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【おとなの読書感想文:30】朝まで待てません!

どうもコウノです。
また1つ、好きな作品が完結しました。

大御所漫画家・猪苗代メグミの担当編集してる2人↓が互いに惹かれていくストーリー。
尚、二誌連載してるけどそれぞれ版元は別。
なので2人はライバル関係なわけです。

人のいい順平くんと、サイボーグと揶揄される敏腕編集の夕子さん。最初は順平くんが夕子さんの仕事ぶりを憧れているところからスタートするんですが、よくよく話してみると、マンガの好みがドン被りしてる似たもの同士。

猪苗代メグミにお互い振り回されながら、いつしか惹かれ合ってい……くというか、意外と順平くんが真正面からストレートに告白するので、夕子さんが徐々に絆されていく様が見ててキュンキュンします。

1巻で恋人同士になり、2巻で初エッチ、3巻で同棲を決意。と順風満帆にお付き合いしていく2人ですが、

4巻で結婚とハネムーン。まあお約束。

で、

思えば連載スタートが2014年で、最終巻が2024年リリース。
10年かけてやぁーっと結婚したでこの子ら!
な気持ち。

タイトルは「朝まで待てません!」ですが、我々読者は「2024年まで待ちました!」やで。

 ※

マンガ編集のコミックスと言えば、重版出来が有名かと思いますし、あれはあれで好きです、ドラマも全話観ました。

が、こちらは白泉社のlala系ですから、ウェイトとしてはやはり恋>仕事。ここが重版出来と真逆ですね。

ただ全く仕事のネタがないわけでもなく。
特に最終巻は「おお……っ!」と唸るエピソードで感動しました。それをご紹介します↓

2人がいつも振り回されて、なかなか原稿を進めてくれない上にサボリ癖のある猪苗代メグミが、ある日盲腸で緊急入院。

〆切間近の原稿は、巻頭カラーが決まってる物で、背景は済んでいるけれどもキャラクターは下書き止まり。

小さいコマのキャラクターは、ベテランアシスタントがペン入れして何とかなったけれど、見開きの大きいコマのが残った。さあどうする。

そこで名乗りを上げたのが、順平が担当している「模写が得意で画力はピカイチなのに、気分が乗らなくて描いてくれないマンガ家」伊良。

確かにペン入れは上手くいったけれど、他のアシスタントから「違う」と言われてしまう。

人気マンガ家の諏訪が登場。タッチが昔の頃のやつって事なんですね。そんなん一発で見分けるとか流石。

で、見た目まんまギャルな諏訪先生は、その場で付け爪取って、今の大御所のタッチで代わりにペン入れをし始めます。

トキワ荘のレジェンドとか、互いの作品の手伝いをしていた、というのは有名な話ですが、それはあくまでもベタ塗りとか消しゴムとか背景とかトーン貼りとかの話。
見開きのコマの主人公のペン入れを手伝うとか、いやこれ胸アツじゃん。

例えるなら尾田栄一郎先生のピンチに青山剛昌先生が、みたいなもんでしょ?(別にあのお二人が仲悪いとかではなく)
そうだよなー、いくらプロとして描いてるマンガ家だっつっても、一人一人タッチが違うからまんま同じように模写するのって大変だよな。
それをこなすんだからやっぱりプロって凄い。

諏訪のペン入れによって、無事原稿は完成。書く気がなくて編集を困らせていた伊良も心を入れ替えて……となる前に

さっさと消えろ、など、いい話では終わらせないところが面白いですね。

これ、ドラマ化しても面白いと思うけど、セクシー田中さんの件があるからな……

「マルチメディア化という作者にとっては誇らしい栄誉が、絶対的な物ではなくなった」という現状に言い辛いですね……


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