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■水着撮影会直前中止事件に千葉県警の再来を見た話。

○はじめに

お疲れ様です。あいなです。
今回ご紹介するのは、6月上旬に埼玉県で突如起きた『水着撮影会直前中止事件(仮)』です。

6月6日に日本共産党埼玉県議会議員団のSNS記事が話題になりました。
県議を含む女性党員3名が県営公園で開催予定の水着撮影会に中止を申し入れた、という内容のものです。

続いて、複数の水着撮影会の主催者側が、撮影会の中止をSNS上で公表しました。

突然イベントの仕事を失った出演者や関係者が、悲鳴のような憤りの声をSNSで上げると、イベント参加予定者のみならず突然の中止を問題視する声が当然沸き起こり、同時に『イベント中止は当然』という中止に賛同する声も起こりました。

○水着撮影会ってどんな感じのやつなの?

まず、開催場所は埼玉県の県営プール施設内です。

埼玉県には3件の県営プール施設があるようなのですが、ウオータースライダーや流れるプールがあるなど楽しめる設備が充実していて『県営とは思えない!』と評されるほどの人気のようです。

6月というのは、屋外プール施設は無論のことシーズンオフで、一般客が入れない時期にあたります。
過去の同時期に開催された水着撮影会の様子を見ると分かりますが、水は完全に濁っていて緑色です。

撮影は、プールサイドで出演者のモデルさんがポーズを取り、スタッフの指示に従って距離を取った参加者が半円形に並んで位置取りをするという方式のようです。

モデルさんはポーズを取りながら順繰りに目線を送り、混雑している場合は、参加者はスタッフの指示に従って前後入れ替えるなどして平等に撮影機会を得られる…という仕組みになっているようです。

撮影会というと、一般的にはイベント主催者側がネット等で開催を呼びかけ、出演モデルの撮影を希望する参加者から参加費を徴収して行うようです。

また、『チェキタイム』という出演者と参加者のツーショット写真を『チェキ券』を当日購入することにより1枚取得(枚数限度あり)できるようです。

水着撮影会ということで話題になっていますが、水着だけではなく『マリンルック』の着用もあるようです。

マリンルックは、広義的には水夫や船員を彷彿とさせる着こなしや服装の事を言うようですが、こういった撮影の時はちょっとだけちがうようですモニョモニョ。

今回の日本共産党埼玉県議会議員団がSNSの記事にリンクを張り付けたものは、出版社が主催しており、2日にわたるかなり大規模なイベントで出演者がかなり多く、1日あたり3チーム制・プールの移動や入れ替えを含めて2時間程度の撮影を4回:実質計12回の撮影会が行われるというものでした。

○中止にしたのは誰?

この話題が私のツイッターのタイムラインに流れてきた時、明らかに『フェミの不当なクレームのせいで問題の無い水着撮影会が中止に追い込まれた』というニュアンスでした。

私はこの話題にめちゃくちゃ既視感を覚えました。

この場合、まず確認しないといけないのは、
①『共産党はどこにクレームを入れたのか』
②『撮影会の主催者は誰に中止しろと言われたのか』
になります。

案の定、①共産党は公園を管理している埼玉県の公益財団法人に申し入れを行っていましたし、②撮影会の主催者はこの公益財団法人から中止の連絡を貰っていました。

つまり、ネットで怒りに沸いている人たちは『フェミが中止させた』と思い込んでいるようなのです。

またかよ…(いろんな意味でげんなり)

どんな申し入れの内容でも、急な中止になっても、いずれにしても、イベントの『主催者側』に中止の要請があったのは『会場側』なのに、『抗議者』にバッシングが行く現状は、ちょっとおかしいと思うんですよね。

ということだけはこのアカウントが2年ぐらい前からずっと言っている事ですので、今回も改めて申し上げさせていただきます。

○主催者に同情する。

やはり、「今まで許可してたじゃん!」「なんで今更ダメなのよ」というのが主催側の意見だと思うんですよね。

シーズンオフのプール公園での撮影会イベント、前々から行われていた集客&利益が見込めるイベントなんだと思うんですよね。

何度も開催しているという事は、施設管理者側とイベント主催者側とは良好なビジネス関係を結べていたという事ではないでしょうか?

