見出し画像

広瀬と偽SBとこれからのマリノスと

こんにちは。
今回は写真入れたり読みやすくする工夫をしないで、ただひたすら殴り書いた長文なので読める方だけ読んで頂ければ幸いです。

広瀬が鹿島の練習後取材陣に言った
「今後のサッカー人生、SBで勝負することを考えて鹿島を選んだ」
という発言。一見マリノスのSBは普通のSBじゃない(偽SBなどをやらされることで本来の自分の特徴を生かせない)という「本来自分がいた場所への不満」を言ってるように聞こえるが、自分はこれを聞いた時に今まで頭の中にぼんやりと浮かんでいた仮説がある1点から証明された気がした。

以前、僕はTwitterで「ポ将は特に喋んない人なのに、わずか2年でここまで攻撃的で連携面もまとまったチームを作り上げられたのは、エリクによる3年間の種まきがあったからではないか。そしてエリク期から大多数の選手は入れ替わったがそれでも、その種まきの期間に在籍していた選手が『ピッチ上の監督の通訳』へと頭脳がアップデートされていたことで新加入選手もチームに馴染みやすくなったのではないか」という仮説を立て呟いた。
その時結構いろいろな反応を頂いたのだが、まだ自分の中ではただの仮説でしか無かった。

今回の広瀬の発言を自分なりに解読してみると
「自分は大外のレーンを上下動してクロスを上げることを特徴としているのに、マリノスにいたらボランチもどきの事をやらされて特徴が生かせない」

…うん。もちろん選手なんだから自分の特徴を最大限に活かせる場所に行くべきだと思うし、広瀬自身がマリノスと鹿島をそのように捉えた上での移籍ならもう僕ごときが何も口出しすることはない。
だけど、ここで頭の中に一つの言葉が浮かんでくる。

どこの試合だったか忘れたし、それがティーラトンに向けられたものか松原に向けられたものかなのも忘れたが、戦った相手チームの選手がこんなことを言っていた。

「マリノスのSBは中に絞るもの(偽SB)と事前に聞いていたのに、いざ試合が始まったら全然中に入って来なくて、チームとして混乱してしまった。」

めちゃくちゃ重要な証言だ。
マリノスの攻撃的サッカーを大衆が見るテレビで紹介される時、必ず「SBが中に絞る攻撃的サッカー」と紹介される。そしてそのテレビ番組はSBが中に絞ることでどのような利点が生まれるのか、についての説明を始める。
最近少しサッカーの戦術というものをかじり始めていて学んだのだが、戦術というものはあくまでチームの決め事でしか無いのだ。決め事を全員が守ればそれはチームとして纏まりがでて良いサッカーができるだろう。だけどその決め事が相手にバレていて、カンペキな対策をされてしまったらどうか。全員がやるべきことをしっかりやってるはずなのに上手くいかない。そのうちに選手一人一人が慌て始め、バラバラになって崩壊…ポ将1年目、つまり2018シーズンに何度か見た光景である。

無論、ポ将自体は2018シーズンと2019シーズンで「そこまで」チームの約束事を変えていないと思う。変わったのは「選手」と「既存の選手の経験値」だ。
ただポ将は他の方も言及してるように「宗教家」気質なところがある。どいうことかと言うと、1年目のポステコグルーがやったことは「ビルドアップ時の選択肢の提示」であったことだ。

「今日日、ポジション通りに立ってるだけだったら相手のプレシッングの餌食になるよ、だからこそ変則的な立ち位置をしてみて欲しいんだ。例えばこんなのとか。」

そんなノリで始めたのが2018シーズンの「偽SB」「キーパーを思い切り上げることでのビルドアップ参加」(ちなみに「ハイライン」は根底に位置するものでこれは選択肢に入っていないと考えます)
そして選手たちは新たな視点を得、それをやり切ろうと無我夢中にプレー。なんとか残留を勝ち取りシーズン通して見てて「こいつは根本的にウチに合わない」と思われた選手は切られ、新しく「合いそうな」選手を外から取ってくる。
そして2019シーズンに入ってポ将は選手に自由を与える。ここが難しくて、「以前はSBが中に絞らないと怒られていたのに今は怒られなくなったぞ?もしかして絶対的にはやる必要無いの…?」と選手たちが思うようになり、「自主性」を勝ち取る。なぜなら言われたことだけをやって崩壊していくのはもう散々体験したからだ。

