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BARD

チクタク meets chickii / 2017

前作のSEASONから2ヶ月。早くも2枚目が…!60年代ビートルズのような早いペースで作り上げられた新作。2人の創作意欲は涌き水のように溢れているなぁ。BARD=吟遊詩人とあるように、より物語性のある曲が多く取り上げられており、アレンジの幅も広がりを見せている。これぞ2枚目。
ボーナストラックも含めて全8曲。アルバムとしてはコンパクトな仕上がりである。

今回のレビューは、サウンド面はもちろん、

チクタクの歌詞の世界に注目したいと思う。

勝手な解釈で言葉を追っかけてみた。今回もとくに気になった曲をチョイスしてレビューしている。
写真はそれぞれの曲の表紙の写真を使わせていただいた。

2. kingfisher ( folklore )

前作収録raven(カラス)→kingfisher(カワセミ)と鳥つながりで来ていますな。「青人」にも青い鳥という言葉が登場するし、鳥はチクタク曲のイメージの要になっているのかな。そういえば、アルバムタイトルもBARDだし。
始まりのちょっとチグハグなアコーディオンのような音が曲のイメージを決定付けている。
前作SEASONにはなかったタイプの曲で、アレンジの幅が大きく広がったことを感じさせるトラック。
サビのメロディを追うホイッスルとヴィブラフォンの高音が心地よい。ドラムもずっしりと歌を支えている。
何やら意味深な歌詞で、想像が膨らむ。

晴れたら 何しようかとか考えて見てよ
明日の朝 何食べようかとかでもいいし
少しづつ 思うところもあるだろうけど
晴れたら 晴れたらでいいから

僕には大事な人を慰める歌のように聴こえる。その人とはまだ距離があり、どうしていいかわからないけど、間に流れる川をカワセミのように眺めるようにして様子をうかがうような…そんな心境を感じる歌だ。

3. ロッキングチェア ( momentary love mix )

冒頭、暖かなギターとストリングスの調べが、懐かしい記憶を呼び起こしてくれるよう。ロッキングチェア〜♩の部分は一緒にシンガロングしたくなる。全編通して歌のメロディが素晴らしい。
歌詞は主人公の少年が気になるおじいさん?の話に想いを馳せる。その物語を追っていると、いつしか少年は老人となり、老人は少年だったことが時を越えて鳴らされる。
齢を重ねた者同士の最後の部分が寂しくも暖かく心に押し寄せてくる。

来る日は来るから いつの日か
ロッキングチェアに揺れながら

いつか僕にもこんな日が来るのかな?ロッキングチェアに揺れながら…

4. 涙腺 ( you may cry mix )

前半の爽やかなギターリフや後半のうねるベース、煌めくシンセなど、聴きどころ満載だが、ここでもチクタクの歌詞に注目したい。

君の頬 伝った涙の跡を登って涙腺めざす
何度流されてもそれでも渇く前に行くよ
止めたところで楽にはならないかもしれないけど
君にも見える位置に辿り着きたいよ それだけでも

大きな存在である“君”の涙腺を沢登りするようにめざすちっぽけな冒険家。川の流れに押し流されながらも、手探りしながら“君”を登る。そのユニークな視点がおもしろい一曲である。

5. 虹彩 ( dazzling mix )

『うぉーうぉうぉうぉー』のアンセミックなコーラスが印象的で躍動感あるロック。chickiiの変幻自在なドラムプレイがこれでもかと炸裂する気持ちいいトラックである。
前作「SEASON」の「海月」のように、ボーカル、ドラムなど一つ一つの音のバランスが絶妙。
歌詞は、視界をテーマに、まるで“幻の君”を見つめるかのようにとらえられない存在を追う。

ぼやけた視線の先 虹彩が光集め
君とわかるまで時間がただ過ぎて行く

不確かなものも光を集めて見ることで対象に近づき知ることができる。絵描きの哲学のような歌だと勝手に解釈した。
『I can not take a rest.』のメロディへの流れが好きだ。そしてまた拳を突き出すようなコーラスへ。『うぉーうぉうぉうぉー』ライブで盛り上がりそうだ。

bonus track. In blue ( azure sky mix )

そして、アルバムの白眉はこの曲だろう。
先日の「later」を彷彿させるような、ギターのアルペジオと夢に誘うリバーブの洪水にシンセアレンジ。BECKの「Morning Phase」に入ってそう。
リバーブ効きすぎじゃ…と初めは思ったけど、異次元に誘われる『in blue』の繰り返すメロディとコードの響きにノックアウト。
in blueのところでカチン〜♩と鳴る音もなんだかゆったり刻む時の針のようで聴いててクセになる音だ。

青がすり抜けて 君の髪を揺らした
体はシャボンの中で舞い上がって行く
いつかは弾けてしまう事でも君は確かに飛んでいた

曖昧で混沌としているこの世界の中で、シンプルにin blue…と青を感じてみる。いい歌ですなぁ。
アルバムのために書き下ろされた曲ということで、聴かなきゃ損ソン。

他にも、軽快なギターリフが心地よい「青人 ( classical band edition )」、2人のロック節が共鳴した「ふせんを捨てろ ( refreshing mix )」、心温まる「ゆせん ( keep it warm mix )」など、今回もバラエティ豊かな曲がそろっている。ぜひ、いろんな方に聴いてもらいたい。

ということで、またレビューさせていただきました。
chickii、チクタクさん、CDになるの待ってますよ〜。よろしくお願いしますm(._.)m


BARD | チクタク meets chickii
https://note.mu/chickii/m/mc56577bc0247

1. 青人 ( classical band edition )
2. kingfisher ( folklore )
3. ロッキングチェア ( momentary love mix )
4. 涙腺 ( you may cry mix )
5. 虹彩 ( dazzling mix )
6. ふせんを捨てろ ( refreshing mix )
7. ゆせん ( keep it warm mix )
bonus track. In blue ( azure sky mix )

all words & music by chiktak
all arranged & mixed by chickii

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