守りたかったもの

日本企業側に受け入れ態勢が全く整っていないにも関わらず、
単純に滞在時間だけ無意味に延長したとしても

露頭に迷う外国人を増やし、
彼らをさらに不幸に陥れるだけだ。

ただでさえ、たらい回し状態にあるというのに。

早急すぎる決断が
雇用側と被雇用側、
双方に混沌をもたらすことは
目に見えているはずなのだが。

わかっている。

安倍首相の決断が、国家存続における必要性に迫られ、選択せざるを得なかったものであると。

永住権を認めず、
またはその取得が非常に複雑かつ年月を要すものに仕上げ、
なおかつ家族の呼び寄せ禁止を制度に加味したという点は、
国として、あるいは戦略家として、
非常に優れた、巧妙な戦術であるようにさえ感じる。

ただ単に外国人の数をむやみやたらと国内に増やしてしまえば、
移民政策に頭を悩ませる他の先進国同様になってしまうからだ。

そして多くの日本人は、
それを望んではいないだろう。

私も、日本がただ単に移民国家になることを奨励しているわけではない。

そして、日本がこれ以上他国から遅れを取らないためにも、”優秀な”外国人人材を取り込まなければならない状態にある、という事実も、それなりに理解しているつもりだ。

だが、
なぜだろうか、どうしようもなくさみしい気持ちになる。

そこまでして、国の威信をかけてまで守りたいものとは、一体何なのだろうか。

ブロック経済の波が全世界に波及し、
世界の国々は自国を守ることに躍起になっている。

戦争の火種が、あちらこちらに散らばっている。
何とも恐ろしい事態だ。

話が大きくなってしまった。

“僕が総理大臣になったら”

彼より良い、圧倒的に優れた施策は、と言われれば答えに窮する。

なぜなら、まだ正しいと思える答えに出会えていないからだ。まだ旅の途中だ。

“受け入れ態勢が整っていない日本企業”は
一体具体的にどのように取り組めば良いのだろうか、と問われれば、これも答えに詰まってしまう。

問題は山積みだからだ。

まず取っ掛かりとして、共通言語である英語を理解することは重要であるし、

もしくはそれ以前に
特に年配の世代に対し、声を大にして伝えたいのは
外国人を怖がらないでほしい、ということである。

確かに、容姿や外見、言語や文化は違うかもしれない。

自分たちよりも大柄で、態度も横柄であるように見えて、ちょっと居心地悪く感じてしまうこともあるかもしれない。

忘れないでほしい。
彼らもあなたと同じ、人間であるということを。

知らない言葉を話す宇宙人でもなければ、
自分たちにはコントロールできないモンスターでもない。
人間だ。

確かに、
厄介者扱いしてしまえば、簡単かもしれない。

でも、
日本は200年前から、開国してしまったのだ。
もう、してしまったのだ。

海外と共に歩んでいくことを、決めてしまったのだ。

後戻りはできない。

もう少し、1ミリだっていい、
歩み寄る姿勢を見せてはくれないだろうか。

彼らの声を、聞いてはくれないだろうか。

だから、私は書き続ける。
彼らの声を、聴き続ける。

それが、私に課せられた使命であると信じて。


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