この一連のストーリーは、僕が勝手に妄想したものだし、このストーリーが正しければ2018シーズンにいた人は全員その場で自分が何をすべきか考える事が身についていることになる。現実はそう簡単ではない。だがポステコグルーは「宗教家」なりにストーリーを持って選手達を洗脳(言い方あんまり良く無いですね笑)した事は明らかだ。

広瀬の話に戻ろう。彼は2019シーズンに加入した選手であり、今季は開幕戦からスタメンを勝ち取り確か20試合くらいに出た。僕が広瀬について一番印象に残っているのはA.清水戦だ。

広瀬は後半頭から負傷したチアゴに代わり右SBに入る。その時は和田がCBにスライドしていたはずだ。
僕は現地、日本平スタジアムで見ていたのだがその時の広瀬がまぁーーー周りに怒られていた。もちろん途中出場だし、いつもの安心安全☆チアゴマルチンスが隣にいない状況である。難しいのは分かるがそれでもあの時ずっと仲川にマジで怒られていたのが忘れられないのだ。
理由は簡単、CBの1枚が和田で対人が少し不安なのに広瀬は上下動を繰り返してしまい、広瀬の背後にある広大なスペースを使われまくっていたからだ。
しかもこれはマルコスが82分に退場するまで治らなかった。

これによって分かることは簡単だ。広瀬は「いつも通りに」プレーしていたのだ。

まずサッカーという競技、同じ状況は2度と訪れない。
ポステコグルーは広瀬を投入をする時「いつも通り」の事しか言わなかったはずだし、それでいつも通りにプレーした広瀬が100%悪いなんて事はない。でも広瀬は「状況を見てプレーできなかった」これだけは確かな事なのだろう。「言われた事しかやれなかった」とも言える。

思えば仲川はエリクの時からいた。いつも通りのプレーをした広瀬を怒ったという事は、仲川は状況をしっかりと考えていたのだろう。
そして仲川についてもう一つ思う事は、彼はたまに物凄い深い位置まで下がって守備をする事があるという事だ。普通のWGならあそこまでの守備をする事はない。
そして基本仲川は「大外に張っていろ」と言われているはずなのに、時にトップの位置に行ったり、CFの真横に位置取っていたりする。だがその時のボールの位置を見ると必ず規則性が見つかる。
これこそが「いつも通り」にプレーしない事では無いかと思う。

今、貴方の頭の中で「たまに変わったプレーをする人」と言われたら誰を思い浮かべるか。
僕はエリク期に在籍していた選手を無意識に上げてしまうと思う。ここが無関係であると言い切れるだろうか。僕には無理だ。

だがピッチ内に数人でも「いつも通り」のプレーをしない選手がいて、それを他の選手に伝える事ができてチーム全体で「いつもと違う」事が出来るようになるとそれだけでチームの破壊力は数倍も数十倍にもなるはずだ。そしてマリノスは僕らが気付かぬうちにそのフェーズまで来ているのだと思う。

それを可能にしているのが扇原であり、松原であり、遠藤であり、仲川であり、高野であり、喜田である。

このマリノスを語る上で和式だー洋式だー言うのは、さらには偽SBが上手く使えてないだGKが上がる上がらないだ言うのはナンセンスだ。

大事なのは対策された事に対するマリノスの選手の回答が合っているか合っていないかだ。僕らマリノスサポーターがこれからピッチ上で見るのは選手たちの受験だ。
合格はすなわち勝利を表す。

渡しておいてから言うのも難ですが、広瀬がポジショナルプレーを理解していると思って取ったのならば、鹿島さんは大きな間違いを犯していると思いますよ。広瀬はマリノスの歯車の一つでしか無かった。自ら動くことは少なくともマリノス在籍中にはしてません。広瀬が中に絞ったり前に上がった時に出来る穴は喜田や扇原が全力で埋めていました。まぁもう僕らには関係のない事ですが。

しかしどうだい2020マリノスは。最高に楽しみだろ?もしかしたらエリク期にいた選手に変わる新たな「歯車の動力源」が生まれてしまうかもしれない。もしかしたら単に歯車が増えるだけかもしれない。

それでも、もう言われたことだけをするサッカーは終わった。そんな奴はこれからのマリノスじゃ生き残れない。時代は自主性だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?