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■埼玉県営公園撮影会直前中止事件には千葉県警の亡霊がいる話。

○はじめに

お疲れ様です。あいなです。
今回も引き続き埼玉県で起きた『水着撮影会直前中止事件(仮)』の話です。
前回は6月11日に記事を書いたんですが、すぐに県知事から中止要請撤回のツイートが公表されたり、知事の定例記者会見があったり、7月には暫定条件を公表したり、9月の撮影会が決定したり、中止による賠償金については公表が無かったりと、色々と進展があったりなかったりしているようですね。

今回は、メディアで報じられていた、この件に関する県関係者の動向についてをまとめてみたいと思います。

○似てるよね?と主張していきます。

まず、このnoteアカウントは、2年前に起きた『千葉県警動画削除事件』の情報公開請求をしていました。
その中で、行政の各関係先がどのように動いていて、どのようにやらかしてるのかを、公文書類やメディア関係からの報道などを通じて検証&考察していました。

その経験を踏まえて、この『水着撮影会直前中止事件』を見てみると…
類似した点が多くあるなと思えるのです。

私が思った、2つの事件の類似点をご覧ください。

①行政団体は初期に市民からのクレームを受けていた
②行政団体は政治団体からのクレームを受けてすぐに動いた
③現地担当者と主催者とは良好な関係だった
④上層部と現地とでは認識のズレがあった
⑤政治的&社会的批判を回避したい上層部のパニック的行動が原因
⑥イベントの内容が批判を浴びる
⑦クレームをつけた団体が批判を浴びる
⑧実際に原因を作った行動をした行政団体は批判されない

いかがでしょうか。
言われてみれば似てるなーと思ったりしませんか…?
どうでしょうか…?

このアカウントでは、これら類似点のうち、
④『上層部と現地では認識のずれがあった』
⑤『上層部のパニック的な行動が原因』
という部分を、今回の撮影会中止事件についても当てはまるのか?という視点から、検証&考察していきたいと思います。

○6月9日&11日の知事のSNS記事

6月9日の夜に、埼玉県知事がSNSでこの件について言及したことは話題になりましたが、その内容にあまりにも事実と乖離した点があったために、コメントで批判が殺到。
11日付のSNS記事で改めて、『中止要請を撤回する』という発表をするという、『ネットの批判が行政を動かす』展開になりました。

(こちらは前回のnote記事にも掲載しましたが参考のため再掲します。)
9日のSNS記事のリンクは下記になります。

11日のSNS記事のリンクは下記になります。

9日時点では、
『問題ありません』
『こちらにも事情があるんです』
『この話はこれで終わり』
という印象の、かなりの強気なコメントでしたが、まず【禁止条件を出してる公園以外の公園での撮影会も、まとめて中止になっている】というのと【過去の撮影会=禁止条件を確認する以前のものを調査したのでは?】という2点の指摘でコメント欄が溢れました。

そして、11日の深夜に発表されたSNS記事では、
『ルール決めてない公園やルール決める前の違反者を中止したのは良くないよね』
『ルールやイベント開催については検討会を開いてちゃんとしようね』
『特定の政治団体の意見に左右されたわけじゃないよ』
と、しっかりまとめて簡潔な説明がなされていました。

第一報の内容の批判を受けて、知らんぷりするかと思いきや、11日はしっかりと情報確認をして修正内容を発信しているあたりは、県知事すごく偉いなと思いました。

この正味2日の間にいったい何があったのかはわかりませんが、とてもわちゃわちゃしたんだろうなぁというのと、めちゃくちゃ今後の展開を考えたんだろうなぁというのが伝わります。

○6月12日埼玉県知事記者会見

※引用の公園名は検索除けのためS公園としました。

SNS記事で発表した翌日には、埼玉県庁にて知事の定例記者会見が行われました。
テキスト版はこちらになります。

会見では、知事がじきじきに経緯を説明されていました。
その後の記者からの質問には、知事(一部は都市整備部の部長)が答えています。
経緯説明の内容としては11日のSNS記事とほぼ同じ内容です。
以下、知事のコメントで気になるポイントを抜粋してみました。

