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ヨーロッパ旅の記録〜ベルギーの旅4

"2017年7月24日〜9月18日まで ヨーロッパ8カ国を旅した記録"

8月17日
午前中はいつも通りピアノを弾いたり作曲に向かう。
Danielと昼食を取り、午後はどうしようかと相談する。BOZARでYves Kleinの展示をやっているので観に行くことにした。Kleinの青は有名だ。真っ青なキャンバスや真っ白な空間など、空虚の中に密度を求めるこの時代のアートは音楽にも通じる。
この日は同じBOZARの中でインスタレーションパフォーマンスが行われた。ベルギーのアーティストMiet Warlopという人の作品だった。これが大変面白かった。芝居仕立てのように場面がどんどん展開していく。ここでも奇抜な色の顔料が大胆に使われ、観ている者に不快感をも与えるようなシュールなパフォーマンスだが、"Time in motion"というキーワードが想像力を掻き立てた。"time"とは、一人一人の人生に与えられた無限のしかし一瞬のものであるという時間感覚と、現代社会にあるひとときも止まることのない不穏な時間感覚という二つの意味があるような気がした。最後には全てが過ぎ去ったあとの残骸だけが残る。印象深いパフォーマンスだった。

パフォーマンスが終わって外へ出ると、Danielの友人たちがどこからともなく集まってきて、一緒にビールを飲みながら立ち話をした。何か物事を共有した後には必ず感想を言い合うのがヨーロッパの人たちの習慣だ。
夜も遅くなり、Danielとケバブを食べた。ブリュッセルは多人種居住都市だ。イスラム街、アラブ街、アフリカ街、と多文化が街の中で共存している。Danielが"girl's show windowを見たいか?"と言うので初めは何のことかと思ったが、赤い怪しい灯りの中にセクシーな女性が窓越しにこちらを見ている、あれだった。オランダでは合法らしいが、ここではグレーゾーンだという。とても一人では来られない地区だが、Danielと一緒だったので興味津々で綺麗な女性たちを眺めた。風俗業も日本とは違って面白い。

8月18日
昼間は一人で王立美術館に行ったり、楽器博物館へ行ったりした。
夕方、DanielとSabrinaと映画を観るためBOZARで待ち合わせをした。この日のプログラムはヒッチコックのサイレント映画だったのだが、残念ながらチケットが売り切れで観られなかった。他に面白そうな映画もやっていなかったので、電車に乗りアフリカ街へ行って食事をした。食事はシンプルなワンプレート料理。肉か魚を選び、ライスとバナナを焼いた付け合わせが載っているもの。なかなか美味しかった。アフリカ街には美容院がたくさんあり、主に女性たちはドレッドや細かい三つ編みのヘアスタイルに凝っていた。鮮やかなワンピースがたくさん並ぶ洋服屋や見たことのない野菜が並ぶ食品店など、見ているだけで楽しい。私たちが通ると必ず視線がこちらに向く。Danielが洋服屋で気に入ったジャケットを見つけたようだった。女性ものだがDanielは小柄だし濃い顔立ちなので派手なデザインのジャケットがよく似合っていた。購入するかずいぶん悩んでいた。
電車の駅に戻る道すがら、変な名前のレストランを見つけた。日本人には絶対に読めない店名だ。(Electroharmonixというフォントらしい)

家に帰る前にもう一軒バーに立ち寄った。Danielはスコットランド人だからウィスキーにうるさい。彼にオススメのウイスキーを選んでもらう。Sabrinaはお酒やバーのようなところはあまり好きではないらしかったが、私たち二人に付き合って飲んでくれた。Danielはいつの間にか外で女性をナンパしていた。
SabrinaもDanielもベルギーの生まれではない他国からの移住者だ。ヨーロッパでは珍しいことではないが、単一民族で暮らしていない国は様々な文化が交差していて雑多で面白い。ブリュッセルの雰囲気はとても好きだ。


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