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失点理由知ってんの会 第1節 H.G大阪戦

ようこそ「失点理由知ってんの会」へ。

この会では、マリノスが直近の公式戦において失点したシーンを中心に振り返り

「誰のミスで起きたのか」
「どうすれば防げたのか」
「この失点から得られる教訓は何か」

の主に3点を中心に語ることを目的としています。

司会を務めさせていただくのは「ガンバ大阪戦でマルコスのゴールが決まった時、嬉しさの余り首に掛けてたタオルを前に投げてしまい6列くらい前までタオルが飛んでった」でお馴染みのアイクです。どうぞお見知り置きを。

では先ず、この会が開かれた理由をご説明しましょう。
サッカーとは相手より多く点を取れば勝利できるスポーツである事は自明です。ですがリーグ戦に置いて「失点さえしなければ」最低でも勝ち点1は望むことが出来ます。
勝ち点3と勝ち点1の差が大きいことと同じように勝ち点1と勝ち点0の差も大きいはずです。特に試合後のメンタルの部分で。
攻撃陣ばかりフォーカスされるマリノスに置いて、守備陣は即興か?失点した分点を取ればいいのか?と言われたらそんな事は無く、なるべく失点しないようにする事は勝利するための必要条件だと思います。
またこの会をシーズン終了まで毎回開けるかどうかは(筆者の能力的に)分かりませんが、しっかりと「失点を言語化」しておく事で振り返った時の成長を感じるポイントに出来たらな、と思います。

注意:この会に出席するにあたってみなさんに理解していただきたいことがあります。
僕が感銘を受けた言葉の中に

「どちらのチームもミスをしない完璧な試合運びをしたならば、その試合は0-0で引き分けることになる」

というものがあります。つまり失点した時点でミスが起きた事は受け入れなくてはいけません。

また、この会の目的は先程ご説明致しましたが、「選手を非難する事」ではありません。「特定の個人を吊し上げる事」も恐らくしません。
それは筆者が最大限嫌う事です。サッカーとはチームスポーツであり、マリノスの名を背負って戦ってくれる選手のことを僕は最大限尊重した上で書きます。

今一度申し上げますが、この会の目的は「ミスを認め、言語化した上で次に繋げる」であります。どうぞよろしくお願いします。

動画をYouTubeなどで観て、照らし合わせながら会に参加していただけるとより楽しめるかもしれません。

それでは行ってみましょう。今回のテーマは…

1-2で敗戦したH.ガンバ大阪戦の失点シーン

です。

・議題1:1失点目(5分09秒〜)

・直接的な原因

→パギのトラップが大きい。
→トラップした瞬間を奪われ失点。

・間接的な原因として考えられるもの

→直前のガンバ大阪のセットプレーが不発に終わった後、パギがやや強引にクイックリスタートした。(これは写真がなかったため割愛)

→ティーラトンがボールを受け取った際、相手に引っ掛けられ前進できなかった。

→伊藤がボールを持った際、一番近くにいる扇原にパスをした。
→扇原がパスを受け取った際、トラップが浮いてしまった。

→パギがパスを受け取った際、チアゴの位置が中途半端。
→同時にその時、左のレーンに誰もいない。

・考察
さて、1失点目は「去年からよく見たマリノスの失点」の形でした。後ろから繋ぐ、いわゆるビルドアップをする中で相手のプレスにハマりゴールから近いところでボールを失い、そのまま体勢が整わないうちに失点。
去年のA.鹿島戦の1失点目とほぼ同じような形でしたが、それ以外に2018でも2019でも何度か同じような形で「失点しかけた」ことがあったと思います。

さてこの失点に関してパクイルギュが批判の的になっていたが果たしてそれは正しいのだろうか?

確かに直接的な原因を生み出したのはパギですが、僕は間接的な原因にこそマリノスの改善の余地を感じました。
①まず僕が気になったのは、この一連のプレーが始まったところです。この一連のプレーは、宇佐美が蹴ったセットプレーがそのままゴールラインを割ったことで得たゴールキックをクイックリスタートすることで始まっているのですが、もう一度ゴールキックがティーラトンに渡った瞬間の画像を見て頂きたい。

どうだろうか?

ガンバの選手、殆ど戻れてなくね?

