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かがみの孤城

わたしに、辻村深月さんを教えてくれたのは、部活の先輩だった。すでに文庫本が出ていた何冊かをまとめて買って、そこから一気に惹きこまれていった。それが、「ぼくのメジャースプーン」と「凍りのくじら」だった。

昨日、無性に小説が読みたくなって、Kindleで購入したのは「かがみの孤城」夢中になってページをめくって、寝不足になりながら読み終えた。

ドキドキする展開、SFのような要素もありつつ、読みやすい文章で置いて行かれずに主人公たちとそのときを生きる。心が潰されるような切ない気持ち、誰もが経験したであろう学校という組織から、するりとこぼれてしまった子供たちの、やさしいお話。

読み始めたらきっと誰かに共感できる。謎解きをするよりも、もっとこの世界に居たい、とわたしは途中で思っていた。終わらないでほしいと。それでもページをどんどん繰る手は止まらない。逃げたっていい、頼ったっていい、大丈夫。どんな生き方でも、いい。

最後にひっくり返される、この快感は、辻村ワールドならではだと思う。心をつかまれる。深いところに、落ちてくる感覚。読む前と後では、世界が違うような気がする。

子供の頃、おとぎ話は好きだった?舞台は、お城。
登場人物は、オオカミと7人の赤ずきんちゃんたち。
週末に、紅茶を淹れて、どうぞ。

こじょう【孤城】
①ただ一つだけぽつんと立っている城。
②敵軍に囲まれ、援軍の来るあてもない城。

『大辞林』

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