玉ねぎをレンジで加熱したら炒めやすくなるのか? 問題

電子レンジというのはきっとすごく便利で性能の良い調理家電なんだと思いますが、これまで、冷めたものを温める以外に使ったことがありません。「レンジ加熱」みたいなモードにして、「1分間」とか設定して、スタートを押す。僕が押せるボタンは3つです。
ところがこの電子レンジを使うとカレーの玉ねぎを炒めやすくなるという噂が昔からあります。玉ねぎ冷凍と同じで、聞いたことはあるけどやってみたいと思わない手法のひとつでした。でも、やってみました。
レンジ出力600W?とかに設定して、ま、要するにお弁当温めと同じモードにして、加熱する。粗みじん切りの玉ねぎを耐熱容器に入れてふたをゆるくかぶせ、3分間。ほんのりしなっとなった玉ねぎを炒めてみたが、あまり効果のほどはわかりません。ちょっと玉ねぎがつぶれている分だけ、生から炒めるよりは時間短縮にはなっているのかもしれません。でも、この程度のつぶれ方なら鍋の中でもほどなく実現します。
続いて、ふたをとって加熱してみることにしました。なんかのサイトにそのやり方が書いてあったから。3分加熱。あまり変わり映えしない。さらに3分加熱。んんん~。もう3分加熱。合計9分間加熱。ところどころ、うっすらキツネ色(僕はイタチ色と呼んでいます)になっているところがありますがが、全体的にはそれほど変わりません。鍋に移して炒めてみる。んんん~。果たして炒めやすくなっているのでしょうか。
そもそも、ふたを開けた状態でレンジで加熱したら、水分は飛んでしまう。水分が飛ぶのは悪いことではありません。カレーにおける玉ねぎ炒めの大きな狙いのひとつは脱水ですから。ただ、なんでもいいから水分が抜ければいいというわけではなく、玉ねぎの中にある水分には、加熱に重要な役割があるんです。だから、水分が飛んでほしいタイミングと飛んでほしくないタイミングがある。そのこともあって、僕は、玉ねぎを炒める時には傍らにコップに水を入れておいて置き、飛んでほしくないタイミングで飛んでしまった水分を補うようにしています。
この脱水タイミングの話は、ちょっとこのスペースでは表現しきれませんが……。ともかく、レンジで9分加熱して、中途半端につぶれ脱水が進んだ玉ねぎでは、僕のイメージしている玉ねぎ炒めをやりにくい。
玉ねぎは加熱され、何かしらの変化があるのだろうから、ある人にとってはレンジを使うことで玉ねぎを炒めやすくなっているのかもしれません。だとしたら、それはどんな理由で何の変化が進んだということなんでしょうか? 機会があったら家電メーカーの人に尋ねてみたいと思います。
実験としては、まだまだ不十分ですが、僕個人の実感としては、レンジで加熱するなら冷凍したほうがよっぽど効果はわかりやすいな~というものでした。
便利というのはなんなんだろう。豊かというのはなんなんだろう。たかだかカレーのための玉ねぎ炒めでそんなことを考えるのはばかげているのかもしれないが、そう考えこまずにはいられませんでした。気がついたら玉ねぎがアメ色になっていた、みたいなことが便利さだとして、それは僕が求めていることとは違います。僕は玉ねぎを炒めるのが好きです。生玉ねぎをいろんな形で切って鍋中に入れ、加熱しながら目の前で姿や香りが変わっていく玉ねぎを観察するのが楽しみのひとつです。自分が思う通りに玉ねぎの状態をコントロールできたと感じる瞬間にささやかな喜びがあります。それは玉ねぎが僕にくれる豊かな時間です。それを冷凍庫や電子レンジに奪われるのはちょっと違うかな、と思いました。
とはいえ、毎日忙しい主婦の皆さんなどは、そんなこと言ってられないでしょう。そんな人たちのためにレンジを使って玉ねぎを炒めやすくする手法の正解をいつか見つけ出したいと思います。
最後に、この簡単な実験が終わった後で、気が付いたことがあります。ふたを開けて玉ねぎを加熱した電子レンジの中身について。臭い! すごい玉ねぎ臭いんです……。まあ、やる前から予想していたことですが、ふたの空いた状態で玉ねぎが9分間も加熱されるわけだから、玉ねぎの青臭さはレンジの中に充満するに決まっています。電子レンジが悪いわけではない。野蛮なことをした僕が悪いのに、僕はちょっとだけ電子レンジという家電を嫌いになりそうになりました(笑)。
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水野仁輔

カレー

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