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49. 玉ねぎを冷凍したらアメ色に炒めやすくなるのか? 問題

昔から頭にちらついてはいたけれど、ずっとやらないでいたことがあります。玉ねぎを冷凍してから炒めるという手法です。これをするとアメ色に炒めやすくなるということは、小耳に挟んではいました。「でもそれって、なんかダサいよね」みたいな気持ちが邪魔をして手を出さないでいたんです。別に「本当に?」と疑っていたわけではありません。理論上、うまくいきそうだなと推測はしていました。でも、そう思うことと自分が実践することは、別。なんとなくやりたくないんだから仕方がないと思っていたんですね。全く説得力のない理由ですね。
たとえば僕がお笑い芸人だったとして。「脱いで裸になればみんなが笑ってくれる。でも、そういうやり方で笑いを取るくらいなら笑ってもらわなくていいよ」みたいなことに近いのかもしれません。ただ、笑ってほしいから芸人やってるわけで笑ってもらうという目的のために脱ぐ脱がないという手段は問わないよ、というスタンスが本当のかっこよさなのかも。そんな気持ちが芽生え始めたんです。
玉ねぎと対峙した時、それをアメ色に炒めることが目的であって、その目的を果たすための手段(調理プロセス)は、鍋に生玉ねぎを入れてせっせと炒めようと冷凍しようと、構わないはず。どちらでもいいはずなんですね。妙なプライドは捨ててしまおう、と、ふと思ったからやってみました。
中型の玉ねぎ(200g)を粗みじん切りにし、透明袋に入れて冷蔵庫で3時間おきます。カチンコチンとまではいかないけれど、サクサクした状態まで玉ねぎが凍る。大さじ1の油を熱した鍋に冷凍玉ねぎと小さじ1/2の塩を加えて炒めました。制限時間は10分。普段からやっているように終始、強火で炒めます。すると、予想通り、玉ねぎはとてもいい感じで色づいていきます。結果、10分後にきれいなアメ色になりました。もしかしたら、生玉ねぎよりも色づくスピードが速かったかもしれない。
仕組みは簡単です。冷凍した玉ねぎを加熱すると温まって結露する。このときに玉ねぎに表面に付着する水分が、適度に加熱のコントロールをし、玉ねぎの形を潰してくれるんですね。だから、僕がよくデモしたりお勧めしたりしている、「水を加えながら炒める」のと近い状況が生まれていることになる。心なしか水分も抜けやすい状態になっている。玉ねぎ炒めで重要なことは加熱による脱水。その点において冷凍庫は思いのほかいい仕事をしてくれたということになります。
味見をしたところ、印象としては、生玉ねぎから炒めるのとそん色ない状態。そうか、この方法もなくはないんだな。この試作はとてもいい経験になりました。じゃあ、自分がカレーを作るときにこの方法を取るのかと聞かれたら、ちょっとまだ躊躇してしまいそうですが……。もっと素直にならなければいけない、と思っています。
冷凍玉ねぎを炒める方法と並んで言われているのが、電子レンジを使う方法。こちらはまた今度。
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