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お会計1,000円

私は毎朝コンビニでバイトしている。今日もたくさんの人がやってきた。

8時くらいに来た、中学生と思われる女の子2人組。2人とも色黒で、部活仲間なのはたぶん間違いない。

女の子1人は会計を済ませ、少し離れたところで商品を見ながら、もう1人を待っていた。

そのもう1人は少し遅れてレジへとやってきた。

ピッピッピッ…と、バーコードをスキャンした商品をカゴから取り出していく。そして、カゴは空になった。

(…!!)

「…お会計、1,000円です」

ジャスト1,000円。ウィダーやらお茶やらおにぎりやら6品くらい買って、ジャスト1,000円。

(すげえ…!)

という気持ちは、たぶん女の子と共鳴していた。

「ちょっと、ちょっと!来て!」

離れたところで自分を待っていた友達を呼びだして、「見て!ぴったし1,000円!」とレジの画面を指さして嬉しそうに言った。



私だったらどうするかな、とか考えてしまった。

「そういえばさっきのお会計、1,000円ピッタリだったんだよね〜」

店を出るときに軽くそう言うか、心のなかにとどめておくだろうな。

お会計が1,000円だったことなんて、他人にとっては死ぬほどどうでもいい話。このハッピーは共有できない。


そんなふうにごちゃごちゃ考えず、ただただ誰かに言いたくて、自分のハッピーに友達を引っ張ってこれたその子を、私はちょっぴりうらやましかった。

年を重ねて、無駄に物事を難しく考えるようになって、私はそんなことすらできなくなってしまったのね。

ありがとうございます。大好きなスタバ(ガソリン)に使います。