(水着撮影会の開催の是非についてコメントを求められて)(略)水着の撮影と今回の中止要請の判断には何の関係もありません。許可条件に違反したかどうか、これを適切に判断して欲しい、これが我々が協会に対して指導したことであります。
(知事側のTwitter記事と報道の相違について質問されて)協会の報告が、先ほど申し上げたように、ルールがあって違反が確認されたから全て取り消しますというのであれば、我々も特段何の話もありませんでした。ただ、報道で、そうではないらしいということがあったのでそうかどうか分かりませんが、正確な情報を聞くということをしたところ、どうもその理由付けと結論のところが実際の現状とは異なっていたということだと思います。
(協会の対応にSNS上で批判が起こっているがそれについてコメントを求められて)(略)それから申請等についても、実は10日に行われたものについて申し上げると、2件については2月にくじ引きはあったものの、実際に許可証の申請があったのは6月5日付けであります。つまり、そのあと数日後にこれを判断して、10日とか10何日にこれが実施される意味で、それは必ずしも、すみません、主催者だけの責任では私はないというふうに思います。ただし、先ほど申し上げたように、中止の要請の根拠が良いかどうかはまた別の話ですよ。
(規定の線引きについてコメント)私自身が現在のS公園の許可条件について拝見しましたけれども、そこでは非常に具体的で、その具体的なものを示すために、「いけない例」という写真まで付けています。そこは、実は非常に具体的であり、あれを見て分からない人はなかなかいないかなぐらいの感じなので、私は今後、公園緑地協会が判断するべきものではありながらも、今の条件について読んで不明確ということはないと思います。

6月12日 埼玉県知事定例記者会見より

ざっくりとした知事側のタイムラインを書くと、
9日に知った情報で、沈静化のためにSNS発信したら、
10日に追加情報が報道されて、
その情報の精度を確認した後、
11日に改めて知った&指示した情報をSNS発信した
…という流れになるかと思います。

ここで、知事がこの騒動のことを『知った』方向が3つあるんですがお判りでしょうか。
中止することを知事側に報告した公園緑地協会
この騒動を報道したメディア
そして、
K党から実際に中止要請を受けた都市整備部
です。

知事は、協会の行動に対しては、
『協会に対して指導~』
『協会の報告が~』
…とキチンと明確に言うのですが、
『正確な情報を聞く~』
というところでは、誰に聞いたのか?という目的語を明確にしていません。

これは個人の感想と妄想ですが、
知事は、10日以降に『情報の精度を確認』した段階で、協会と都市整備部との情報の齟齬に気付いたのではないでしょうか。

個人的には、10日までは知事には、『協会側の報告』と言いながらも『都市整備部で体裁を整えられた情報』しか上がっていなかったのではないかと思います。

千葉県警の事件で思った事なのですが、『行政側』って、一見すると一塊のように見えるのですが、情報の錯綜具合によっては三角形のヒエラルキーや、どこが情報を集めていて一番上に持って行っているのか、というレイヤーのようなものが感じ取れると思っています。

今回も、千葉県警と同じような認識のズレがあるのではと仮定すると、
埼玉県知事
都市整備部
公園緑地協会
各公園の窓口担当者
…ぐらいのレイヤーが存在していると思った方が良いような気がします。

続いて、産経新聞の記者の方から新しい情報が出ていました。
利用者が公園利用申請書を提出するタイミングと、公園側の許可証を発行するタイミングについてです。
以下、質問と回答を引用します。

(産経新聞からの新情報)
引用『過去の申請と許可証の発行の状況の方を公園側に尋ねてみたところ、過去にはイベント開催当日に申請書を提出して、当日中に許可証を発行するということが多数あったというふうに私伺っております。その考えから言うとですね、主催者側が当日、あるいは3日前とか5日前にその申請書を提出しても、許可書が発行されるというふうに考えるのはある意味自然なことであるというふうに考えますが、その点についてはどのようにお考えになられますか。』

