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たったひとつだけを君はもっている

8月28日(水)
久しぶりに、開拓しようと言った沿線の駅で降りて、夜ご飯を食べた。オーナーシェフがこだわっているお酒と料理、特注のキッチンで作業している姿を見ながら、横並びに座ってくるくるとカウンター越しに動く店員さんを眺める。
「なんかデートみたいだね」
わざわざ言われると、どう返したらいいのか分からないから、返事の代わりにお酒を飲む。こだわっているおつまみ数品、ひとつひとつにストーリーがあって、作り手が大事につくっていることが伝わってきて、受け取るこちらも嬉しい。この店の他にもう2店舗あることを知り、また来ようね、と話して満腹になる前に店を出る。

「ラーメン食べたい」
子供みたいな顔で言うから、いいね、ってその提案に乗っかる。ぱぱっと携帯を操作して、近くの気になるお店を探す。そういう行動の速さが好きだ、友達とのやりとりだったら私がおそらく受け持っていたであろう部分を、さらっとこなしてしまう軽さ。まぶしいな、とずっと見ていたくなる。
食べきれなくて、麺を半分以上食べてもらう。ほろ酔いでお腹いっぱいになった彼と、そのまま帰りの電車に乗る。
1軒目のオーナーが、6時間くらいある80年代J-POPのプレイリストをつくってかけていた影響で、カラオケ行きたくなっちゃった、と勢いで1時間だけ、近所のカラオケ屋さんに向かった。前より、ちょっとだけ顔が見られるようになって嬉しい。楽しそうに、気持ち良さそうに歌う姿を見ていると、私まで幸せな気持ちになる。不思議だ。

(自分がやりたいことが明確にDoとしてない私は、誰かのやりたいことが叶うこと、誰かが楽しそうにしていることが快になる。そうやって面白がってくれるのが分かるからありがたい、ってふと言われた。)

きっと彼は酔っ払っている、大して飲んでいないけど、ワインだからってことにしてあげよう。大人には、いつでも言い訳が必要だ。
はしゃぎすぎた、と翌朝眠そうな顔で電車に揺られる。朝、起動するまでの時間がかかることにもそろそろ慣れてきた。しょうがないな、って笑えるようになったのはきっと成長した証だ。

秋が来たと思うくらい涼しくなったね、と話していたのに、また暑い夏に逆戻りだ。きっと、あっという間に冬がくる、季節が巡るのを楽しみたいなって、思う。私は、なんでもない毎日の中にある、発見が大好きだ。

#毎日

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