そうなんです。上の画像にはフィールドプレーヤーは
マリノスの選手:8人
ガンバの選手:8人
と、ピッチの半分で数的同数になっています。

マリノスのキーパーは「クイックリスタートする事でなるべく試合を途切れさせない」ことを求められてるのは、昨年の杉本や中林の証言で明らかにされています。
ので、ここでパギが急いでリスタートしパギ→伊藤槙人→ティーラトンの流れで繋がれてったのを責める事は出来ません。たとえその判断が間違っていたとしてもそれは結果論です。ですがこの後ティーラトンが「前を向けなかった」ことで、ガンバ大阪の全力プレスを正面から受けることになります。クイックリスタートとは、それつまり「自陣に戻りきれない相手にカウンターを浴びせること」と同義であります。つまりクイックリスタートしたボールを下げるのはすなわち「味方選手のベクトルの逆方向を突き、相手プレッシャーのベクトルの向きに揃えること」を指すのです。とても危険です。

つまり一つ目の改善点としては
「クイックリスタートした際は絶対に下げない」
「ゴールキックを受け取った選手はスペースへのスルーパスを意識する」

と言うことが挙げられますね。

②次に気になったのは伊藤槙人→扇原にパスをするシーン。このシーン実は「伊藤槙人が左利きでない」ことがもろに弱点と化したシーンであることが分かってきました。
動画で見てもらえれば分かると思いますが、伊藤槙人にボールが渡った瞬間、対面したガンバ大阪のプレッシャーは伊藤槙人の右足のパスコースを切っています。ので伊藤槙人は左足裏でズラして、左足のパス精度に自信が無いからか近くの扇原にグラウンダーパスです。恐らくこの瞬間左足で大きく左の大外に蹴りこめていたらプレス陣を突破すると共にフリーの松原に渡り、そこから決定機に繋がっていたでしょう。
この右足、左足、はたまた選手の癖の話はozamendiさんがシドニーFC戦のレビュー記事にて詳しく語られていて物凄く興味深いので、まだ読んでない方は是非。

https://twitter.com/ozamendi/status/1230720972648378370?s=21

相手がマリノスの選手の癖を理解してプレスを掛けてくるなら、マリノスの選手も味方の癖を理解して助けてあげる必要があると思います。

どうですか?めちゃくちゃ長いでしょ?笑
でもまだまだ行きますよ!単純に結果だけ見て批判してた人、猛省して下さい!笑

③次は扇原、なんでターン出来なかったん?というシーン。

ここですね。伊藤槙人から来たパス、これ画像で見ると扇原が前向くスペースは無さそうですが、動画で見ると扇原の背中にいるガンバ大阪の選手は、ゆっくりと後退りしていることが分かります。
また伊藤槙人からパスを受け取る直前、扇原は右側に首を振っています。恐らく背中の人以外の2人が見えたはずです。ので、一度に3人の相手選手を視野に入れることが出来たら逆側にはスペースがあると考えるのが普通なので、ターンする余裕はあったと思うのです。
しかしトラップが浮いたことで焦った扇原はそのままサイド側に前進し、苦し紛れに伊藤への返還パス。
一つのしくじり(クイックリスタートからのカウンター失敗)が他の多くのしくじりを生み出してる様が見て取れますね。

ここで扇原がどうすればターン出来たかを考えてみましょう。
案その1:扇原の身体の向きをもっと外側に向ける
案その2:伊藤槙人からの「後ろ向けるよ!」ジェスチャー
案その3:パスを扇原の左足目掛けてレーザービーム(意図付きのパス)を出す
こんなところでしょうか。伊藤槙人は、もし畠中からスタメンを奪取する気ならその2とその3は出来なくてはいけませんね。

④えっ、右の方々…いったい何処へ…?
まず下の画像を見てほしい。 パギがボールを持った瞬間

おい、松原どこ行った。

正解はここです。

キャー松ケンの腕カッコいい…って

流石に前すぎるやろ…

そうなんです。ガンバ大阪のプレッシャー陣は主に「縦方向のプレッシング」を意識していた事は他のレビュワー陣の方々が明らかにしていますが、そうした相手に対しては「横方向の揺さぶり」が効く事は冷静になって考えれば火を見るより明らかです。
のでこの状況下で、チアゴより外側に誰もいないのは「配置」という点で考えたときに数的不利に陥っていたんだと思います。
ちなみにこれも動画を見てもらえれば分かりますが、ティーラトンがボールを下げてから、パギにボールが戻るまで「約7秒間」ありました。つまりその時間のうちに松原が危険察して「幅を取り」プレスの逃げ道を作ってあげられたら難なく逃れられたのかな、と思います。これも1つの解決策ですね。

ではこの辺で一度まとめておきましょう。
1失点目を考える上で重要なポイントは…
「クイックリスタートの用い方」
「あなたのボールの持ち方の癖は相手にバレてるぞ」
「選手同士の意思疎通、それで足りてる?」
「幅はいつでも広めに取ろうぜ」
…とこんなところでしょうか。

