辛いカレーが苦手なら唐辛子を減らせばいいのか? 問題

辛いカレーが好きか苦手かはハッキリ分かれます。出張料理イベントをして複数種類のカレーを作っていると、一定の頻度で「辛くないカレーってどれですか?」と聞かれることになる。そんなときはチョイスのポイントが味ではなく、辛いか辛くないかであることに対して、ちょっとだけ寂しい気持ちになるんです。だから、ライブクッキングで立て続けに何種類ものカレーを仕上げていくようなスタイルならまだしも、大量に作った1種類のカレーしか出さないイベントの場合、必然的に辛みを抑えて提供したくなってしまいます。

少し辛くしたいのに辛くできないのはガマンするしかないとして、それ以上に残念なのは、香りも足らなくなってしまうこと。たいていの場合、カレーの辛みの素は唐辛子(レッドチリ)です。辛くないカレーを作るためには、唐辛子の量を減らせばいい。でも唐辛子は、その辛みもさることながら、とにかく香りがいい。たとえばスーパーの野菜コーナーやスパイスコーナーの壁掛けに両面テープでペタッと貼られている鷹の爪の小袋を買ってきてくる。袋をやぶって鼻を突っ込み、香りを嗅いでください。芳ばしい香りが体験できるはず。

「唐辛子は辛味のスパイス」と紹介されるから辛くしたいときに使うものだという印象が強いんですが、「唐辛子は香りのスパイス」なんですね。

唐辛子の香りをカレーに加えたい。でもあの香りを加えると、今ならもれなく刺激的な辛みもセットでついてくる。これがテレビショッピングなら嬉しいサービスだけど、辛いのが苦手な人にはいい迷惑。辛くしたくないが香りが欲しい場合、唐辛子をどう扱えばいいんでしょうか。

いくつか方法はあります。たとえば、軸と種を取り除く。唐辛子で一番辛いのは軸、次に辛いのは種です。パプリカパウダーで代用もできます。似た香りを持っていて辛みはないからです。ただ少しだけ物足りなさが残ります。欲しい香りはパプリカじゃなくて唐辛子なんだよなぁ、と。

昨日、ある雑誌の撮影で、4人前にホールのレッドチリを12本入れたサグカレーを作りました。まあまあチャレンジングな量です。発売時にお知らせしますが、レシピのコンセプトは明快で、「辛いのは我慢しましょうよ、香りのために」というもの。いいとこどりをすることができないわけだから、最もシンプルな方法は、どちらか一方を諦めるということなんですね。サグは煮込み時間が短い料理だから、丸のままの唐辛子を油で炒めてそのあと完成するまで12本の唐辛子が鍋の中にい続けてもそれほど辛みは出ません。その代わり、香りは抜群。

二羽のウサギを追うことはできないわけですから。妥協点を探すカレーの作り方もあるし、どちらか一方を捨てるカレーの作り方もある。そういえば、去年、NHK「きょうの料理」に出演したときに、「スパイスを女性に例えて表現してください」と無茶ブリされて、「唐辛子は冷たい美人」と紹介したことを思い出しました。全く厄介なスパイスですね。冷たい女性が好きな人にとってはもってこい。辛いカレーが好きな人にとっては唐辛子は愛すべきスパイスだということになりますが。

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水野仁輔

カレー

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