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48|私とふたり

新しい相棒ができた。

私の2本目のフルート。

明るく繊細なのに深みのある音がする。

何度も楽器屋に通って決めたとても高い買い物。
出世払いで親に返す約束。



私にとって楽器を吹くことは趣味でしかない。

それでお金を稼ぐつもりもないし、プロでもない。ただ好きでやっていること。

それなのに、親に貸しをつくってまで楽器を買うべきなのかは、正直迷った。私なんかが新しい楽器を、と思ってしまった。

でも、大学のあと2年と今後の演奏生活を、もっといいものにしたかった。それだけだった。


家に帰って、今までのフルートと新しいフルートを並べてみた。

今日私の元に来てくれた新しいフルートは、それはもうピカピカで、なんだか触れたくなくなるくらい芸術品としても素晴らしくて、とても美しい。

キラキラのフルートをしっかり眺めた後、もう一本を手に取った。


私と8年、ともにがんばってくれた相棒。

毎日欠かさずお手入れをして、何度もリペアしながら、丁寧に扱ってきた私のフルート。

いつの間にかくすんだ銀の色は、私にとって馴染んだもので、新品にはかなわない愛着と、また違った美しさがあった。

がんばった色。なんだか泣きそうだった。

新しい一本を吹き始めたら、もうあまり今までのフルートは吹かなくなる。これまで体に染み付いた癖を直し、新たな楽器に体で慣れていくためだ。手放すわけじゃないからいつでも吹けるけど、これまでのように万全のコンディションであの子を鳴らしてあげられることは、もうないのかもしれない。

そう思ったらさみしくてたまらなくて、そっと管をなでた。


8年間、ありがとう。

あなたのおかげでフルートが大好きになった。
たくさん思い出をくれて、ありがとう。

そして新しい子も、あなたと同じように愛して、たくさんたくさん吹いて、楽器をきちんと吹きこなせるようにがんばるね。


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