ですがここまではあくまで基本情報に過ぎません。ここからはこの会に出席下さったみなさんの番です。では議論を始めてください。

〜〜〜〜〜

有益な議論ありがとうございました。

・議題2:2失点目(33分20秒〜)

・直接的な原因
→矢島に中央でフリーでシュートを打たれてしまった。
→パギがシュートを止められなかった。(アレを止めろと言うのは酷なのですが、GKとはそういう責任を
負いやすいポジションなので一応書かせて頂きます)

・間接的な原因
→直前のセットプレー時、仲川のクリアが小さかった

→ガンバ大阪がボールを下げる際、マリノスのDFラインを大幅に上げるが3人が上げきれていないため、倉田がオンサイドに残っていた。

→倉田が後ろに走り出すのを観た際、扇原が「オフサイドアピール」をしている。

→パギは裏へのボールをクリアしに迎撃出来なかったか?

・考察
2失点目です。この失点は1失点目とは違い「誰かの明確なミス」で生まれた失点ではありません。ですがこの失点の仕方は「マリノスの特徴的な失点の仕方」であると皆が口を揃えて言うでしょう。
突かれたのは「マリノスの異常なほどのハイラインの裏」ただそれだけです。恐らく他のJチームも狙ってくると思います。だからこそ今回の失点を「しょうがなかった」と片付けず、どこに失点を防げる可能性があったかしっかりと考えていきましょう。

①この失点シーンはガンバ大阪のコーナーキックから始まります。相手のセットプレーは不発に終わり仲川にボールが渡りクリア、の流れなのですがまず見返すとここが気になりました。

**仲川のクリア小さくない? **

まず仲川はここでボールを持ちクリアする。

クリアしたボールはこの地点でバウンドしすぐに相手に拾われる。

という一連の流れでした。
正直これで仲川を責めるのは結果論であり酷だと思います。なぜなら仲川がボールを持った際、背中にも前にもガンバ大阪の選手がいて挟まれてボールロストしかねなかったからです。ので、たとえノールックで小さいクリアだとしても「その場からボールを遠ざけた」点に関しては良くやったなと思います。
逆に言えば、そのクロスをマリノスの選手が拾っていたならカウンターにも繋げてた訳ですし、仲川は「敢えて外に出さないクリアをした」可能性もあると思います。

問題は外にボールを拾う人がいなかった事じゃないでしょうか。

もう一度コーナーキック時の画像を見て頂きましょう。

ガンバ大阪の選手は
ペナルティエリアの近くに7人
離れたところに2人

対してマリノスの選手は
ペナルティエリアの近くに10人全員います。

マリノスの選手は平均身長が相手よりも低いので、コーナーキック時ゴール前に人数を割きたくなる気持ちは分かります。ですがそれを選択したのなら
・外に出ないクリアをしてカウンターを試みる
・相手ボールになった際一斉にラインを上げる

という2つの選択肢は大きな間違いであると言わせていただきたいです。
前者に関しては述べたとおりですが、後者に関しても同じような意味です。後ろに人数がいればいるほど、ラインを上げる際大勢で動かなければいけなくなる。大勢の人数になるほどミスをする可能性が増えることは火を見るより明らかです。
これは結果論であり決して責めている訳では無いのですが、仲川のクリアが小さくて相手ボールになったことは選んだ選択肢として間違いであり、この2失点目に繋がる「キッカケ作り」になってしまっていたことは避けようのない事実なのでしょう。もしカウンター狙いでのクリアだったのなら「味方との意思疎通が不十分だった事が招いたミス」とも言えますね。

では、これを防ぐにはどうすれば良かったか?

簡単です。
「仲川が外にクリアしてプレーを切れば良かった」のです。ノールックで外側に馬鹿蹴りです。
もしくは8人で守って仲川とマルコスでクリアの球を拾う役割をやって貰えば良かったと思います。とにかくすぐに相手のボールになった事、これを防ぐ事が最大の鍵だったと考えます。

②さっき紹介したのはチームの構造的ミスですが、次に紹介する「倉田がオンサイドにいた件」は1失点目のパギのトラップミスと同じような個人のミスです。

のでここに関しては大して語る事がありません。
本当は「ラインをあげる必要が無かったんじゃないか」と書きたいところなんですが、それは絶対にやらなくてはいけない事とチームで決められているのが歯痒いですね…笑
事実、それでオフサイドを取れれば自陣まで戻る必要が無くなりますし、相手をハーフコートに押し込んだ状態で攻撃を始められるのも魅力的です。正に一か八かのスリリングな所、今回はそれが裏目に出たと思うしか無いのでしょう。
ここを言及するくらいなら、①で話したことや次の③以降で話すことに時間を使った方が有益だと思われます。