(知事の回答)
引用『例えばK公園で私どもが見直してくださいと言ったものについて申し上げると、1件については1か月以上前に出てきています。で、他の先ほど申した10日のやつ等については、5日で出てきて10日ということがありますので、決して事業者がそういったことばかりをしているというふうには理解をしていません。』

引用『(更なる追及に対して)許可条件を守るという前提であれば、当然、今日出してこれをきちんと守りますでできると思いますが、その実績が覆された人について、許可条件を満たさない方については当然慎重に検討されるのは当たり前のことだと思います。』

6月12日埼玉県知事定例記者会見より

これは個人の感想なんですが、
【許可の取り消し】や【中止の申し入れ】って言うとなんかもうすでに一旦ルールに則って協会側が認可してその後急に手のひらクルーで中止要請している印象だけど、
【許可条件を満たしていない】と言うと相手が利用申請した段階でルールに従って許可を出してないよーって正しくハジいている印象がありますね。

途中から、記者の質問攻めに対して、知事では説明が難しい部分が出てきたのか、都市整備部の部長が回答をする場面が増えてきます。

そのあたりで、テレ朝の記者さんが、時系列を整理して確認しつつ、K党からの中止申請があった時点での都市整備部側で調査した内容について追及していきます。
かなり厳しめの追及という印象でして、個人的にも都市整備部に対する好感度が一気に下がったインタビューでした。
内容はかなり長いので、以下引用のまとめになります。

テレ朝の認識していたと思しき取材情報を時系列順に書き出しますと、
・2023年4月にS公園で条件策定
・2023年4月に複数団体の水着撮影会開催
・2023年5月末に協会に対して県民から苦情メール
・その後(6/6?)県に対してK党から要望
・県と協会で調査開始
・過去4月開催2団体が条件違反認定
…ということのようです。

都市整備部の回答は以下になります。
『最初にそういった苦情と言いますか、クレームめいたお話があって協会が調査を始めたんです。それで過去のイベントで、詳細条件を付したにも関わらず違反していたというような事実がありまして、全体に渡った調査を行ったというようなところだと思ってます。』

6月12日埼玉県知事定例記者会見より

これって、話を統合すると、
5月末に協会が県民からの苦情を受け取った時は特に何もしなかった。
6月8日にK党が埼玉県に中止要請をした時は調査を行った。

…ということになります…よね?

○埼玉県議会 令和5年6月定例会

この記者会見の約1週間後から、埼玉県議会の6月定例会が行われました。
あまり目立ったニュースにはなりませんでしたが、県土都市整備委員会で「県営水上公園の利用許可について」という話が出ているようです。
質問をされたのは、自民党の金子ゆう太県議のようです。
詳しい内容までは分からないのですが。
(議事録にはあるかな…?そもそも委員会の内容は議事録に載るのか不明なのですが)

もしかしたら、抗議した側としては、県側が6月9日に中止要請しなかったら、議会で唐突に話題に挙げるつもりだったのではないかなと思いました。
(別の議員さんですが、自衛隊のポスターでやったことがあるようです)

そう考えると、抗議の申し入れ後に都市整備部が、『この話題を県議会で取り上げられたら困るなぁ』と思ったのかもしれない…と考えると、都市整備部の慌てっぷりもなんとなく想像がつくような気がします。自分の失敗を議事録に記録されたくないですよね。

これは根拠の薄い妄想なのですが、
千葉県警の抗議文の時もそうなんですが、抗議する直後や回答期限直後に議会の開催予定が入ってたりするんですよね。
『もし中止しなければ、公の場でお前のミスを告発するぞ』って言われるの、一般人でもそうでなくても、わりとパニックを誘発するぐらいには怖い気がしますね。
いや、妄想ですけど。

○おわりに

いかがでしたでしょうか。

9日までに知事へ正しい情報の集約がされていなかった。
都市整備部はK党からの中止要請を受けてパニックになった。

…という想像が、あながち有り得ない話ではないような気がしませんか?

次回は、県知事選挙での動向や、この騒動がメディアに取り上げられた際の内容などをご紹介したいと思いました。
ちょっと筆のスピードが遅すぎて自分でも嫌になるのですが…
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それでは、また。

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