「 愛は死語になる、価値はとうに無く


愛はもう地縛霊、彷徨しだす
放射冷却で凍りついた街をすべる 」


免許更新でいつもと違う街にきて、最後にここにきたのはいつだったっけと考えたら、たぶん高校生のときだった。
その時当時付き合っていた彼氏と美女と野獣を観たくて、ただ公開直後で行った映画館は満席で、そしたら元彼のお母さんがチケットをとってくれて、もともといた街から電車で1時間かけて移動して行ったところだった。
あの頃はそうやって、自分の家族にも話をしてくれて、ディズニーでお土産にわたしの好きなラプンツェルのペアキーホルダーを買ってきてくれたり、わたしの名前がはいったわたしの好きなムーミンのハンカチをくれたり、お互いが作ったミサンガをそれぞれつけて、夕陽が綺麗なときは写真を送ってくれる、ちゃんとわたしを好きでいてくれる彼氏がいたことを思い出した。
向こうから告白されて付き合ったのに、最後はあっけなく振られて、しばらく、というか一年は引きずった。
でもちゃんとあとで好きな人ができて、もう4年も経てばあんなに会いたかったのにご飯に誘われた時に別にいいやと思ってしまって断ってしまって、ちゃんとback numberの言う通り「引きずっていれば削れてなくな」ってくれていた。


後輩ちゃんに言われた言葉が、喉に刺さった魚の骨みたいに取れなくてずっと刺さってて、同期と一年半も一緒に住んで、2年間も彼女でもないのに会いにきてもらうより遥かに何度も会いに行って、それでもわたしたち二人は全員に受け入れてもらえる関係にはなれていないという現実を突きつけてくる。
「わたしたちはわたしたちだからわたしたちが良ければそれで良いからほっといてくれ!!!!」というときもあったけど、そうやって強がるのに、どうやら3年半は長すぎたらしい。ちょっと疲れてしまった。疲れてしまった証拠に、同期のなんてことない言葉に対する免疫がなくて、冗談のつもりか本気かわからない言葉たちがずっと刺さって抜けてくれない。
久しぶりにシャンプーを変えて、使ってから一緒に住んでた時に使ってたこと同じだと気づいて記憶が駆け巡って嫌になった。相変わらず泡立ちが良くてそれが無性に腹が立つ。
前回も大事にしてくれる人ができた時に、見ないようにしていた同期の嫌なところが目につくようになってしまって、でも大事にしてくれなくなったらそれもまた見えなくなってしまって、また元通りになっていた。今回も同じだ。前回の人と後輩くんは同じシャンプーを使ってたなと不意に思い出す。
同期はずっとわたしが嫌だと言ってることを直してくれなくて、珍しくちょっと強めに言ったのに、壁に向かって叫んでいるような、何にも伝わらない感じがして、見えないふりをしていてもこの"価値観の分かり合えない関係"はずっと続くんだと思ったら、一緒にいることに自信をなくしてしまった。3人で行った旅行のインスタの投稿がまだできていないし、できない気がしている。

同期と共通の友達にいろいろ話を聞いてもらうと、「それ宇波が振ってね??」と言われて、振られた気になっていたわたしは頭を抱えていた。どうやら強がるために言った言葉が、そう捉えられてもおかしくないことだったらしい。
その友達のアドバイス通りに返事をしたら、「(今やってる用事が終わったら)いくらでも」という旨の連絡があって、それを居酒屋の外のトイレで見たわたしは、店を全力で走り回りたい気持ちを抑えてすごいスピードで早歩きして友達に報告した。自分でも驚くくらい喜んで笑顔が止まらなかった(酔っ払い)

後輩くんはインスタを見るより先に返事が返ってくる、ことがストーリーに足跡つけちゃったから返そうとかじゃないってことかなと思ったりする。あと親しい友達だとはやい。わたしはいつまで親しい友達に入れておいてもらえるのだろう。というか、"親しい友達"の定義ってなんだろう。お互いがお互いの好き(と言ってる)な人といるストーリーを見て何になるんだろうかと途方に暮れる。

後輩くんと飲むお酒がいちばんおいしくて、これからもずっといてほしいなと思うし、でも同期とは一緒にいた時間が長すぎて、あの時の約束どうしようとか、もらった物たちはどうしようとか、まだ確定してない未来のいろんなことを考えてしまって、それはただわたしの思いなだけであって、現実は何も変化していない。でもひとつだけ、今後輩くんと行こうと話をしているライブのチケットがどうか取れてほしいということだけが確かな気持ちだということだけはわかる。

やすとものやすよ姉さんが「失恋は歌に頼るけど、最後は自力で這い上がるもの」と言っていて、自力で這い上がるしかないけど、まだもう少しだけ歌に頼らせてほしい。

厭世主義者ぶるいけない子
o0(この星の終わりを夢に見ている!)
愛を説こうとも意味がないの?
o0(想像もつかないほど綺麗かも…)

Moonthief / キタニタツヤ

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