③そうなんです。別に②で上げきれなかった3人に対しては僕は何も思っていません。まぁしゃあねぇーかなぁくらいです。
それよりもマリノスの選手には「オフサイドアピールした事」を猛省して貰わなくてはいけません。

これですね。この黄色で囲まれているのは扇原なんですがよく見ると腕を上げて、よくある「オフサイドアピール」しているのがわかると思います。そして動画で見てもらえればわかると思いますが、伊藤と松原も何度か副審の方に首を振って旗が上がっているかどうかチェックしています。

ハッキリ言わせてもらいましょう。

「そんな無駄な事するな。死ぬ気で走れ」

ってことです。
ご存知の通り今季からVARが導入された為、もし倉田がオフサイドであったなら得点が入った後でも「ファクト」によってゴール取り消しとなります。またVARが入ったことにより副審は微妙な判定の時は憶測で旗を上げず、最後までプレーをさせるように言われています。
ので笛が鳴るまでは全力でプレーを続けないと、損をしてしまうのです。恐らく「手を挙げる」「副審の方を一度見る」を一切しない、これだけで同じ時間でも1mは前に行けるでしょう。また、気持ちの動揺も無くなり目的が明確になるでしょう。

「笛が鳴るまでプレーを止めない」

これは今季の合言葉になるかと思います。特にオフサイドを取りに行く守備をしているまりにとっては。

「マリノスの選手、なんか陸上の競技してるみたいですね。」と思ったそこのあなた。ハイラインとはそう言うものです。この失点シーンのチアゴを見てみてください。ファーの選手を確認した後、獣のように目的地に向かって一直線でした。

まぁでも分かります。多分癖なんですよね、みんな。ので早めに慣れていって欲しいなぁと思います(温かい目)

④最後はパギについてです。まずは下の画像を見てください。

これは倉田が東口からのロングフィードをヘディングでトラップした位置です。
この位置…GKからのロングフィード…と言われると僕は去年のH.大分戦を思い出すんですよね。
覚えてますか?大分のGK高木のロングフィードをペナルティエリア外まで出てったパクイルギュが迎撃ミサイルよろしくヘディングでタッチライン外にクリアしたシーンを。
そのシーンと似てるのでは?と思った僕は家のビデオレコーダーからあの時のキクマリを引っ張り出して来て、もう一度観てみました。

大分戦の時のクリアはこの位置でした。
見返してみるとこの時と今回のガンバ大阪戦では状況が少し違いました。このGK高木のフィード、ノーバウンドでこの位置まで届いているのです。
ガンバ大阪戦の「倉田がトラップした位置」と確かに同じですが、こっちはワンバウンドであの位置なので、パクからしたら「ボールの回転の予想」もしなきゃいけず、安易に飛び込めなかったのだと考えます。
またガンバ大阪戦当日は風が強かった為、高い位置まで上がったボールがどの様に落ちるかの予想も難しかったんじゃないでしょうか。

この件に関してはパギを責めることは出来ず、東口のボールの精度が素晴らしかった、と褒めるしかないんでしょうね。

以上です。ではこの辺で一度まとめておきましょう。
2失点目を考える上で重要なポイントは…
「セットプレー時にどこにどのくらいの人数を割くか」
「『プレーを切る』勇気はあるか」
「VARが入ったことによるサッカーの変化を理解する」
「笛が鳴るまでプレーを止めない」
…とこんなところでしょうか。

ですがここまではあくまで基本情報に過ぎません。ここからはこの会に出席下さったみなさんの番です。では議論を始めてください。

〜〜〜〜〜

有益な議論ありがとうございました。

・最後に


以上になります。なんとか2失点ともまとめる事ができました。皆さんもこんな長い文章に付き合って下さり本当にありがとうございます。
ですがこれらはあくまで僕の考えでしかありません。皆さんは皆さんなりの考え方を自信を持って持っていただきたいなと思います。そのためにこのnoteの名前を「失点理由知ってんの会」とにしたので。

また悔しい負けをしたらこの会で集まりましょう。出来ればなるべく集まらない方がマリノスの失点が少ないと言う意味で良いのですが笑

また次もやっていこうと思うので、「もっとこうしたら読みやすい」や「こう言うのも書いて欲しい」と言った反応を待っています。


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