数日後に迫ったイベントであるなら、既に関係者への準備や連絡は行き届いており、スタッフや設備などへの準備段階での拘束や金銭が発生している状態ですよね。

実際にケータリング業者側のキャンセルが発生した声もSNSには上がっているようでした。

ファンとの交流を楽しみたい、楽しんでもらいたい、と思って主催者側は色々な用意をしていたことでしょう。

予定していたことを全部ナシにされる、その悔しさや困惑が想像すると胸がきゅっとなります。

(イベント主催者の中には代替会場をすぐさま用意できたところもあるようです…不幸中の幸い…)

この点において、主催者側に落ち度は無く、むしろ余計な手間が増えてしまった事は同情を禁じ得ません。

○『新ルール』とは。

この炎上事件が話題になってすぐ、カメラマンでありライターの徳重龍徳氏がデイリー新潮に記事を掲載していました。

公園の管理者側にも取材も行っている良記事です。
これを読むと、6月から『新ルール』を決めて運用をしようと会場側と主催者側とで申し合わせをしていたところ、外野(共産党や一般市民)から指摘で過去のイベントでの新ルールへの違反を発見したために、問答無用で一律アウトにした…という経緯のようです。

①過激な衣装やポーズの禁止
②未成年者の出演禁止
というのが今回盛り込まれた『新ルール』のようです。

(今まで決まってなかったんかというツッコミはこの際置いておくとして)

ココは上記の記事でも『その時点ではルールを破ってはおらず、そこを問題視するのは後出しじゃんけん、ゴールポストを動かしていることになる。』と指摘しています。

完全同意です。

つまり今回の問題は『新ルールの遡り適用』になりますよね。
TRPGやボードゲームでGMがそんなことしたら顰蹙を買うこと必至です。
TRPGでは、ルールに無いことをGMが新しくルール設定することが多々ありますが、既に起きた事に関しては巻き戻して適用しない、というのが基本ルールだからです。

多分、一般的な法律でも同じ考え方ですよね?

こんな御無体な事をされたら、言われた側は確実にパニックになりますよね。
『キチンとしている』というイメージのある『県営』の施設管理者に言われたなら猶更です。

○なんで会場側は直前で中止にしたの?

結婚式やホテルの予約なんかでも、キャンセル料は直前になればなるほど嵩みますし、ドタキャンを防ぐために補償として倍の金額を徴収したりすることもありますよね。

そういった金銭的な補償の件については、中止を申し入れた会場側はどの程度把握していたのでしょうか?
まさか、自分側が全面的に正しくて相手のミスだから中止宣告しても金銭的な負担は発生しないと思っていたとかないですよね…?(ないよね?)

上記の記事によると『「イベントの大小、準備の期間によって損害は変わるので主催者のヒアリング、顧問弁護士と相談し適切な対応はしていく」と取材に答えている。』との記載がありました。

顧問弁護士が居るなら、まず主催者側に発生する物理的負担や新ルール遡及による自分たちの瑕疵について、もうちょっとよく話し合ってから行動すればよろしかったのではないでしょうか…?

埼玉県の公園の管轄は『公益財団法人 埼玉県公園緑地協会』というところがやっているようです。

…どんな内部事情があったのかな?というところは気になります。
公式HPを見ると去年代表者が代わったようですが、そこも何か関係があるのでしょうか?

某主催者側の6月8日付Twitter記事によると『イベントを開催するときには、いつも会場で見守ってくれていて』ということのようです。

会場の担当者レベルでは、イベントの事は趣旨や内容に関しては理解していたと考えることができますね。

現場とトップの判断の違いが今回の県議からの指摘(多分一般人のクレームと違って一番上まで報告が行くのかも)によって発覚してしまったという事なのでしょうかね…?

