチャーと合流していくだろう。それこそ、初音ミクのように。カルチャーの進展は常に変容を伴うもので、ソレによって変わってしまったサブカルチャーも少なくはない(例えば、ブラックジョークがメインだったクレヨンしんちゃんが、家族ストーリーに変わったように)。
 そうなったとしても変わることがないと確信できるのが、アイドル部の絆だと思っている。

 これからのアイドル部にも期待をしたい、いや、している。私自身は来年からどこまで追いかけられるか分からないが、アイドル部が続いている限り彼女らの動向を見守るくらいのことはしたい。

 本当にありがとう。

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