レシピの材料表記順序には根拠があるのか? 問題

レシピを見ながらカレーを作ろうと思ったとき、材料の欄に書かれている食材の並び順に疑問を持っことはありませんか? もう見慣れているから何とも思わない人が多いのかな。僕には謎です。なんとなく並べられているように見える順序に明確なルールはあるんでしょうか? 根拠はあるんでしょうか? たとえば、NHKの料理番組「きょうの料理」に僕が出演させていただいたときに紹介した「スパイス肉野菜炒め」の材料は、こんな表記順です。

【一般的な材料表記】玉ねぎ、パプリカ、豚ロース肉、クミンシード、コリアンダー(粉)、ターメリック(粉)、カイエンヌペッパー(粉)、塩、レモン汁、かたくり粉、サラダ油

本当は縦に並べたいのですが、スペースの関係で横に並べています。おそらくテレビも雑誌もレシピ本もたいていはこんな順序。僕も「そういうものか」となんとなく思っていました。でもあるときから「なんか変だな」と疑問を持つようになったんです。順序があるということは、優先順位がついているということです。たいてい大事なものから書いていきますから、上にあるもののほうが優先順位が高いということになります。じゃあ、この料理では玉ねぎが一番偉いのか。僕はそんなつもりで作っていません。クミンシードよりも豚ロース肉のほうが大事だとも思っていません。

おそらく推測するに「主材→副材→スパイス類→調味料類→水や油」みたいなことになっているんですね。だから玉ねぎや豚ロース肉が最初にあって、スパイスがきて、油で終わる。でも、主材と副材の区別がつかない料理はどうなるんでしょう? 僕の料理が豚肉炒めで野菜を副材としてちょっと合わせているものだったら、玉ねぎは豚ロース肉の後にくるんでしょうか。調味料の中の順序はどうなるんでしょうか? 「さ・し・す・せ・そ」で並ぶのかな。XO醤とお酢を使う料理は、どっちが先? もう訳が分かりません。そこで僕は、5年ほど前から自分のルールを決めることにしました。少なくとも僕個人が単著で出版するレシピ本は、材料の表記順をこうすることに決めたんです。

【水野仁輔の材料表記】サラダ油、クミンシード、玉ねぎ、豚ロース肉、かたくり粉、パプリカ、コリアンダー(粉)、ターメリック(粉)、カイエンヌペッパー(粉)、塩、レモン汁

なんの順序かわかりますか? これは、鍋に投入する順序、すなわち、【作り方】に登場する順序です。これなら少なくとも僕自身はしっくりくる。材料表記を上から順に眺めれば、「ああ、このレシピはこれをこうやって作るんだな」とイメージがつきやすい。スパイスカレーならセオリーがありますから、【作り方】が書いてなくても【材料】だけで作れます。どちらがいいかはわかりません。おそらく前者は、食材の買い出しをするときに便利な並び順、後者は料理を作るときに便利な並び順ということになるんだと思います。

ところで、きょうの料理の「スパイス肉野菜炒め」という料理名、「肉と野菜のスパイス炒め」のほうがわかりやすいと思うんだけれど……、メニュー表記の問題はまた別の機会に。

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水野仁輔

カレー

コメント1件

それわかりやすい!作る順
料理教室ではメイン食材やたくさん入っているものから書くように習いました。
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