だからと言って『河原でエロ本を見つけた小学生』みたいに大騒ぎしていいわけではないと思うんですよね。

会場の責任者側が、正当な理由も言ったうえでの『ごめんなさいイベントできません』を叩くなら、それはやりすぎだとは思うんですけど…

『クレームが来たからイベント今週末だけどやめましょう!』ってなるの、施設の運営者として一般的な道理とか倫理観とかがブッ飛んでると思って衝撃的でしたね。

行政関係者ってほんとこういうところ【謝ったら負け】というか【こっちが悪いという事にしたくない】という気持ちが透けて見えてしまうんですよね。

私が、これはいつもの『(恐らくおっさんが)後始末を下手こいた案件なんじゃないだろうか…』と思ったのも、無理も無いと思いませんか?

○『抗議』に文句を言うのは筋違いでは?

2年前から同じことを言っているのですが、抗議をした側には事象を中止する権利はありません。

抗議をすること自体を問題視するのも変ですし、『抗議の内容が問題だ!』と批判して叩くのもおかしな話です。

ただ、抗議をしたタイミングでは事件は表沙汰になりません。
また、中止を発表したタイミングと、抗議をしたと発表したタイミングが重複することは当然あり得ます。

その時系列のマジックと、関係者のパニックと怒りによって、火に油が注がれていることは否めませんが、傍観者はどうかもう少し冷静な判断をお願いしたいとネットの沼の底から遠巻きに見守っているところです。

6月10日に、どこかの水着撮影会のイベント主催者側が、署名運動を始めたらしいですが。中止を申し入れた抗議者に対する憎悪と怨嗟にまみれていてあまり冷静では無さそうです。

始まった日(10日)だけでも6000人ほど集まっているのは凄いと思いますが、最近良く見る炎上事件のネットの署名運動にありがちな『集めてどこに持っていくの?』という視点が迷子なのは否めません。

『ウチは問題ありませんでしたけど!』だったり『抗議しちゃいけけないとは言ってない』けど『やり方が悪い』というのが主催者側のおおかたの意見だと思います。

しかしまさに『やり方が悪いソレ』を飲んで利用者に不利益を強いたのは会場側なんですよね。
なんでみんな『実際に中止宣告した側』を端っこに追いやるんでしょうか?
どうか彼らを無視しないで欲しいなと思うのです。

あとまだ見ていないのですが『抗議をした後はスルーかよ!』という意見が出てくるかと思いますが、そりゃ『抗議者』なのですから抗議するだけですよね…
関係者への補償とか契約に関与する責任や義務は全く無いでしょうね…

無責任ではないかと言う意見も出てくると思いますが、抗議者には抗議者なりの責任があって動いているという事情は、中立的な視点でちょっと考えたら分かりますよね。

だからこそ、関係者である会場側には中止の責任が発生するのだと思っているんですよね…。

○埼玉県側が今後透明化する可能性。

この件に関して、なんと埼玉県知事自らのアカウントで『新ルールの遡及』を認めるツイートの発信がありました。

『何か問題でも?』
『こっちにもちゃんと理由がありますけど?』
『これ以上こっち側に文句言わないでくださいね』
と言わんばかりのトップからのコメントですが、この主張を貫くならば埼玉県におけるあらゆるルールが後から覆されてしまっても何も言えなくなります。

埼玉県知事には自身のコメントに寄せられた意見を見ていただき、改めて、公益財団法人への事実確認と、複数の主催者への補償をしっかりとお願いしたいところです。

ただ、過去の千葉県警の事例を見ると、テンプレート発表後は事件ガン無視という展開だったので、公式コメントの変遷なんかも注目したいところですね。


今後またこの件で進展があればまたnote記事を書きたいと思います。
よろしければアカウントをフォローいただき、次の記事を気長にお待ちください。

それでは、また。

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