「むぎを撫でてやって・・・」
と泣きじゃくりながら、朝方４時くらいだったか、言ってきた。
「はぁ？」「何？」
私は、事が理解できなかった。
何を言っているのか。
たしかに、昨日夜中に吐いたりしていたのはかすかに記憶がある。

でも、昨日も、元気に走り回ってたやん。
キャンキャン泣いてたやん。

その前も元気に走って、一緒に遊びよったやん。
散歩行きよったやん。

「はぁ？」「何言いよると？？」
とりあえず、部屋を出てリビングに行ってみた。

「箱の中に横たわった状態で目を閉じていた。」
いやいや、昨日まで元気に走りよったやん。

なんで？はぁ？え？
どういうこと？なに？

わけわかんない。

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普段は、優柔不断でなにを決めるにも時間がかかる。
ファミレス行っても、何にするか決めるだけで１０分はかかる。
洋服なんて買いに行ったら１日かけても１着決まるか・・・

節約するためとも言っていたし、もったいないとも言うし、
お金に余裕がないとも言っていた。

だいたい買い物は百円ショップ。化粧品も比較的そこで。
ない商品は安売りの時に他の店で買う。
食料品はお茶漬けか半額セールか、
買い物も１時間かけてかごにちょこっと。

決断や実行ができないと困ることがあるよ。
と何度も言うが、決めきれない、動けない。

仕事も、どうしようか、ここで良いか、
大丈夫か、って
いつまで考えるの？

ある時、

そんな優柔不断を何十年も見てきたけど、
初めて即決断し、即行動に出て、
自ら引っ張る行動をした。

犬が欲しいと言っていて、お金は少し貯めてきた。
でも、まだ足りない。カードは作った。

買い物の帰りは、ペットショップでいろんな動物を見て、
欲しいなぁ。でもなぁと。
そういう日々が続く。

ある日、あるペットショップに行ったとき、
「目が合った。」「私、わかった。」
「私、この子連れて帰る、飼う！」
即、買うことに。
その犬は、つぶらな瞳で、見つめていた。
即、連れて帰る。
「私が、人生をかけて面倒見る！」
「今から、ごはんと部屋とシートを買いにいく。」
「早く。」
その犬を車に乗せたまま、ホームセンターへ。

「これと、これと、これ。」
「これじゃ、困るから、こっち。
少し高いけど、絶対こっちがいい。」

すべてそろえるまでの所要時間はたった約３０分。

家では部屋を準備し、シートを敷いて、
ごはんを準備し、
「ここが家だよ、大丈夫だよ。」
「ねぇ、むぎ。」

それからは、夜もほとんど寝ずに遊ぶ。
むぎのために働かなきゃと。
仕事を即、決め、
行く前は、水、ごはん、換気、すべてチェック。
仕事が終わったら、即かえってきて、遊ぶ。
「むぎ、散歩行こう！」
「写真撮って！！」
「かわいい！」
「むぎ！」

「むぎ！」

と毎日、朝も昼も夜も　むぎ。
「むぎ、大丈夫？」

病院も何度か行った。
「お金はなんとかする。病院が先！」

「大丈夫よ。むぎは私が守ってあげる！」

こんな決めるのが早く、自ら決断し、
行動し、よほどこの犬がかわいい。
大事、すべてをかけて、
やっと、生きがいやありがたいパートナー
友達を見つけた！
やっと見つけた。
これから、ずっと、楽しく一緒に暮らして、
遊んで、過ごしていくんだ！と。

美容院もたくさん行った。
かわいい。
カレンダーも作ってもらった。
写真立ても買ってかざった。
友達も呼んで遊んだ。
いろんな人に紹介した。
「かわいいでしょ！」
「私の今までの人生で一番大切！」

休みの日は、むぎとの日。
朝から、「むぎ！」
「むぎ！」

「おはよう！」
「キャンキャン！」

「うーん、おはよう！」
「今日も遊ぼう！！」
「キャンキャン！」

散歩に行き、公園で遊び、
帰りにおもちゃを買ってきて、
また家で遊ぶ。

仕事の日は、あーあ。仕事だ。
むぎと離れる。でも、仕方ない。むぎのため。

「むぎ、行ってくるね！」

「むぎ、ただいま！」

こんな活き活きした姿を見たのは
１０年ぶりくらい。

過ごし始めたのは夏だったかな。
それから２、３ヶ月くらいかな。

そんな日が、

むぎと、むぎと続いた。

大きくなったら、ドッグランも行こう！
余裕ができたらペットＯＫの旅行も行こう！

「ねぇ、むぎ！」
「おやすみ、むぎ！」
「おはよう、むぎ！」
「ただいま、むぎ！」
「いただきます、むぎ！」
「ありがとう、むぎ！」
「ダイジョブよ、むぎ！」
「何かあっても私が守ってあげる、むぎ！」

ね、
「むぎ！」

「むぎ！」

「むぎ！」

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「むぎを撫でてやって・・・」
と泣きじゃくりながら、朝方４時くらいだったか、言ってきた。
「はぁ？」「何？」
私は、事が理解できなかった。
何を言っているのか。
たしかに、昨日夜中に吐いたりしていたのはかすかに記憶がある。

でも、昨日も、元気に走り回ってたやん。
キャンキャン泣いてたやん。

その前も元気に走って、一緒に遊びよったやん。
散歩行きよったやん。

「はぁ？」「何言いよると？？」
とりあえず、部屋を出てリビングに行ってみた。

「箱の中に横たわった状態で目を閉じていた。」
いやいや、昨日まで元気に走りよったやん。

なんで？はぁ？え？
どういうこと？なに？

わけわかんない。
原因不明。

泣きじゃくる声が１週間以上続いた。
その姿を今も思い出す。